一般的信頼が高い人は,仲間外れにされたら新しい人間関係を築こうとする

2016/05/25 21:24 に Saki Nakamura が投稿   [ 2016/05/27 22:29 に更新しました ]
自分だけ飲み会に誘われなかった…ガッカリ(´・ω・`)という些細なものから,自殺に至ってしまうほどの深刻なものまで,集団生活を営むうえで仲間はずれにされて,それが問題になることはあると思います。
今回は,仲間外れにされた後にどのように人間関係を維持・形成するのかについて,一般的信頼の役割に注目したYanagisawa, Nishimura, Furutani, & Ura (2013) 研究を紹介します。


社会的排斥された後の関係維持・形成の2つのパターン
仲間外れのことを社会的排斥といいます。社会的排斥を受けた後に,どのような人間関係を維持・形成する方略をとるのかについて,①それでも新しい人間関係を築いていこうとするタイプと②悲観的になって何もしなくなるタイプがあります。
一般的信頼:他者一般への信頼
一般的信頼は,特定の誰かに対する信頼ではなく,他者一般に対する信頼のことを言います。一般的信頼の高低によって,対人関係に対する方略が異なります。一般的信頼が高い人は人脈を広げようと行動する一方で,一般的信頼が低い人は深く狭い関係を好み,既存の関係に依存する傾向があります。

社会的排斥を受けた後の一般的信頼の役割
では,社会的排斥を受けた後の行動に,一般的信頼はどのように関わるのでしょうか? Yanagisawa (2013) らは,社会的排斥を受けた後に,一般的信頼が高い人は,新しい関係を築こうとする一方で,一般的信頼の低い人は新しい関係を築くことに対してリスクを感じ,これまでの関係を維持しようとすると予測しています。

説得納得ゲームを用いて実験!
Yanagisawa (2013) らの研究では「説得納得ゲーム」を使って,社会的排斥の後の行動における一般的信頼の役割を検討しています。
具体的な手続きとしては,以下のような手続きを用いています。

まず参加者は,【前半説得者役・後半被説得者役】あるいは【前半被説得者役・後半説得者役】のいずれかに割り振られました。
そして,参加者は説得納得ゲームのルール(①から⑥)が伝えられました。

①説得者は被説得者役の人たちから,説得する相手を選ぶ。
②説得者は,自分のアイデアを被説得者へ受容してもらえるように説得する。
③説得者は制限時間内であれば何回でも繰り返し説得することができる。
④被説得者は説得者のアイデアを受け入れるかどうかを考え,必要があれば説得者に質問することができる。
⑤被説得者は,説得者のアイデアに同意すれば,説得者のカードに署名と丸をつける。同意できない場合は署名のみする。
⑥説得者役はできる限り多くの人から署名と丸をつけてもらえるように頑張る。

今回は「健康的な生活のために何をすべきか」というお題で,前半と後半で役割を入れ替えて,説得納得ゲームが行われました。
一般的信頼は一般的信頼尺度(Yamagishi, 1998)の6項目の中の3項目(α=.90)で測定されました。

説得する相手に選ばれなかった人(=社会的排斥を受けた人)が説得者役になったときにどう振る舞うのか?
【前半被説得者役・後半説得者役】の中で,前半のセッション(=被説得者役のセッション)で説得の相手として選ばれた回数が少なかった人を社会的排斥を受けている人とみなし,一方で多ければ社会的排斥を受けていないとみなしました。この人たちが,後半のセッション(=説得者役のセッション)で,何人に説得を試みたのか,また,その相手が前半セッションで説得を受けた相手かどうか,分析を行いました。
その結果がFigure 1とFigure 2です。

yanagisawa_2013_figure 1


まず,Figure 1は何人に説得を試みたかを示しています。社会的排斥を受けた人でも,一般的信頼が高い人は,排斥を受けていない人と同じくらい説得を試みています。一方で,一般的信頼が低い人は,説得を試みた相手の人数が少ないことがわかります。

yanagisawa_2013_figure 2


次にFigure 2では,前半セッションで説得を受けていない人 (=この実験で初めてインタラクションを持った人)に説得を試みた人数を示しています。このグラフから,社会的排斥を受け,かつ一般的信頼が高い人は,前半セッションで説得を受けていない人を説得相手として選んだ回数が多いことがわかります。

一般的信頼が高い人は,仲間外れにされたら新しい人間関係を築こうとする
Yanagisawa (2013) らの研究結果から,一般的信頼は,社会的排斥を受けた後には既存の関係を修復するのではなく,新しい関係性を作るような方略を用いることで,社会的なつながりを維持しようとすることが明らかになりました。一般的信頼を高めることによって,仲間外れにされたとしても,新たに人間関係を築こうとすることで,私たちにポジティブな影響をもたらすかもしれませんね。

【引用文献】
Yanagisawa, K., Nishimura, T., Furutani, K. & Ura, M. (2013).
Asian Journal of Social Psychology16, 133–141. DOI: 10.1111/ajsp.12021
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