話し手は「目新しい話」の方が楽しかろうと思うけど,聴き手は「よく知ってる話」の方が楽しい

2017/05/04 1:57 に Megumi Tabuchi が投稿

Cooney, G., Gilbert, D. T., & Wilson, T. D. (2017) The Novelty Penalty: Why Do PeopleLike Talking About New Experiences but Hearing About Old Ones? Psychological Science, 28(3), 380–


 人は互いに,自分の過去の経験談をよく語り合う。しかし,話し手側は,本当にちゃんと分かりやすく,自分の話を話せているのだろうか?この研究では,話し手側は「相手は良く知っている話よりも,目新しい話の方が楽しいだろう」と期待しているにも関わらず,実際聴き手側は「よく知っている話」の方が楽しいと評価し,それはなぜかというとそのほうが「分かりやすい」からだ,ということを4つの研究で示している。

 まず,「聴き手側は,目新しい話(例:今まで聴き手が聴いたことのないような話)の方が,よく知っている話(例:聴き手も経験したことがあるような話)よりも,聴くのが楽しいだろう」と予測した。しかし実際は,聴き手は目新しい話よりも,自分も経験したことのある話の方が楽しんで聴いていた(研究1,研究2)(Figure1)。この現象は,よく知っている話と目新しい話では,内容や話し方が違っているから起こる,というわけではないことも明らかとなった(研究3)。むしろこの現象は,人の話が情報のギャップを多く含んでおり,経験したことのある話だと聴き手は自分の知識を使ってそのギャップを埋めることができるために起こる,ということが明らかとなった(研究4)。
 本研究の知見から,話し手や聴き手が思っているよりもなぜ目新しい話を話すのがより難しいのか,なぜ馴染みのある話の方が楽しいのかについて議論した。Cooneyらによれば,話し手は自分が相手にうまく話が出来ていると「思い込んでいる」,そして,「相手もある程度分かってくれる知識的土台があるだろう」という前提で話をするので,「目新しいほうが楽しんでもらえるに違いない!」と思うのだが,実際はそんなにうまく話せているわけではない。だから,聴き手としては,ある程度前情報として知識のあるほうが,「分かりやすい」ので,相手の話を楽しめるのではないか,としている。

 映画でもネタバレを知っておいてから見に行ったほうが,より楽しめる,という人がいたり,「あるあるネタ」を前提にして少しだけ外した話をした方がウケが良い,ということと通じるね,という議論になりました。

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