リマインダにユーモアを添えるとオンライン調査の回答率アップ!

2016/07/27 15:35 に Asako Miura が投稿   [ 2016/07/27 22:13 に更新しました ]
Rath, J. M. et al. (2016)
Boosting online response rates among nonresponders: A dose of funny.
笑いの効能:協力的でなかったオンライン調査対象者の回答率を上昇させる
doi: 10.1177/0894439316656151

大学で,自分が担当する/どなたか先生に頼み込んで,教室にいる受講生を対象にしか,質問紙調査や実験参加への協力依頼をしたことがない人にはピンとこないかもしれませんが,いわゆる「社会調査」では,極力「一般市民からのランダムサンプリング」をすることが何よりも大事とされています.心理学者は教室での集合実施による大学生対象の調査にあまり抵抗を覚えないかわりにどのような問い方をするか,例えば尺度の内容にこだわりますが,社会調査業界の方々は何よりランダムサンプリングが大切で,(相対的な意味で)項目のことはあまりに気にしません.この業界では,どうやって数多くの調査に協力してもらい(つまり,回収率を上げ),サンプルサイズを大きくするのかが,常に悩みの種であり,あるいはそれが論文の種でもありました.オンライン調査隆盛となる前は,どのような郵送調査が良いのか,例えば封筒のサイズや調査票の色,のり付けの仕方,いつ頃リマインドをするか,等々が様々に工夫されてきたのですが,その波がここ数年はオンライン調査にも来ているということなのでしょう.

記事と論文のタイトルですでに結論を述べていますが,Truth Initiative Young Adult Cohortのパネル5190名を対象に,いったんごく普通のメイルで調査依頼をしただけでは協力してくれなかった回答者(n=2963)にリマインダをかける際に,以下の3パタンいずれの内容にするかで,最終的な回答率がどのくらい異なるかを検討しています.1回目のリマインダでは,未回答者のうち約1/4には統制条件の普通メイルを,残り3/4を「ユーモアのみ」条件か「統計情報+ユーモア」条件のいずれかにランダムに割り当てました.そして,まだ回答が得られない人々に2回目のリマインダ(間隔を要確認)をかけたのですが,1回目が「ユーモアのみ」条件だった人たちには「統計情報+ユーモア」メイルを,同じく「統計情報+ユーモア」条件だった人たちには「ユーモア」メイルを送信しています.統制条件は同じものを2回送っています.

当然のことながら,著者らは,「ユーモアのみ」あるいは「統計情報+ユーモア」条件は統制条件よりリマインダ効果があるだろうという仮説を立てていますが,この手のハウツー研究にありがちなことに,その根拠は特に示されていません.ここで「なぜユーモアは人を動かすか」を論じても仕方ないかもしれませんが,なぜ統計情報を加える条件も作ったのかくらいは一言あってもいいように思いましたし,デザイン的には統計情報のみ条件もあってもよかったのではないかとも思います.まあ,サンプルサイズの問題もありますけど.
さて,主要な結果はTable 3 (p. 8)にあります.さまざまな統制変数をぶちこんだロジスティック回帰で,協力有無を予測しています.注目すべきは「Treatment conditon」と「Treatment condition collaspsed」で,リマインダ1回目については,実験条件の方が協力率が高く,またそれはユーモア条件において顕著であることがわかります.2回目は,条件による効果は見られませんでした.Case Flowに示された実数の方がわかりやすいと思いますが,統制条件では2回のリマインダを経て回答した人が44.8%(732-404=328名)だったのに対して,ユーモアありの2条件では48.6%((1089+1142)-(557+589)=1085名)でした.んー,微妙.でも何せ少しでも増やしたいのですから,やらない手はない,のでしょうね.
ところで,この刺激,どう「面白い」んでしょう?イマイチつかめませんでした…アメリカンジョークむつかし…



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