純潔を超えて:性格の悪さにも道徳的嫌悪を感じる

2017/04/14 5:02 に 西村友佳 が投稿
Roger Giner-Sorolla & Hanah A. Chapman. (2017). Beyond purity: moral disgust toward bad character. Psychological Science, 28 (1), 80-91. 

 先行研究では、道徳的嫌悪は不潔(impurity)と、怒りは危害(harm)と関連すると考えられてきた。しかし、この研究では道徳的嫌悪は不潔によってのみ生じるのではないことを示している。相手の性格がどのようなものかを判断することが嫌悪に関係していること、そして相手の行為について判断することが怒りに関係していることから、道徳的嫌悪も行為者の性格の悪さを感じた時に引き起こされると考えられる。
 研究1において参加者は2つのシナリオを読み、シナリオに登場した人物(JohnとRobert)の性格と行為、そしてシナリオを読んで嫌悪感と怒りをどれくらい感じたかについて評価をした。Johnは8年間付き合っている彼女が浮気をしたと知り、怒って彼女を殴った。このJohnについてのシナリオは本人の性格の問題には繋がらない、行為そのものが不道徳であると判断されるものとされた。一方Robertは8年間付き合っている彼女が浮気をしたと知り、怒って彼女の猫を殴った。このRobertについてのシナリオはRobertが道徳的に悪い性格を持っていると判断されるものとされた。結果、Johnの行為は怒りと関係しており、Robertの行為は嫌悪と関係していた。
 研究2では、研究1とは異なるシナリオが使用された。シナリオの中の行為者に危害を加える意図があったかどうか、行為者のしたことが相手に害を与えたかどうかが操作され、参加者はシナリオを読んで嫌悪感と怒りをどの程度感じたかを評価した。その結果、行為者が相手を傷つけたいと思っていたことは嫌悪感と関係しており、行為者のしたことが相手に害を与えたかどうかは怒りと関係していることが示された。
 以上の結果から、道徳的嫌悪は相手を傷つけたいという願望を持っているといったような道徳的に悪い性格の現れに対する反応として起こることが明らかとなった。これまで道徳的嫌悪は不潔であることに対して生じるとされてきたが、不潔に対してのみ起こるのではないようだ。
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