どのような心理現象がどこまで科学で説明できると感じられるのか?- 3つのファクター

2018/02/06 1:37 に Risako Shirai が投稿   [ 2018/02/06 1:40 に更新しました ]

Gottlieb, S., & Lombrozo, T. (2018). Can Science Explain the Human Mind? Intuitive Judgments About the Limits of Science. Psychological Science29(1), 121–130. https://doi.org/10.1177/0956797617722609
科学は情熱的な愛や道徳,宗教を説明できるのだろうか?1975年,愛についての研究をしていたグループが,皮肉の込められた面白おかしいことをしている団体に送られる"Golden Fleece Award " を受賞した。ここに見られるように,私たちは,ある特定のテーマ(例えばここでは"愛")を科学には至らない存在とみなしたり,科学であると認めるべきではないと感じたりする。このような信念はどこからやってくるのだろうか?何が科学で説明できて,何が科学では説明できないと感じるのだろうか

そこで本研究は,科学の範囲を超えていると考えられる心理現象を区別するファクターは何であるかを特定する調査を実施した。
Figure 1には,様々な心理現象について科学で説明できると思う程度」と「十分に科学で説明できるという考えに不快感を覚える程度」を参加者に尋ねた結果が示されている(後者の質問はFigure 1では得点を逆転して示している)。
6つの研究を通して,「心理現象に対する科学的な説明が不可能である,不快である」とみなすのは,その心理現象が自分個人でないとアクセスできないような内観 (first-person, introspective access) ,人間にしかできないような行為 (humans exceptional),意識的な欲求(conscious will)といった,大きく分けて3つのファクターが関連しているときであることを示した(Figire 2)

本研究のようなトピックを今後も研究していくことは,教育や公衆衛生に対する科学的な説明の妥当性を得るために重要である。例えば,世界的な地球温暖化に関する科学的な説明は人間が原因であるという考えを示し,学習や推論にも科学的な説明が影響を与えてきた。このような科学的な説明による効果は,今回明らかにしたファクターによって調整されると考えられる(Figire 2)。例えば,科学的な説明は私たちの行動や判断に影響を与えるかもしれないが,その行動や判断が自分の意識的な欲求によるものだと強く感じる場合はその影響力の大きさは変わってくるかもしれない。

 

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