やっぱり同調は起こる―パーソナリティ特性との関連から

2017/09/06 17:42 に Asako Miura が投稿
Kosloff, S., Irish, S., Perreault, L., Anderson, G., & Nottbohm, A. (2017). Assessing relationships between conformity and meta-traits in an Asch-like paradigm. Social Influence, 1-11. Ahead of Print. doi: 10.1080/15534510.2017.1371639

Aschの同調実験パラダイムを使って,よりマイルドな場面+パーソナリティのメタ特性との関連を検討.同調傾向とパーソナリティ特性の関連は古来検討されてはきたが,それぞれてんでばらばらなものとの対応が見られているだけだし,現在主流のものを使った研究はほとんどないとのこと.
測定されたパーソナリティ特性はNEO big five の Stability(安定性)とPlasticity(可塑性)で,Stability=誠実性+調和性+神経症傾向(逆),Plasticity=開放性+外向性をさす.

仮説「同調傾向は安定性とは正,可塑性とは負の関連をもつ」

手続き 同調傾向と統制欲求の関連を検討したBurger(1987)に準じる(※BurgerはMilgramの服従実験の追試をしたことでも著名)
(1)実験条件(サクラ3名+真の参加者)と(2)統制条件(真の参加者のみ)のいずれかにランダム割り当て.実験条件は実験室実験.面白くないマンガをプロジェクタで壁に投影して,まず順番にユーモア評定(1-100)を口頭でさせる(public evaluation)×10種類.参加者は当然最後.サクラの評点は平均して高くなる+適当にばらつくよう調整する.その後,もう一度同じマンガを投影して,「さっきと同じ答えにする必要はなく,もう一度よく考えて,評価して下さい」と指示して評価を筆記させる(private evaluation).統制条件はWeb調査.

結果
口頭評価(平均 66.29)も筆記評価(平均 66.05)も実験条件において統制条件(平均 32.27)よりユーモア評価が高い.つまり同調が生じている.
安定性は同調の正の関連がある.これは可塑性をコントロールしても残る.可塑性はそもそも同調と関連がなく,その傾向は安定性をコントロールしても変わらない.
安定性には条件間で有意差があり,実験条件の方が有意に高かったので,そのことが結果に影響しているかどうかを検証したが,すごく安定性の高い参加者を除外して分析をしても傾向は変わらなかったので,パーソナリティの条件間差によるアーティファクトではないと判断.
神経症傾向(逆転)が実験条件で同調と正の関連があり,統制条件ではなく,条件間で得点差があったことについても検証.これも上記と同様の方法で検証し,アーティファクトではないと判断.

コメント
publicとprivateは順序固定のようだが,もし入れ替えたら,特にprivateの方の同調傾向は弱くなるだろうか?
統制条件はWeb調査だが,実験室実験にすべきではなかったか?(著者も言及しているが,パーソナリティ特性に条件間で差があった点を調整しても大丈夫なんだからいいやろ,と言っている.そういうことではなくて,実験状況が違うことそのものが影響しないかな…)

※Social Influenceという雑誌はオープンアクセスだが投稿料がかからない(カラー印刷は有料).IFは1.0と低すぎはせず,Aims and Scopeがすこぶる広い.ちょっと注目したい.
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