集団同一視することで態度の確実性が回復する

2017/02/01 17:44 に Saki Nakamura が投稿   [ 2017/02/01 17:47 に更新しました ]
最近の説得研究で注目されている態度の一側面に「態度の確実性」があります。態度の確実性は「自身の態度について持つ主観的な自信や確信の感覚」と定義されます(Abelson, 1988; Rucker, Tormala, Petty, and Briñol, 2014).。今回は,「態度の確実性」について,今年Journal of Experimental Social Psychologyに出版された,関連する集団と同一視することで,態度の確実性が回復することを明らかにした研究を紹介します。

この研究では,まず,実験参加者に社会的問題(リサイクル)に対する態度をたずねました。その後に,態度の確実性の操作として,参加者自身のリサイクルに対する態度の根拠を4つ書かせ,それを全体での議論と比較して,参加者の書いた理由は弱い(確実性が低くなる操作)か強い(確実性が強くなる操作)かをフィードバックをしました。その後,別の課題として,環境問題についてよく知っている集団,もしくは環境問題とは無関係な集団に対してどの程度同一視するかをたずね,そして再度リサイクルに対する態度に対する確実性をたずねました。

以下の図は,集団との同一視の程度に関する結果を示しています。環境問題についてよく知っている集団(Group RelevanceがHighの条件)に対して評価する条件では,「あなたの根拠は弱い」とフィードバックを受けた時のほうが「強い」とフィードバックを受けた時よりも,その集団との同一視の程度が高いことが明らかになりました。
 

さらに,以下の図は集団との同一視の程度を評価する前後の環境問題に対する態度の確実性を示した結果です。弱いフィードバックを受け,なおかつ,環境問題と関連する集団に対して同一視の評価を行った条件では,同一視の評価の前後で態度の確実性の評価に差がありました。つまり,弱いフィードバックを受けたことによって弱まった態度の確実性が,関連する集団との同一視の評価を行うことで,回復したことを示しています。

このようなことが生じる背景として,この研究では,人は自身や世界に対する不確実性を嫌がり,その嫌悪の感覚を軽減し,自身に対する一貫した感覚を維持しようとするために,集団と同一視しようとするという,不確実性ー同一視理論(Uncertainty-Identity Theory)による説明がなされています。
集団同一視をすることの利点はたくさんありますが,態度の確実性という点においては,それに関連した集団と同一視することが確実性の回復に重要だそうです。
(中村早希)

【文献】

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