無意識的なレベルではマジックのトリックに気づいている

2017/06/01 2:10 に 西村友佳 が投稿   [ 2017/06/01 2:13 に更新しました ]
Kawakami, N., & Miura, E. (2017). Can Magic Deception Be Detected at an Unconscious Level? Perception, 46 (6), 698-708.

マジシャンは観客の注意や知覚を操作しながらトリックを使って観客を楽しませる。観客は自覚的にはトリックに気づいていない場合が多いが、本当に気づいていないのだろうか?人の複雑な行動や心的活動は意識的な気づきを伴わずに生じている。また、眼球運動を測定した研究から、無意識的な認知処理はトリック(deception)に敏感だということもわかっている。本研究では眼球運動ではなく、もっと間接的な方法で人が無意識レベルでマジックのトリックに気づいているのかどうかを測定した。

実験ではまず、上図(左)のようなコップとボールを使ったマジックの動画を実験参加者に観察してもらった。その際、実験参加者はボールがどのように移動しているかを注意深く観察するように教示された。そして、ボールは最終的に左右どちらのコップに入っていると思うかを自己報告した。
次に、実験参加者はSC-IATに取り組んだ。SC-IATでは、画面中央に呈示された単語(右手、左目など)・ボールの写真が画面上部の左右に呈示されているカテゴリー(上図・右参照)のどちらに属するかを回答した。

実験の結果、自己報告でトリックを見破ることができた(ボールが左右どちらのカップに入っているかを正確に回答することができた)実験参加者は19.04 %であった。
一方、SC-IATにおいて、実際にボールが入っている位置とボールとの潜在的な連合が強い実験参加者は76.19 %であった。つまり、多くの実験参加者が無意識的なレベルではトリックを見破っていたことが明らかとなった。

以上の結果から、人はマジックのトリックを自覚的に気づくことはできないが、無意識的なレベルでは何が起こっていたのか気づくことができていることが示された。この結果はこれまで行われてきた眼球運動を測定した研究などと一致した結果である。



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