【レビュー】態度のモラル化に直観や危害の認識は重要でない

2018/03/01 20:32 に Saki Nakamura が投稿   [ 2018/03/18 7:12 に更新しました ]
Skitka, L. J., Wisneski, D. C., & Brandt, M. J. (2017). Attitude moralization: Probably not intuitive or rooted in perceptions of harm. Current Directions in Psychological Science, 27, 9-13.

人によってある物事に対する道徳的信念の程度は異なり,それが変化することもある。しかし,どのようにしてある物事に対して道徳的に「良い」あるいは「悪い」という信念が形成されるか(これを「態度のモラル化」という)についてはあまり研究がなされていない。これに関連する議論として,Hadit (2001) の社会的直観モデルに代表される「直観」を重視する立場と,agent-patient theories of morality (e.g., Horberg, Oveis, & Keltner, 2011) を代表とする,直観だけでは不十分で「意識的な気づき」が必要で,特に,ターゲットとなる事象の「危害の認識」が重要だという立場がある。本論文では,前者のように態度のモラル化には「直観」が重要なのか,後者のように「意識的な危害の認識」が重要なのかを検証した,実験とフィールド調査の結果に基づいて議論を行う。実験とフィールド調査の結果はいずれも,態度のモラル化は,(1)直感的な処理によって生じるものではなく、(2)意識的な認識が関連するものの,危害の認識が特別重要であることはない,ことを示している。2つの研究だけで結論付けるのは尚早であるものの,本論文は直観と危害の認知を強調する現在の道徳理論の限界を指摘し,モラル化のプロセスを理解するためにより多くの研究が必要であることを主張する。
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