東アジア人とヨーロッパ系アメリカ人で視線の処理が異なる?

2017/09/10 18:29 に Risako Shirai が投稿

Cohen, A. S., Sasaki, J. Y., German, T. C., & Kim, H. S. (2017). Automatic Mechanisms for Social Attention Are Culturally Penetrable. Cognitive Science, 41(1), 242–258. https://doi.org/10.1111/cogs.12329

文化によって社会的注意のメカニズムは影響を受けるのだろうか?これまで,文化心理学や進化心理学の観点から,ある特定の文化が社会的な注意のメカニズムの仕様を変える可能性が報告されてきた。例えば,相互依存的な東アジアの文化ではより注意の焦点が広くなり,そうでない西洋文化では注意の焦点が狭くなるという。本研究では文化による違いが共同注意のメカニズムに異なる影響を与えるのかに焦点を当てた。共同注意は他者の視線移動に伴い,見ている側の注意が自動的に視線方向に誘導されることをいう。本研究はこのような他者の視線の手がかりの効果を複数−視線手がかり課題を用いて検討した。この課題では,複数の顔が背景にあるその前景に参加者が注視すべき顔刺激が呈示される。その後,参加者が注視している顔刺激の視線が移動し,同時に背景の顔刺激の視線も移動した。参加者の課題は,顔刺激の視線が移動した後,画面の左右いずれかに呈示される光点の位置に視線を向けることであった。その結果,注意の焦点を狭く顔に向けるヨーロッパ系アメリカ人は,背景の複数の顔の視線から影響を受けず,前景にいる人物の視線移動により影響を受けた。一方,東アジア人にとっては,視線の方向が背景にいる人達とマッチしているか否かが重要であり,前景と背景の人物の視線方向が不一致であると前景の人物の視線に誘導される効果が小さくなった。これらの結果は,何に注意を向けることが重要視されてきた文化であるかが社会的注意の根本にあるメカニズム形成に影響を与えてきたことを示唆している。

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