危険を意識していなくても,ヘルメットをかぶると危険な行動をとりがち

2017/06/29 2:08 に Megumi Tabuchi が投稿

Gamble, T. & Walker, I. (2016) Wearing a Bicycle Helmet Can Increase RiskTaking and Sensation Seeking in Adults. Psychological Science. 27(2), 289–294.


人は自分が置かれた状況の安全性知覚のバイアスに応じて,危険な行動をとる。自分を守るもの(安全のための装備)を使っているときに人が危険な行動をとりやすくなるという特徴は,リスクの補償現象と呼ばれる。先行研究では,自分が安全のための装備を使っていることを知っている人を対象に,安全のための装備を使うことが危険行動を低下させるという行動の変化に焦点を当てたものが多い。ここでは,自分が安全装置を装備していることに気づいていない人でも,ただそれを装備していれば,危険行動が増える,それどころか,この現象はその安全装備によって特に安全になるわけではない行動でも起こりえるかを調べた。
実験では対象者に「アイカメラの実験」として,野球の帽子と自転車用ヘルメットの2種類にアイカメラをとりつけたものをそれぞれかぶらせ,「ふうせん割りゲーム(ボタンを押すと画面の風船が膨らんでいく。膨らむごとにお金がたまるが,割れてしまうとゼロになる。いつ割れるかはランダムに起こるので,対象者には分からず,はらはらどきどきする。ボタンを押した合計回数を危険行動得点とする)」をさせた。その結果,ヘルメット群の方が帽子群よりも危険行動得点が高かった。ヘルメットが純粋に「アイカメラ」として導入されており,別に危険を避けるためのものではなかったにも関わらず起こったことが面白い。この結果から,安全性に関わる無意識的な行動は,危険傾向を強めることが明らかとなった。

 Figure1が実際にヘルメットと帽子を「アイカメラ」として装着している図。これを見ると,単純に頭をカバーしている範囲がちょっと違うので,その影響があるかもしれない。また,この危険行動研究と同じように,恐怖研究として「毛布を頭からかぶっているほうが不安や恐怖が少なくてすのか」という実験ができる,かもしれない。また,ゲーム内容が「身の危険とは関係ないもの」ではなくてある程度関係しているものだったので,これが完全に関係ないもの(例えばお金のやりとりとか)にしてもこの現象が起こるのか否か,はみてみたいところ。などなどの議論になりました。

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