オートペドフィリア: 性的対象アイデンティティの倒錯が生む「ペドフィリア」との差異

2017/10/08 19:49 に Sayo Kaneuchi が投稿

Hsu, K. J., & Bailey, J. M. (2017). Autopedophilia:erotic-target identity inversions in men sexually attracted to children. Psychological science, 28(1), 115-123.


性的指向の次元は3種類ある。性別・性的成熟度・惹きつけられるのが他個体か自分自身か

 

Erotic-target identity inversionETII)は性の対象そのものになっているという空想によって興奮を得るセクシュアリティ。

通常、自分の「外側」にあるものに性的魅力を感じる。しかし時に、男性の性的標的は彼自身の身体の中にあることもある。この場合、男性は自分が性的標的になったという考えや空想によって興奮する。そのようなセクシュアリティを性的対象同一性倒錯(ETII)という。

このセクシュアリティを持つ人は、自分の理想のターゲットになれるよう努力を積むと言われている。

【ETIIの例:オートガイネフィリアとアポテムノフィリア】
・オートガイネフィリアは(男性が)自分を女性だと思って興奮するもの。本来自分の外側にある性の対象が、内側に存在することになる。
 アポテムノフィリア(切断性愛)は切断された対象にだけでなく、自分が切断されることにも興奮を覚える。
 ⇒両者ともETIIを含む

【「性的倒錯」の概念に対する批判】
 性的倒錯についての概念は単に「特定の性的興味や行動が望ましくない」という価値的な判断に留まっている。
性的倒錯が男性に多いこと、一人の人が基本的に2種類以上の異常性癖を持つことが多いことから、性的倒錯とは価値判断ではなく(に加えて)生理的な事象であると考えられる。

 

【オートペドフィリア
・オートペドフィリア(子供の服装をしたり、自分が子供になったところを空想して性的興奮を得る)は小児性愛(ペドフェベフィリア)に比べてあまり注目されてこなかった。
・仮説・予測
 小児性愛者は女性よりも子供に興奮するので、オートガイネフィリアの方がより一般的なのにも関わらず、オートペドフィリアをより多く示すだろう。
ETIIの概念はオートペドフィリアの男性が現実世界(外側)で好む子供のタイプと自分の中で高まるときに思い描く子供のタイプとの対応を予測する。例えば、思春期前の少女が好きな人は、オートペドフィリアの気があれば、思春期の少女になるところを空想する。

 

【方法】

 オンラインで参加者を募集。(B4U-ACTやVirtuous Pedophilesといったペドフィリアの支援サイトで募集)
 ☆尺度
・性的関心
「何歳くらいの子に性的興奮を覚えますか?」
・オートペドフィリアの発現
  「子供になったり、子供の身体をもったところを空想して興奮することがありますか?」
「どれくらい興奮しますか?」
「それは何歳くらいの子供ですか?」
「子供の服装をすることがありますか?」
「子供になったら、うまくいくだろうと思いますか?」
「子供らしくなれるようなホルモン治療や手術を受けたことがありますか?」
オートペドフィリアを持っていると考えられる人には、より詳しい説明を自由記述させた。


【結果】

・ヘテロセクシャルの男性と比較して、ペドフェベフィリア男性におけるオートペドフィリアの割合は、オートガイネフィリアの割合よりも多かった。

Webサイトによる割合の差なし。ただし、どの年齢・性別の子供に興奮するかはサイトによって差があった。

・少女に惹かれるオートペドフィリアの人は少年よりも少女になる空想で興奮する。少年に惹かれる人はその逆。 
・性別 / 年齢カテゴリは空想上の子供の性別 / 年齢カテゴリと正の相関があった。特に14歳以下の子供で相関が強かった。

・オートペドフィリアではない人よりも、オートペドフィリアの人の方が子供の服装をすることも、子供になったならうまくいくだろうという気持ちも、手術等の割合も多かった。

 

【考察】

・自分が男の子になった空想をするのは、そうなることで他の子供と性的関係を持つことができるからだという説明もある。しかしこれは、自分が女の子になった空想をする男性を説明できない。

ETIIの概念は、オートペドフィリアの男性は少女に惹き付けられるからこそ、少女になったところを空想して興奮を得るのだと予測する。

ETIIだけが、オートペドフィリアの説明だというわけではない。子供になった方が罪の意識が薄れる、とか。

・それでも、ETIIは性的倒錯一般に存在するようだ

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