選択的注意のコスト: 子どもが大人の見逃したものに気づくとき

2017/04/23 2:34 に Risako Shirai が投稿   [ 2017/05/15 2:05 に更新しました ]

Plebanek, D. J., & Sloutsky, V. M. (2017). Costs of Selective Attention: When Children Notice What Adults Miss. Psychological Science, 1-10. (Online First)

https://doi.org/10.1177/0956797617693005

運動器や認知、社会的な機能というのは子どもから大人にかけて発達的に推移していく。本研究はこの発達に関する法則をやぶっている結果を報告する。それは、注意における発達である。本研究は実験1、実験2の二つの実験からなる。実験1では、45歳の子どもと大人を対象に変化検出課題を行った (Figure 1)。はじめに何色のアイテムへ注意を向けるべきかの手がかりが表示され(例:赤色)、次に赤色と緑色で描かれたターゲットアイテムが重なった状態で呈示された(例:赤色の星, 緑色のハート)。その後、テストアイテムが呈示され(例:赤色の十字, 緑色のハート)、参加者は次に示すような2つの判断をおこなった。一つは、テストアイテムで呈示されたアイテムのうち、手がかりで示された色のアイテムがターゲットアイテムの中に出現したものであったかどうかであり、2つ目は、ターゲットアイテムとテストアイテムのペアが同じであったかどうかの変化検出の判断であった。ターゲットアイテムからテストアイテムの変化のパタンは3種類あり、手がかりづけられたアイテムのみが異なるアイテムに変化する場合、何も変化しない場合、手がかりづけられていないアイテムのみが変化する場合の3種類であった。その結果、大人は手がかりづけられたアイテムの変化検出で子どもの正確性を上回った一方で、子どもは手がかりづけられていないアイテムの変化検出の正確性で大人を上回った。 実験2では実験1の結果を一般化するために同じ参加者が視覚探索課題を実施した (Figure 3)。手がかりと同じ特徴をもった刺激を画面上から探索する課題を行ったのち、刺激の再認課題を実施した。画面上に呈示する刺激が視覚探索課題時に出現していた刺激であるかどうかをテストしたところ、子どもは探索時に非関連であった刺激の特徴に関しても記憶しており、再認成績が大人の成績を上回った。大人の選択的注意は成熟した状態であることと比較して子どもの注意はまだ分散した状態であるため、課題に関連のない情報に関しても注意が向いていたと考えられる。この早期段階での注意のパラドックスは注意の発達過程に関する理解を深め、子どもの早期段階での学習方法についても広い示唆を与えるものとなるであろう。


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