単純接触の罠 ―平均化が顔の魅力に与える影響―(2017.5.5修正)

2017/04/27 23:28 に Sayo Kaneuchi が投稿   [ 2017/05/04 21:38 に更新しました ]
Carr, E. W., Huber, D. E., Pecher, D., Zeelenberg, R., Halberstadt, J., & Winkielman, P. (2017). The Ugliness-in-Averageness Effect: Tempering the Warm Glow of Familiarity. Journal of personality and social psychology.

単純接触とブレンディングは顔の魅力を含めた社会的選好性を高める方法として昔から知られている。両方の効果において、対象に対する親近性が高まる。ある対象が比較的弱く学習されると、それらの混合物(morphs;モーフィングされたもの)はより好ましく感じられる―平均による美しさ効果(Beauty-in-Averageness effect; BiA効果)。しかし、一つ一つの対象が強く学習されると、それらはより区別がつくようになる。それゆえに、混合物への親近感(と選好性)は個々のアイテムに比べて低くなる。すなわち、魅力は低くなる―平均による醜悪性効果(Ugliness-in-Averageness effect; UiA効果)。

顔写真が強く学習されることなくたくさん提示されるならば、モーフィングされた顔写真はただの個人の顔写真よりも魅力的で親しみがあると評価されるだろう、と我々は予測した。そこで実験①では、モーフィングした顔と個人の顔を評価させた。その結果、学習の程度が弱いと、モーフィングした顔のほうが高評価だった(BiA効果)。

実験②と③では2種類の再生課題を行わせた。1つは写真の人物の名前を記憶・再生させるもの、もう1つは写真の上に現れた印の色と数を再生させるものであった。これらの課題は、写真の学習(記憶)の程度を強めるために行われた。その結果、個人の顔を繰り返し提示することは単純接触効果を引き起こす一方で、UiA効果も生じさせることが示された。すなわち、慣れ親しんだ個人のモーフィング画像の魅力は、新しい個人の写真よりは魅力的だったものの、親しみのない個人のモーフィング画像(=実験①)に比べると魅力は低かった。

実験④では、参加者に個人の顔写真を見せた。この時、顔写真のどこかに青または緑の印を提示した。参加者には、写真のどこに何色の印があったかを後に答えさせた。次に、各写真について親近性(親しさ)と魅力を判断させた。最後に、記憶の程度を測定するために写真が新しいものかすでに見たことがあるものかどうかを判断させるテストを行った。結果、ある程度の接触レベルまでは、接触の頻度が高いほど写真を魅力的だと判断していたが、最も高い接触レベルでは、逆に魅力が下がっていた。

親近性の違いが生じた理由は記憶のREMモデル(Retrieving Effectively from Memory; 記憶からの効果的検索モデル)によって説明できると考えられる。ある対象の魅力を決定づけるのは、その対象が「平均的」かどうか―すなわち、あらゆる特徴を含んでいるかどうかではなく、むしろその対象に接触した回数が重要である。

実験全体から、単純接触効果とブレンディングが結合して親近性に影響を与えること、そして記憶過程がどのように顔の魅力の修正や逆転に働きかけているのかが明らかになった。いわゆる「平均顔」がいつも美しいわけではないのだ。

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