顔の形は撮り方によって変わる

2018/02/01 21:51 に 西村友佳 が投稿   [ 2018/02/01 22:02 に更新しました ]

Noyes, E., & Jenkins, R. (2017). Camera-to-subject distance affects face configuration and perceivedidentity. Cognition, 165, 97-104.


履歴書やパスポート、そして丁度今の時期だと受験票など、顔写真を見て本人確認をする場面はたくさんあるかと思います。ただ、写真は撮り方によってかなり見え方が変わってしまうことをご存知でしょうか。左の顔写真(Fig. 1., Noyes & Jenkins, 2017)は同じ人を(a) 20 cmほど離れて撮ったものと、(b) 3 mほど離れてズームして撮ったものです。(a)の方が顔幅が狭く顎がシュッとした立体的な顔に、(b)の方が顔幅が広く平面的に写っていることがわかります。人の顔を認識するには形の情報が重要だと言われていますが、撮影距離を変えるだけで形の情報が大きく変わってしまうわけです。では、このような同一人物を違う距離から撮った写真を見て、同一人物であると答えることができるのでしょうか?この研究では、異なる距離から撮影された写真を用いて、画面上に呈示された2枚の人物画像が同じ人物か違う人物かを回答させる実験を行いました。




実験の結果が左のグラフです。呈示された人物が知っている人であれば、撮影距離が近くても遠くても同じ人か違う人か正解できるのですが、知らない人を見た場合には「同じ人である」と正解するには近くから撮影されたものの方がよく、「違う人である」と正解するには遠くから撮影されたものの方が良いということがわかりました。また、実験2では、呈示する2枚の写真の内1枚をサイズを縮小して呈示しました。この操作は遠くにいる人は顔が小さく見えるという状況を再現したものです。実験2の結果から、このような遠いものは小さく見えるといった距離の手がかりを用いて、この顔は誰かといった判断をしている可能性が示唆されました。顔の識別をするには形の情報が重要ですが、顔の形は写真の写り方といった条件によって変わりうるために、周辺手がかりを使って目の前にある顔が誰の顔なのかを判断しているのかもしれません。
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