「厚切りフレンチフライのほうが望ましい」と思っている人は,そうでない人よりも厚切りフレンチフライを食べに行こうとする。

2017/08/04 2:38 に Saki Nakamura が投稿   [ 2017/08/05 8:58 に更新しました ]
DeMarree, K. G., Clark, C. J., Wheeler, S. C., Briñol, P., & Petty, R. E. (2017). On the pursuit of desired attitudes: Wanting a different attitude affects information processing and behavior. Journal of Experimental Social Psychology, 70, 129-142.

記事タイトルからは「何の研究だ…」と思われるかもしれませんが,「態度」に関する研究です。

最近の研究では,人々は,実際の態度(actual attitude)に加えて,しばしば望ましい態度(desired attitude)を持つということが言われています。タイトルの例でいえば,「厚切りフレンチフライ」という1つの態度対象に対して,自分自身が心から望む態度と,メタ的な要素を持つ望ましい態度を持っているということになります。実際の態度と望ましい態度は,しばしば一致しないこともあります。
これまでに,「実際の態度」が行動を予測することを示した知見は山のようにありますが,「望ましい態度」も行動に影響するのでしょうか?この研究では,望ましい態度が行動,情報探索,新しい情報の処理に影響するのかを検討し,そして「望ましくあるべき」という方向ににコミットしようとするかどうかの個人差が,望ましい態度と行動への影響を調整するのかを検討しました。

研究1:行動意図との関連を検討。世界的なファーストフードチェーンのマクドナルドに対する実際の態度と望ましい態度を測定し,行動意図の指標として「次月にマクドナルドにどのくらい行くつもりか」測定しました。
研究2:情報探索時におけるバイアスとの関連を検討。さまざまな態度対象(たとえば,黒人,ヒラリークリントン,など)への実際の態度と望ましい態度を測定し,それらについて書かれたポジティブな記事とネガティブな記事についてそれぞれどれだけ読みたいかを尋ね,どれだけポジティブな情報をネガティブな情報よりも収集しようとするのか,そのバイアスの程度を測定しました。
研究3:情報処理におけるバイアスとの関連を検討。死刑に対して,実際の態度と望ましい態度を測定し,情報処理のバイアスの指標として,それに関する肯定的な研究知見と否定的な研究知見の両方を読み,どの程度死刑に意味があるのかを測定しました。
研究4:行動との関連を検討。実際にコーヒーを試飲させ,それに対する実際の態度と望ましい態度を測定しました。さらに,行動指標として,どれだけミルクや砂糖を入れたか,どのくらい飲んだかを測定しました。

4つの研究を通して,望ましい態度も行動意図(研究1),情報探索(研究2),情報処理(研究3),行動(研究4)を予測することが明らかになりました。特に,研究3と4では,「望ましくあるべき」という方向にコミットしようとするかどうかという個人差を測定しており,よりそうであるべきだと回答した人ほど,望ましい態度が情報処理のバイアスや行動を予測していました。


研究3のコーヒーの消費量の結果。
High Commitmentで,望ましい態度がポジティブな場合にコーヒーの消費量が増えている。
一方で,Low Commitmentの人は,コーヒーの消費量に望ましい態度がポジティブかネガティブかが関係しない。

…ということで,実際の態度はそこまででなくても「モスやケンタみたいな厚切りタイプのフレンチフライは望ましい」というように望ましい方向にコミットメントしようとする人は,厚切りタイプのフレンチフライを食べようとする,という記事のタイトルにつながります。

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