大震災を経験すると人は向社会的になる

2017/07/27 1:14 に Asako Miura が投稿
Oishi, S., Yagi, A., Komiya, A., Kohlbacher, F., Kusumi, T., & Ishii, K. (2017). Does a Major Earthquake Change Job Preferences and Human Values?. European Journal of Personality, 31, 258-265.

大きな自然災害を経験することが人の価値観を変え,そのことが職業選好も変えるのか?を日本データで検証した研究
自然災害は多くの犠牲者を出す脅威である.こうした脅威は人々をより防衛的に,保守的に,集団主義的(内集団ひいき)にさせるが,同様に他者の重要性を自覚させ,秩序や同調を重んじ,その結果として向社会的な行動を増やす可能性がある.

研究1
阪神大震災(1995年1月17日)を経験した関西5市(神戸,明石,西宮,高槻,京都)と関東4市(町田,千葉,川崎,藤沢)で,震災をまたいだ12年間(1989年度~2000年度;阪神大震災は1994年度)の向社会的職業の志願者数と競争率のデータを収集.
市レベルでデータが取れる向社会的職業として,幼稚園教員,ソーシャルワーカー,消防士をピックアップ.
関東でも関西でも,1994年以降,志願者は多くなり,競争率も高くなっているが,その急激さは関西の方が大きい.

研究2
2012年12月にWeb調査(a large national surveyと書いてあるけど,私もデータをとった楠見科研の衆議院選挙の時の調査だから…)で東北・首都圏・関西の1500名に震災経験の有無・価値観・職業を調査.
大震災を一度も経験したことがない協力者(39/597)よりも経験したことがある協力者(90/903)において向社会的職業に就いている人が多い.性年齢等デモグラの影響は特になし.
大震災を経験した協力者は自己志向や達成に価値を置く程度が未経験者より低く,同調により高い価値を置いていた.

いずれももやっとしたデータだし,ごく小さな差しかないが,個人レベルの差はごくわずかでも,向社会的職業を目指す人が増えればそれに対応する制度が整えられ,また人材配置も進むなど,じわじわと社会的影響は広がっていくだろう.今後の社会構造の変化を注視することが重要だ.
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