【レビュー】動きから人を認識する

2018/02/26 1:52 に 西村友佳 が投稿

Yoval, G, & O’Toole, A. J. (2016). Recognizing People in MotionTrends in Cognitive Sciences, 20,383-395.

顔や体の自然な動き、そして声はその人が一体誰なのかを判断する手がかりとなる。
これまで、人の認識についての研究では主に顔画像が使われてきた。顔の情報(パーツの形や配置など)から、どのように個人の識別をしているかについて検討されてきたわけである。しかし、顔の認識はコントロールされていない多様な環境で動いている人を効率的に認識するための大きなシステムのうちの一つにすぎない。この論文では、現実場面で生じている人の認識(動いている人を見て誰だかわかる)を理解するための包括的な枠組みについて、動いている人の認識やバイオロジカルモーションに関する研究、そして顔と声のマッチングについての研究をレビューして提案している(左図)。例えば、人が遠くから近づいてくる動画を見て、動画の人物が誰であるかを回答する実験が実施された(左図A)。回答するときは動画がある時点で停止されるが、どれくらい離れたところで停止されるかに条件が設定された。その結果、人物が遠くにいる場合、顔の情報と身体の情報が利用される程度に差が見られなかったが、人物が近くにいる場合には顔の情報がより利用されていることがわかった。

この論文での主張は、動的な情報(動き)は顔、体、声からの複数モダリティー情報を束ねる中心的な役割を果たすということである。そして、その役割は上側頭溝が担っていると考えられている。上側頭溝はこれまで顔認識の文脈では注目されていなかったが、動いている人物の認識には上側頭溝が関与していることがわかったということが新しくわかってきた。

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