集団へのステレオタイプを個人の持つ情動と認知で予測する

2017/05/14 2:58 に Risako Shirai が投稿

Wolf, L. J., von Hecker, U., & Maio, G. R. (2017). Affective and Cognitive Orientations in Intergroup Perception. Personality and Social Psychology Bulletin, OnlineFirst

 https://doi.org/10.1177/0146167217699582

 集団によってステレオタイプの内容は異なっている。例えば,ユダヤ人は成功者,厳格者,頑固ものというステレオタイプをアメリカ人によって持たれている一方,高齢者は扶養されている,やさしいといったステレオタイプと関連している(Cuddy, Fiske, & Glick, 2008; Madon et al., 2001)。

 ステレオタイプ・コンテンツ・モデル (SCM; Cuddy et al., 2008; Fiske, Cuddy, Glick, & Xu, 2002)によれば、このステレオタイプの内容の違いは,対象となる人物の人柄の暖かさと能力の2つの次元に沿って説明されるという。人柄の暖かさは高い−低いという次元であり,能力(社会的地位と関連)は能力が高い−低いという次元からなる。本研究は,この人柄と能力の2軸と関連している可能性のある,個人のもつ2つの変数に焦点を当てる。その2つというのは,Need for Affect (NFA) Need for Cognition (NFC) である。NFAは,ある個人がどれほど情動を引き起こす状況や対象に対する動機づけが高いかを示している。例えば,NFAが高いと情動価の高い刺激やできごとを積極的に探そうとしたり,そういう場面に熱中する。一方で,NFCは認知的に負荷のかかるようなしんどい作業を楽しんでおこなう傾向として定義されている。例えば,NFCが高いとより難しい課題を選択し,NFCが低いと単純な課題を選択する傾向がある。

 本研究は,個人が持つこの2つの変数(NFANFC)が,どれほど人柄の暖かさ(高い/低い)と能力(高い/低い)の軸で示される特定集団へのステレオタイプを予測するかを検討した。用意した集団としては,アメリカ人(暖かさ:高/能力:高),ホームレス(暖かさ:低/能力:低),高齢者(暖かさ:高/能力:低),ドイツ人(暖かさ:低/能力:高)などがあった。参加者は,人柄(暖かい/冷たい)や能力(高い/低い; 社会的地位の判断に基づいている)に関連した単語がどれほどある特定の集団に当てはまるかを判断し,さらにその集団の好ましさについても評価した。その後,参加者ごとのNFANFCを短縮版の質問紙によって測定した。実験の結果,NFAが高い参加者は,「人柄は暖かいが社会的地位が低い」というステレオタイプと関連した集団の方が「人柄は冷たいが社会的地位は高い」集団よりもより好ましいという評価をした。一方で,NFC の高い参加者は「人柄が暖かくて社会的地位が低い」集団 よりも「人柄は冷たいが社会的地位は高い」集団の方が好ましいという評価をする傾向があった。しかし,アンビバレントでないような集団(例:「人柄が暖かくて社会的地位も高い」)にはNFCNFAも関係していなかった。これまで,特定の集団に対する社会的な態度は度々アンビバレントであることが報告されてきた。本研究は,アンビバレントなステレオタイプと関連した集団に対する態度を,個人の持つNFANFC2つが予測することを示したはじめての研究である。

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