偏見に対するグループ間接触の効果を特定の感情が調整する

2017/06/27 22:39 に Risako Shirai が投稿

Seger, C. R., Banerji, I., Park, S. H., Smith, E. R., & Mackie, D. M. (2017). Specific emotions as mediators of the effect of intergroup contact on prejudice: findings across multiple participant and target groups. Cognition and Emotion, 31(5), 923–936. https://doi.org/10.1080/02699931.2016.1182893

グループ間の接触を通して,私たちは外集団に対する偏見を減少させる。例えば同性愛者や高齢者への態度が,接触機会をもつことで改善することが報告されている。近年,この偏見と接触機会との関係性を調整する役割として,認知的処理というよりもむしろ情動的処理が重要であることが報告されている。それではどのような情動が重要な調整役としての働きを担っているのであろうか。本研究は,以下2点の仮説を立て,どのような情動が偏見に対する接触機会の効果を調整しているのかを明らかにする。

1.      偏見の減少に寄与する接触の効果は,特定の外集団によって引き起こされた不快感情(例: 怒り・嫌悪・不安)の減少によって調整される。

2.      偏見の減少に寄与する接触の効果は,外集団に対する賞賛 (admiration) のような快感情の上昇によって部分的に調整される。

 実験にあたり,U.S. における3つのグループ(白人,黒人,アジア系アメリカ人)を参加者とした。参加者は自分の所属するグループとは異なる2つのグループのうち1つのグループに関して,3点の質問に答えた(接触機会・情動・偏見のある態度)。例えば,「これまでの人生を通して◯◯とどのような接触機会をもってきましたか」(接触機会に関する質問),「一般的に,どれほど◯◯に対して△△や□□(例:賞賛や尊敬)の気持ちを抱いていますか」(情動に関する質問),「一般的に,◯◯に対してどのように感じますか」(偏見に関する質問)といった質問項目であった。実験1の結果,先行研究と同様に接触機会が増加すると偏見に関連した態度が減少することが示された。さらに,怒り (anger) と賞賛の2つの感情がこの関係性を調整している可能性が示された。

 実験2では,対象者を同性愛者に変えて検討した。これは,異なる対象者への偏見では異なる感情が調整役として働いている可能性を示すためである。特に,反同性愛者に対する偏見は嫌悪の感情に発展する道徳的な汚染の脅威とリンクしている可能性が報告されてきたため,怒りでなく嫌悪が調整の役割を担っている可能性を仮定した。実験2の結果,嫌悪と賞賛が接触機会と偏見の関係性の調整をしている可能性が示唆された。

 本研究により,情動が偏見に対する接触機会の効果を調整していることが明らかとなった。さらに調整役となる情動は対象となるグループによって異なることが示唆された。今後,どちらのグループにも共通して観察された快感情(賞賛)がどのように偏見やグループ間の行動に影響を与えているのかにも焦点を当てるべきであろうと考えられる。

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