身体のサイズと脅威性の判断における人種差別 ー黒人は「強い」か?ー

2017/04/20 1:41 に Sayo Kaneuchi が投稿   [ 2017/04/20 1:45 に更新しました ]

Wilson, J. P., Hugenberg, K., & Rule, N. O. (2017). Racial Bias in Judgments of Physical Size and Formidability: From Size to Threat.

黒人は往々にして危険だと判断され、攻撃されることがある。7つの研究から、黒人は白人に比べて体格がよく、危害を加える能力も高いと判断される傾向があることが示された。

研究①では標的刺激(ターゲット)の人種がその人の肉体的大きさの知覚を歪める、という仮説を検討することを目的に、1-AEまでの5つの調査を行った。1Aでは、若い黒人男性と白人男性の顔写真から、その人の身長と体重を推測させた。研究①をまとめると、黒人は白人に比べて(実際より)背が高く、体重も重く、またより筋肉質で力も強いと推測されることが分かった。

危害を加えることのできるような身体的能力の評価における、これらの誤った知覚の影響を検討することを目的に、研究②を行った。ここでは、研究1Bで使用した顔写真を見せて、その人物が参加者自身を身体的に傷つけることができると思うかどうかを尋ねた。その結果、明らかに白人よりも黒人の方が、危害を加える能力があると判断された。

研究①と②から、黒人は白人に比べ危害を加える能力が高いと判断されるので、肉体的にも脅威を感じると考えられることが示された。この仮説を検証するために、黒人男性と白人男性の身体的力強さと加害能力を尋ねる研究③を行った。その結果、仮説は支持され、白人よりも黒人に対してより加害能力があると判断するその判断の程度と、身体的大きさの判断に生じる人種間の差異との間に相関関係があることが分かった。

研究④は、参加者の人種によって判断や身体的大きさの知覚に違いがあるのかを検証するために行われた。 刺激は研究③で用いたものとほぼ同じだったが、明示的偏見を測定することはしなかった。その結果、黒人も白人も、黒人の方が白人よりも肉体的に強いと知覚するが、その差は黒人の参加者の方が小さかった。さらに、黒人の参加者は白人の参加者が見せたような加害能力についての差を示さなかった。一方、白人の参加者はこれまでの研究で示されてきたとおり、黒人の方が肉体的に強く、また加害能力も高いと判断した。黒人の参加者は、身体の大きさに関しては黒人の方が大きいと判断したものの、それを加害能力と結び付けることはしなかった。すなわち、参加者の人種で判断に差があった。

研究⑤では、大きさと加害能力についての参加者の知覚が、警察官が人に対して(暴力的な)力を使うことを正当化する理由を予測するのかを調べた。その結果、黒人に対してそうした力を行使することは、白人に対してそうすることよりも適切だと判断された。

研究⑥では、ターゲットの顔がどの程度「アフリカ的に」見えるかどうかを評価させることで、参加者の脅威判断における人種的バイアスが黒人と白人のターゲットをより「アフリカ的」だと判定させるのかどうかを検討した。さらに、「アフリカっぽさ」が攻撃行動のサイン、テストステロン、力強さと言った身体的特徴と関連があるのかを調べるために、ターゲット(刺激)のfWHR(顔の横幅と縦の長さとを比較する指標。顔が横長の人の方が、テストステロンが多く、攻撃的だという)も測定した。研究の結果、顔に基づく人種的バイアスの知覚は肉体的脅威の判断を予測することが分かった。すなわち、肉体的脅威の判断は人種に関する社会的カテゴリーの情報だけを前提とするのではなく、人種に関連した外見的手がかりの知覚とも関係がある。

研究⑦では、人種があいまいなターゲットに対する人種の信念が、これまでと同様に身体的大きさの判断に影響を与えるのかを検討した。結果、「黒人」とラベリングされた場合は「白人」とラベリングされた場合に比べて身長をより高く・体重をより重く推測した。

総括すると、黒人は白人に比べて体格がよく、それゆえ恐ろしいと判断される傾向が非常に強いことが示された。その原因は、黒人の外見的特徴(ボトムアップ的手がかり)によるものと、黒人に対するイメージによるもの(トップダウン的手がかり)の両方がある。

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