過去の経験のポジネガの重みづけと新生活での関係形成の関連を検討

2017/07/24 1:08 に Saki Nakamura が投稿   [ 2017/07/24 22:00 に更新しました ]

Rocklage, M. D., Pietri, E. S., & Fazio, R. H. (2017). The weighting of positive vs. negative valence and its impact on the formation of social relationships. Journal of Experimental Social Psychology, 73, 65-75.

環境が変わると,そこからまた新たな人間関係を構築しなければならない。この時,自ら積極的に話しかけて友人を作るかどうかといった意思決定が生じる。一般的に,意思決定をする際には,過去の類似した経験を引き合いに出す。ただ,たいていの場合,働きかけて良い結果が得られた場合とそうでない場合の両方の経験があり,そのどちらをより重みづけるかというジレンマに直面する。本研究では,態度の一般化の理論をベースに,新たに交友関係を築かなければならない大学1年生を対象にし,その関係形成への影響に注目した検討を行った。特に,態度の一般化する際に,ポジネガの重みづけの個人差を行動で測定できると考え,またその行動で測定した重みづけ傾向が判断や行動に関連することを説明する。具体的には,BeanFestというゲームで行動指標をとる。この指標におけるポジティブの重みづけが大きければ,新たな交友関係を築こうすると予測した。

BeanFestとは,Fazio, Eiser, & Shook (2004)が開発したゲームである。このゲームでは架空の豆が提示されるのだが,その形と斑点の数に応じて100種類(10×10)あり,それぞれの豆には-10点から+10点まで点数が割り当てられている。参加者は,できる限り高得点が得られるように,提示された豆に対し「接近」か「回避」を選択する。BeanFestには学習フェーズとテストフェーズに分かれており,学習フェーズでは,そのうち36種類出てきて,選択すると獲得点数がフィードバックされた。テストフェーズでは,その豆の得点をフィードバックはしないものの,学習フェーズで出てきた豆の形と斑点の類似度によって得点が割り当てられていると教示され,出てきた豆に対して接近か回避かを選択した。よりポジティブに重みづけていれば,テストフェーズでも「接近」をより選択し,ネガティブに重みづけていれば「回避」を選択するという予測のもと,このゲームの成績から個人の重みづけバイアスの程度を算出した。

研究1では,大学1年生の入学すぐの時点におけるBeanFest課題によって算出した個人の重みづけバイアスが,2か月後の友人の数を予測するかどうかを検討した。その結果がFig 1である。予測通り,個人の重みづけのバイアスがポジティブであるほど,2か月後における大学で新たにできた友人の数が多いことが明らかになった。さらに,研究2では,ネガティブに重みづけをしている個人を対象に,重みづけを再調整する手続き(ここでは,BeanFestのテスト試行中に正解不正解のフィードバックを導入しただけ)による介入の効果を検討した。その結果,介入によって,拒否感受性を低下させ(Fig 2),さらに,2週間後の友人の数が増えたことが明らかになった。

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