みんなの鯖缶(大学院ゼミ)

関西学院大学大学院文学研究科総合心理科学専攻心理科学領域 三浦研究室
研究室のモットーは各所全力です.なんじゃそりゃ,という方はこちらを.
鯖缶とは「虎の穴」くらいの意味だと思ってください.

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2017年度は,社会心理学系の「濃い」論文が掲載される雑誌として「Journal of Personality and Social Psychology」と「Personality and Social Psychology Bulletin」,心理学系の「とがった」論文が掲載される雑誌として 「Psychological Science」を中心に採り上げて,近刊論文の早読み会をします.メンバーは「なるべく最近刊行された」論文をこれら3誌から1本選んでゼミで報告した後,ブログ記事(公開)としてサマリを事後報告します.論文選定基準の詳細は「運営ルール」を参照して下さい.

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  • 食べるときの匂いと味の役割
    Boesveldt, S., & de Graaf, K. (2017). The differential role of smell and taste for eating behavior. Perception, 46, 307-319.

    最近よく見かける透明なのに紅茶やジュースの味がする飲み物は味覚と嗅覚(おそらく、特に嗅覚)が働くことで美味しさを感じることができている。このように、味覚と嗅覚は何をどれたけ摂取するかにおいて重要な役割を果たしているが、その機能はそれぞれ異なっている。

    【味覚】
    味覚は今食べているものにどのような栄養素が含まれているかを感じるシステムである。甘味は糖分、旨味はタンパク質、脂肪感(油っこさ)は脂質、しょっぱさは塩分量と相関している。また、食感とともに味を感じることで、食事の満足感を得ることができる。甘さは快感情に繋がり、苦味は不快な感じを受ける。

    【嗅覚】
    嗅覚は主に食欲を喚起する役割がある。人は非常に多くの匂いを区別、推測することができると考えられている。また、これまでの経験やラベリングによって匂いの意味(いい匂いか嫌な匂いか)が変化する。ある食べ物の匂いについて既に学習済みの場合、どのような栄養が含まれているのか(味)について推測できるため、食べたいという動機づけが高まり、実際の飲食を予測することができるとされている。しかし、匂いに対して自覚的に気がついているかどうかや匂いの強度、参加者のパーソナリティに依存するため、必ず匂いの知覚から飲食行動を予測できる訳ではない。

    味覚と嗅覚についての行動研究はたくさんあるが、生理学的なメカニズムはほとんど未解明のままである。味覚と嗅覚についての研究成果は食べ物の商品開発や、肥満防止に応用していけるはずなので、今後の発展を期待したい。
    投稿: 2017/10/22 20:10、西村友佳
  • 選択と説得の効果を加味したカスケード現象のシミュレーション
    Huang, W. M., Zhang, L. J., Xu, X. J., & Fu, X. (2016). Contagion on complex networks with persuasion. Scientific reports, 6, 23766. 

    たとえば,政治への不満の爆発のように,状況によっては,多数派とは反対意見を持つごく少数の個人の存在が,大きなカスケードを引き起こすことがある。ネットワークにおけるシミュレーション研究において,カスケード現象は「伝播モデル」によって検討されており,その中でも「閾値モデル」というのが良く用いられている。「閾値モデル」は,自分とつながりのある他者全体の中で,活性化した他者の割合が,ある一定の値(閾値)を超えることで,自分も活性化するというものである。
    実際の社会的影響過程には,他者から影響を受けるだけでなく,それによってまた別の他者を説得しようとする動きもある。そこで本研究では,これまでの研究で他者から影響を受けることだけを想定していたモデルに,活性化した個体が他者を説得させるだけの影響力を持ちうる存在になることを加味して,ネットワークシミュレーションを行った。この新しいモデルを「(Φ,Φ’)の閾値モデル」と著者らは名付けた。

    まずは「(Φ,Φ’)の閾値モデル」におけるカスケード現象を説明する。

    上の図の例では,選択の閾値(φ)=0.3,説得の閾値(φ’)=0.4とする。また,閾値モデルの大前提として,一度,活性化したものは持続するというのがあることを覚えていて欲しい。
    まず,(a)は初期状態を示し,この時は,iの隣だけが活性化していることがわかる。次に,(b)は選択の閾値(φ)のみが採用された状態のネットワークである。例えば,i は3つのノードとつながっており,うち1つが活性化している。つまり,iにとっての周囲の活性化状態は1/3(=0.3333…)となり,選択の閾値(φ)=0.3よりも大きいので,iは活性化する。続いて,同様にjも活性化する。しかし,k(1/5=0.20)やl(1/4=0.25)は,φ=0.3よりも小さいので,ここでは活性化しない。そこに,説得の閾値(φ’)まで加味すると,(c)のようにネットワーク全体が活性化する。これは,bの状態においてiの周辺の活性化度合いが2/3(=0.6666…)となり,jは1/2(=0.5)なるため,説得の閾値(φ’=0.4)を超える。したがって,iとjの隣にあるkやlを説得によって活性化させることができる。これによって,kやlの隣のノードが選択の閾値を上回り,すべてのノードが活性化することになる。このようにネットワーク全体が活性化した状態をグローバルカスケードとという。

    さて,説得の閾値を加味することによって,何が違うのか?――それは,説得の閾値が存在することによって,グローバルカスケードが生じやすくなることである。

    たとえば,Figure 2では,黒線が従来の選択の閾値のみを採用した際のシミュレーション結果であるが,説得の閾値を採用したシミュレーション結果(赤線や青線)の方が,より小さい初期値(初期状態における活性化したノードの割合)で,ネットワーク全体が活性化していることが示されている(活性化していないノードの割合が早く0になっている)。また,ネットワークの構造別に比較すると,スケールフリーネットワーク(ノードの手の数がべき分布に従うネットワークで,実社会の対人ネットワークに最も近い)では,説得の閾値が高い時には,それが存在することによる影響が小さい。しかし,その閾値が低くなると,ERネットワーク(ノードの手の数が正規分布に従うネットワーク)と同じくらい,むしろ,ノードから出ている手の数が多い場合には,グローバルカスケードがより生じやすいことを示した。さらに,ノードごとに閾値がばらつく場合には,選択の閾値がばらついている方が,説得の閾値がばらついている場合よりも,グローバルカスケードが生じやすくなっているという結果が得られた。

    本研究のシミュレーション結果は,社会的ネットワークにおける伝播のプロセスの理解に重要な示唆を与えるものである。

    コメント:なれない分野の論文でしたが,心理学で明らかになっている説得プロセスをネットワークシミュレーションに組み込むことで,マクロな説得の影響過程が見れたら面白そう。

    投稿: 2017/10/22 23:58、Saki Nakamura
  • スマイリー😄の使い時にご注意を
    Glikson, E., Cheshin, A., & van Kleef, G. A. (2017). The Dark Side of a Smiley: Effects of Smiling Emoticons on Virtual First Impressions. Social Psychological and Personality Science, 1948550617720269.

    笑顔などの情動を表出するかどうかは,第一印象を大きく左右する。これまでの研究からも,笑顔を表出する人はそうでない人よりも「温かい」「有能」といった印象を与えることが分かっている。しかし,メールやSNSなどのコンピュータを介したコミュニケーション(CMC)では,表情を使って情報を伝達することができない。CMCにおいて笑顔の代わりになるものが「スマイリー(😄)」である。本研究では,ビジネス場面を想定した会話において,笑顔表出ありの動画,笑顔なしの動画,スマイリー記号の入ったメール,スマイリーなしのメールの4つの条件を設定し,そのメッセージの送り手に対する印象を評価させる実験を行った。

    実験の結果は,スマイリーは実際に笑顔を表出する時と同じような印象を与えるわけではないとのこと。むしろ「アホっぽい」印象を与えてしまうというようなマイナス効果もある,ということでした(研究1,Figure 1)。

    その他,メールの文章にスマイリーがあることは,その人物の能力を低く感じさせ,その結果,返事を短く適当に済ませようとする行動につながったり(研究2),研究1で見られた,「メールにスマイリーがあることで,送り主に対して温かい印象を与える一方で,有能さの印象を下げる」という影響に,そのメールの
    適切さの評価が低くなることが媒介することを示した(研究3)。

    コメント:どういう場面設定かによっても,スマイリー付きのメールが与える印象というのが変わりそう。
    投稿: 2017/10/22 23:58、Saki Nakamura
  • どんな国でも,どんな人でも,「インモラルな人は無神論者」扱い
    Gervais, W. M. et al. (2017). Global evidence of extreme intuitive moral prejudice against atheists. Nature Human Behaviour.

    プレレジストレーションはこちらをご覧下さい.
    論文の内容は,Natureのサイエンスライティング記事をご覧下さい.

    これまでの「無神論者ダメ」研究がWEIRD(Western, educated, industrialized, rich, democratic ちなみにweirdは英語で「怪しげ」というニュアンス)データに偏っていたという反省にたち,宗教性も国家の安全さも様々な13カ国(オーストラリア,中国,チェコ,フィンランド,香港,インド,モーリシャス,オランダ,ニュージーランド,シンガポール,アラブ首長国連邦,イギリス,アメリカ)でデータを収集した研究.課題はいわゆる「リンダ問題」の誤答率(conjunction fallacy rates)を調べるもの.

    ※リンダ問題(Tversky & Kahneman,1983
    合接(論理積)の誤謬(英: conjunction fallacy)を調べる課題.合接の誤謬とは,一般的な状況よりも特殊な状況の方が蓋然性が高いと誤判断することで,形式的誤謬(formal fallacy)の一つ.

    リンダは31才、独身、率直な性格で、とても聡明である。大学では哲学を専攻した。学生時代には、差別や社会正義といった問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加した。
    どちらの可能性がより高いか?

    リンダは銀行窓口係である
    リンダは銀行窓口係で、フェミニスト運動に参加している

    この質問を受けた人の大多数が選択肢2を選んだ.しかし,2つの事象が同時に(in conjunction:合接して)発生する確率は,そのどちらか1つの事象が発生する確率よりも低いか等しいかのいずれかであるから,論理的には誤答である.しかし人は,目立つ特徴に引っ張られてその誤謬に気づきにくい.これを上手く利用して「インモラルな人物(ここでは「子どもの頃に動物を残虐にあつかい,長じて成人してからは暴力をさらにエスカレートさせて,5人のホームレスを殺してバラバラにするような大犯罪人になった,という男性」というヴィネット)は無神論者だ」という認識を間接的に測定した.具体的には,

    A この男性は教師である
    B この男性は教師で,1神を信じている/2神の存在を信じていない

    から選択を行わせた(B1とB2は被験者間要因).すると,フィンランドとNZを除くすべての国で,B1が選ばれる誤答率よりB2が選ばれる誤答率が高く,その傾向は本人の神の存在を信じている程度により上昇は見られるものの,本人が無神論者(信心0)であっても見られた.
    投稿: 2017/10/12 17:42、Asako Miura
  • クラウドソーシングサービス,どこがどうなの?
    Peer, E., Brandimarte, L., Samat, S., & Acquisti, A. (2017). Beyond the Turk: Alternative platforms for crowdsourcing behavioral research. Journal of Experimental Social Psychology, 70, 153-163.

    Amazon Mechanical Turkの独り勝ちだったクラウドソーシングサービス利用のデータ収集界隈,しかし登録者はそろそろ頭打ちでみんな実験に慣れてきてしまった.もう刈る草がないぞ,どうしよう,というわけで代替サービスとなりえそうなものとMTurkを比較した研究.今度日本でそれをやった研究を論文化するので,参考のために読みました.比較対象とするサービスすべてで同じ調査で行って,回答行動や回答データを比較した,というわけです.調査内容は,

    心理尺度:認知欲求NFC,自尊心RSES
    注意チェック項目ACQs
    回答者のナイーブさ:「以前別の調査でこの質問に答えたことがあるか?」
    大体ロバストな結果が出る意思決定課題:Asian Disease framing effect, Sunk Cost Fallacy, Retrospective Gambler's Fallacy, Quote Attribution question
    チーティング課題

    で,データを収集したサービスは,MTurkの他,Prolific Academic, Crowd Flower, それにStudy 1では大学のサブジェクトプールも対象としました.比較の結果は以下のようにまとめられます.

    • ProAやCFの参加者はMTurkよりもナイーブで不正直ではない
    • CFは回答率は高いが注意力がいまいちで,MTurkやProAでは再現された意思決定課題の結果が再現されない
    • ProAのデータの質はCFより高く,MTurk並み
    • CFはMTurkより参加者のダイバーシティが高い

    MTurkerがカリカリにチューンナップされた人々が多いこと,アメリカとインドのサンプルに偏っていることは,社会心理学のデータ収集にとっては割と深刻な問題だと思いますが,アメリカ人はともかく日本人や欧米人がそれを気にしないのはなぜなんでしょうね.まあ,他に選択肢を思いつかないからですね.
    投稿: 2017/10/12 15:12、Asako Miura
  • 直感的な選択の方が創造性が高い?
    Zhu, Y., Ritter, S. M., Müller, B. C. N., Dijksterhuis, A. (2017) Creativity:Intuitive processing outperforms deliberative processing in creative ideaselection. Journal of Experimental Social Psychology, 73, 180-188.

      私たちの生活の中で,創造的なアイデアは高く評価され,科学技術の多くは創造的なアイデアを生み出せるようデザインされている。しかし,実際の場面で創造的なアイデアを利用する際には,アイデアを生成するよりも,アイデアプールから最も創造的なアイデアを選ぶ,という行為の方が多い。創造的アイデアの生成と創造的アイデアの選択は,いずれも創造性理論と関連しているにも関わらず,両者の研究は別々に行われることが多い。本研究では,特に創造的アイデアの選択における,プロセス(直感的に選ぶか,熟慮して選ぶか)の影響について調べた。

    【実験1】

    87名の対象者を直感条件(n=44) (「直感的に,最も創造的だと思うアイデアを選択してください」と教示される)と,熟慮条件(n=43(「注意深く分析して,最も創造的だと思うアイデアを選択してください」と教示される)に割り当てる。対象者は予備調査によって集められた創造的なアイデア(例えば,「より多くの人に電車を利用してもらうにはどうすればいい?」といったお題に対する答え。それぞれのアイデアには専門家による得点が付与されている)に対して創造性評価を行った後,「これぞ創造的!」と思うアイデアを6つ選択する。 その結果,創造性・独自性については,直感的条件の方が熟慮条件よりも,創造性の専門家評価が有意に高かった。有用性は,熟慮条件の方が有意に高い傾向。

    【実験2

    実験1と同じ実験材料を用い,「対象者が先に創造的なアイデアを選択してから評価する」という順番だけ変えて実験を実施。その結果,実験2と同様,創造性・独自性については,直感的条件の方が熟慮条件よりも,創造性の専門家評価が有意に高かった。有用性は有意差なし。

     

    いずれにせよ,直感的に選んだものの方が,専門家評価の創造性,独自性が高いという結果に。

    投稿: 2017/10/11 20:44、Megumi Tabuchi
  • 顔を見れば社会的階級を予測できる?

    Bjornsdottir, R. T., & Rule, N. O. (2017). The visibility of social class from facial cues. Journal Of Personality And Social Psychology, 113(4), 530–546. https://doi.org/10.1037/pspa0000091

    これまで,私たちが非言語的手がかりを介して意図的に自分の社会的階級を表現する可能性が示されてきたが,知覚者側がそれをどれほど早く検出できるかは明らかにされてこなかった。私たちは他者の顔を見ただけで社会的階層を予測できるのか,予測できるとすると,どのようにして推測しているのかを明らかにする実験を実施した。

    実験1他者の顔から社会的階級を予測できるか?

    方法:呈示する顔刺激は,年収が$150,000以上と報告している場合は富裕層(rich),$35,000以下と報告している場合は貧困層 (poor)とした。参加者はランダムな順序で呈示される顔をrichなのかpoorなのか,第一印象で分類をおこなった。その後,質問紙調査をおこなった。階級差別について(階級に基づく偏見; Economic Belief Scaleを使用)や社会階級に根ざした本質主義についての質問項目に回答し,社会的階層の好ましさ・特定の社会階級の人たちへのあたたかさについても回答した。参加者は最後に参加者の家計情報・主観的な社会的階層についてもこたえた。

    --> 参加者は顔の刺激の社会的階層をチャンスレベル以上にうまくカテゴリ化できることがわかった。

    参加者の回答の正確性(e.g., poorpoorと報告)と反応バイアス(e.g., richpoorと報告)をどのような変数が予測するのかを調べるため,6つの調整変数を用意した (classism, class preference, class warmth, social class essentialism, the perceivers’ incomes, subjective social class) 。分析の結果,他者の社会的階級を予測する能力は知覚者側の社会的階級やそれに関連した態度で変動しないことが示された。

     

    実験 2A, 2B, 2C 知覚者側はどのような顔の特徴を利用して社会的階級を予測しているのか? (Fig.1)

    2Aの結果:参加者は正立状態の顔でも倒立状態の顔でも社会的階級をチャンスレベル以上で予測できることがわかった。これらの結果は顔の全体の形状のみが社会的階級のてがかりを提供するわけでないことを示唆。

    2Bの結果:参加者は上半分の顔でも下半分の顔でも社会的階級をチャンスレベル以上で予測できることがわかった。上半分の顔と下半分の顔の正解率に違いはなかった。これらの結果は顔の上半分と下半分の両方の情報で知覚者が社会的階級を予測している可能性を示唆。

    2Cの結果:実験の結果,参加者は目でも口でも社会的階級をチャンスレベル以上で予測できることがわかった。けれども,口の方が目よりも正解率が高いことがわかった。これらの結果は目と口の両方の情報で知覚者が社会的階級を予測でき,口だとよりはっきりと予測できる可能性を示している。

    実験 顔の物理的特徴以外のてがかりが社会的階級をどこまで予測する?

    顔の特徴以外のてがかりが社会的階級をどこまで予測するかを検討した。特に,社会的階級と関連していると考えられる5つの変数との関係性について検討した (affect, attractiveness, dominance, empathy, health, intelligence, warmth) 。因子分析を行い,魅力度(attractiveness, health, intelligence)と積極性(affect, empathy, warmth, reverse-coded dominance)に関する2つの因子にまとめ,レンズモデルに当てはめて検討した。その結果,魅力度と積極性の両方が「富裕層とカテゴリ化する確率」と相関関係にあり,魅力度のみが実際のモデルとなった顔の社会的階層と相関していた。

    --> 知覚者は魅力度をターゲットの社会的階層を知覚するのに使用していたと考えられる。

    実験 4A, 4B  十分に統制された顔写真からでも社会的階級を予測できる?

    これまで使用してきた顔写真はweb ベースで収集した写真であったため,顔写真にうつる人の情動表情や角度の細かな変数は操作できていなかった。このような変数を統制するため,実験4では実験室で撮影した写真を用いて実験を行った。

    実験4Aの結果:新しく使用した顔写真でも知覚者はチャンスレベル以上で顔から社会的階級を予測できることが示された。

    実験4B:因子分析を行った結果,Attractiveness, Diligence, Positivity が抽出された。レンズモデルにあてはめると,わずかであるが,積極性のみが有効なてがかりとして機能することが示された。

    実験 5A, 5B 社会的階級の知覚に積極性(Positivity)が与える影響

    実験 5A: 合成顏を作成し,「呈示した人物が今どのように感じていると思うか」を答えさせた (Fig. 4)。その結果,貧困層よりも裕福層の方がポジティブな感情であると評価された。

    実験 5B:顔画像の呈示時間を短くすることで顔から得られる情動情報(affect)が人物の社会的階層の知覚に影響するかを検討した。実験4Aと同様にモデルの社会的階層の予測がチャンスレベル以上で予測できることが明らかとなった。

    実験6A, 6B 顔の情動情報は社会階級の予測を妨害するか?

    実験6A:顔の情動が社会的階層の手がかりになっているならば,顔の情動表情が存在することで,社会的階層の予測がおこないにくくなる可能性。笑顔だとより高い社会的階級だと予測されることが報告された。

    実験6B笑顔が社会的階級のカテゴリ化を妨害するかを調べた。仮説と一致して,人物の階級をうまく弁別することができなくなることがわかった。

    実験 7 人物から推測された社会階級が雇用の機会に与える影響

    社会階級を知覚されることで,知覚された人物の経済状況にどのような影響を及ぼすかを検討した。例えば,貧しい人々に対する偏見は、その人にとって経済状況を改善する可能性のある機会を制限し、排除してしまう可能性がある(RidgewayFisk2012; Stephens et al., 2014)。

    方法:参加者は会計士志望の人物の顔を見て,会計士として成功する確率を答えるように教示された。

    --> 富裕層の人の方がより良い職につくと予測された。社会階級に関する顔の手がかりを重要な社会的判断の決定に使用していることを示している。


    投稿: 2017/10/08 22:57、Risako Shirai
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2015年度までの講読論文まとめ 2015年度までのまとめブログ


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三浦以外のメンバーのWeekly Reportは,内部限定です.

Tabuchi

Czech

Nishimura

Kaneuchi

Murayama


PI-Miura

  • 11/20
    先週したこと
    行動計量学論文 序論と方法を書き上げ,結果と考察を書き進めている.■■■■■■□□□
    弁護士氏仕事 第2稿完成→送付からの急遽11/17に対面MTG.
    11/16 文化心理学読書会第2回 こういう機会はたまにあると楽しい.
    11/17 下山先生映像教材作成@東京 無事終了
    11/18 KSP@梅キャン 無事終了
    実社心研の編集事務局担当者が緊急入院したため,事務局仕事を代行

    今週すること
    行動計量学論文 月・火で結果と考察を書いて共著者に投げる.多分なんとかなりそう.
    筒井科研ツイートログ取得依頼(佐藤さんにたのむ)
    11/24 BK大阪講演会 月にタイトルと概要を送り,水に資料作成予定
    感情心セミナー資料作成

    11/21 KG-RCSP MTG

    小ネタです.小川先生が読みたがっていた記事がデータベースにあるかどうかと思って「別姓」で検索したら「これぞ弱論拠」というのがあったのでご覧下さい.なお,肝心の当該記事の方はやっぱり読めませんでした.

    memo
    社心大会発表を論文化(実社心研Short Note)
    例の論文投稿 Editageに投げる
    心理学評論 1月末
    例の資格の例の科目の教科書分担執筆 4月末
    12/16 感情心セミナー(スライド12/7まで),12/25 再現可能性科研PJ MTG
    1/6 霊長研ICBM1,1/10 大阪市大セミナー,1/15 中京大学術講演会
    投稿: 2017/11/19 18:46、Asako Miura
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