道徳的なショック (”moral shock”) による道徳化: 道徳的な信念に先立つ情動についての検討

2017/04/14 20:34 に Risako Shirai が投稿   [ 2017/04/23 2:41 に更新しました ]

Wisneski, D. C., & Skitka, L. J. (2017). Moralization Through Moral Shock: Exploring Emotional Antecedents to Moral Conviction. Personality and Social Psychology Bulletin, 43(2), 139–150. 

https://doi.org/10.1177/0146167216676479

テレビのニュースや新聞などで伝えられる惨忍な事件は私たちの情動を強く揺さぶり、法律を改正する動きのように、時としてそのような事件が起こる状況を改善する方向に私たちの態度を変容させる。先行研究はこのような出来事のことを“moral shock”という言葉で表現してきた。本研究はこれまで個人の逸話や記述的な表現しかなされてこなかったこの“moral shock”の存在を実験的に検討し、”moral shock”がどのように個人の道徳的な態度の変容に影響を与えているのか、また生起した情動の原因が何であるのかという意識な気づきは道徳的な態度の変容に必要であるのかを明らかにする。実験12ともに参加者の課題は呈示された刺激の弁別をすることであり、呈示された刺激が画像であったのか文字であったのかをキー押しで判断した。この時、刺激の呈示時間も操作された。実験1では4種類の画像(妊娠中絶と関連した胎児の画像/動物虐待と関連した画像/嫌悪と関連しているが危害のない画像/中性的な画像)、実験2では2種類の画像(妊娠中絶と関連した胎児の画像/傷ついた身体部位/中性的な画像)を準備した。実験1の結果、意識的な気づきのある長い呈示時間の条件の時のみ、他の画像呈示時と比較して妊娠中絶と関連した胎児の画像呈示時に妊娠中絶に対する道徳的な信念が高まった。また実験2でも、妊娠中絶と関連した胎児の画像呈示時にのみ妊娠中絶に対する道徳的な信念が高まった。加えて媒介分析の結果、妊娠中絶と関連した画像の呈示時と中性的な画像呈示時の妊娠中絶に関する信念の違いは危害や怒りの感情でなく妊娠中絶と関連した画像に対して個人が感じた嫌悪の程度によって媒介されていた。これらの結果は、ある態度と関連した嫌悪の生起と嫌悪感情が生じた原因は何であるのかということの意識的な気づきが、道徳的な信念を変容させるプロセスに重要である可能性を示している。

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