ドットの数の順応は実際の数というよりも知覚された数に影響を及ぼす

2017/06/29 3:35 に 西村友佳 が投稿   [ 2017/06/29 3:37 に更新しました ]
Fornaciai, M., Cicchini, G. M., & Burr, D. C. (2016). Adaptation to number operates on perceived rather than physical numerosity. Cognition, 151, 63-67.

例えば、そこにたくさんボールが転がっていたとする。さて、ボールはいくつあるだろうか?きっと大体何個あるかパッと見ただけでわかるはずである。このように、人は場面にあるアイテムのおおよその数を素早く推定することができる。

上図の曲線は対象(ドット)の個数を推定した結果である。上図から、ドットが線で結ばれている場合(緑)、線で結ばれていない場合(赤)と比べてドットの個数が少なく見積もられることがわかる。さらに近年、数の推定には順応の影響を受けやすいことがわかってきた。上図から、ドットが線で結ばれていない場合は順応の効果が見られない(濃い赤と薄い赤)が、ドットが線で結ばれていると、順応の効果が見られることがわかる(濃い緑と薄い緑)。

しかし、順応は数を推定する(数の知覚)メカニズムに直接聞いているのか、それとも関連するメカニズム(例えばドットの配置のキメの密度に対する適合など)を経由しているのかどうかはわかっていない。この研究では、順応が何に効いているのかを調べている。

【手続き】
1. ドットの数推定(Baseline)
2. 順応
3. ドットの数推定(Post-Adaptation)

【ドットの数推定方法】
1. 注視点の呈示
2. 注視点のどちらか一方に標準刺激、もう一方に比較刺激を150 ms呈示する。標準刺激と比較刺激を比べて、どちらの方がドットの数が多いかを回答する。
→ 主観的等価点を求める。
呈示されるドットには3条件あった(下図a)。左側はドットの数が20個ある。右側は20個のドットが線で結ばれた10個のペアが呈示されている。中央は線で結ばれたドットが呈示された時にドットの数がいくつに見えたか、被験者の推定された数だけドットが呈示されている。

【ドットに対する順応】
1. 注視点の呈示
2. 注視点のどちらか一方(左右片側)に20個のドットが20秒呈示される。
→ ドットの数を推定する際の標準刺激はこの順応場面でドットが呈示された位置と同じ位置に呈示される。

実験の結果、線で繋がれていないドットが20個呈示されている場合、ドットの数に順応してもしていなくても正確にドットの数を見積もることができた(下図左側)。この結果はこれまでの研究結果と一致する(上図赤線)。また、ドットが線で結ばれると、ドットの数は少なく見積もられ、先にドットの数に順応しているとより少なく見積もられた(下図右側)。この結果もこれまでの研究結果と一致する(上図緑線)。さらに、線で結ばれたドットが呈示された時にドットの数がいくつに見えたかを被験者が推定した数だけドットを呈示すると、ドットを線で結んだ時と同様の傾向を示した(下図中央)。この結果から、ドットの数への順応は場面全体の物理的なドットの数に対する反応する段階ではなく、ドットの数を推定するメカニズムそのものに影響していることが明らかとなった。

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