嫌悪と怒りはモラル違反に対する異なる攻撃反応と関係している

2017/05/07 6:02 に Risako Shirai が投稿

Molho, C., Tybur, J. M., Güler, E., Balliet, D., & Hofmann, W. (2017). Disgust and Anger Relate to Different Aggressive Responses to Moral Violations. Psychological Science, OnlineFirst.

https://doi.org/10.1177/0956797617692000

 

 同じモラル違反に対する反応でも,怒りを経験する人もいれば嫌悪を感じる人もいる。モラル違反に対する情動反応の違いは,人間の攻撃的な反応や動機づけの違いに反映されるのだろうか。同質理論 (equivalence accounts) は怒りと嫌悪が同じ反応表出と関連しているとする一方で,社会機能的理論 (sociofunctional accounts) は怒りと嫌悪が異なる反応表出をもつものであるとした。

私たちはこれらの理論を確かめるために,怒りと嫌悪が異なった攻撃反応と関連しているかどうかと,怒りと嫌悪という感情の違いによってモラル違反によって負わせられたコストが変わるかどうかを検討した。本研究では参加者の感情状態を操作するために,違反行為を侵される対象者の種類(自己/他者)を操作した。この背景にはモラル違反の対象が自己であるとき,他者であるときと比較してよりコストが高いという想定がある。もし怒りが,コストの高い直接的な攻撃と関連しているのであれば,参加者はモラル違反の対象が他者のときより自己のときのほうがより強く怒りを報告するであろう。さらに,もし嫌悪がコストの低い間接的な攻撃と関連しているのであれば,参加者はモラル違反の対象が自己のときより他者のときのほうがより強く嫌悪を報告するであろう。 

 研究1では,参加者はモラル違反に関する文章(違反行為を侵される対象者の種類:自己/他者)を読んだ後,抱いた感情と最も一致する感情(怒り,嫌悪,その他)を選択した。研究2では,参加者は,経験サンプリング(experience-sampling study)によって普段の生活で実際に見聞きしたモラル違反に対する感情を報告した。研究1と研究2共に,社会機能的理論を支持する結果となった。例えば,モラル違反の対象者が自己から他者へうつると,怒りは減少するが嫌悪は増幅した。これらの結果は,怒りがコストの高い反応,嫌悪がコストの低い反応と関連している可能性を示している。しかし,これだけではそれぞれの感情が異なる攻撃反応と関係しているかは示せていない。研究3では,怒りと嫌悪の感情が異なる攻撃的反応と関連しているかを分析した。その結果,怒りはコストの高い,直接的攻撃と関連しており,嫌悪はコストの低い,間接的な攻撃と関連していた。研究4では,参加者はモラル違反の文章(違反行為を侵される対象者の種類:自己/他者)を読んだ後,感情状態の報告とどのような攻撃(間接/直接)を選択するかの報告を求められた。その結果,モラル違反の対象者が自己か他者かということが怒りを媒介して部分的に直接的攻撃に影響を与えており,そして嫌悪を媒介して間接的な攻撃に影響を与えていることが示された (Fig. 5)

 本研究の結果のすべてが社会機能的理論を支持する結果であり,異なる感情が異なる反応と結びついている可能性を示すものである。


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