ほんとは無神論者も結構いる!-リスト実験を用いた推定

2017/06/22 1:35 に Asako Miura が投稿
Gervais, W. M., & Najle, M. B. (in press). How many atheists are there? Social Psychological and Personality Science, 1-8.
DOI: 10.1177/1948550617707015

宗教に関する理論に課された1つの厳しい試練は,それが人々の信仰と不信仰を予測できる能力はいかばかりかということである.今なお(少なくともUSでは),宗教的な信仰を持たないことはしばしば重大なスティグマであるとされ,そうであるがゆえに,潜在的に多くの無神論者は匿名の世論調査ですらそれを表明しようとしない(USではだいたい3-11%程度.国際比較データは例えばこちら).そこで本研究では unmatched count technique (UCT)を用いて,2つの代表性のあるサンプルを対象とした調査を行い,そこから「無神論者の実態数」の推定を(ベイズモデリングを用いて)行っている.

UCT(ポリサイで「リスト実験」と呼ばれているもの:解説(土屋ら, 2007)
  • 社会的に望ましくない内容(例えば「私は無神論者だ」「私はクスリをやっている」など)で,直接質問しても正直な回答が得られにくそうなものに使われる
  • 代表性の高いサンプルを統制群と処置群に分割し,統制群には「無難な質問群」のみを見せて「自分に当てはまる(当てはまらない)」項目数を回答させる.処置群には「無難な質問群+社会的に望ましくない質問」を見せて同じく「自分に当てはまる(当てはまらない)」項目数を回答させる.個々の質問群について当てはまるかどうかを問うているわけではなく,トータルの数を答えさせているだけなので,「そのうちの1つ」に社会的に望ましくない質問が混ざってることに気づかれたらやばい,という気持ちを回答者に抱かせにくい
  • 代表性の高いサンプルをランダムに群分けしたなら,無難な質問群についての「自分に当てはまる(当てはまらない)」項目数はほぼ同じのはず.となると,処置群と統制群の差分が「社会的に望ましくない質問が自分に当てはまる(あてはまらない)」人がどの程度いるかを推定する手がかりとなる.
本研究では,サンプルIは「私は神を信じる」→「自分に当てはまらない」,サンプルIIは「私は神を信じない」→「自分に当てはまる」で回答させている.いずれにせよ,結果的に,世論調査の値よりも相当に多くの(30%前後の)無神論者がいそうだということが明らかになった.

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