異文化間の調査において気を付けること:グアテマラの家族計画からの教訓

2017/04/26 2:04 に 浦勇希 が投稿
Emma Z. L. Richardson, Kenneth R. Allison, Hermelinda Teleguario, Wankar Chacach, Silvia Tum, Dionne Gesink, Albert Berry(2017) “Taking Care” in Intercultural Research:Lessons From a Guatemalan Family Planning Study, International Journal of Qualitative Methods 16,1-13

この論文の主な著者達はみんなカナダの人物で、英語圏のためおそらく普段は英語でコミュニケーションしていると予測されます。しかし、今回の調査を行ったグアテマラという国はスペイン語圏のため、調査を行うにあたり、文化的、かつ言語的な壁が存在しています。今回の論文では、著者たちがグアテマラの家族計画(≒避妊の方法など)について調査を行っていく中で得られた教訓について述べられています。
以下、アブストラクトより
先行研究において、異文化間の調査における方法論や倫理的な側面についてはよく文献においてよく議論されている。しかし、その議論の中にはめったに具体例や現実的な提案というものはされておらず、特に質的な研究がなされていない。
国際的なチームと、グアテマラの現地の女性によって行われた家族計画についての国際保健の質的研究によって、研究デザイン、実施の方略、や実行の仕方によって得られる結果が異なることが明らかにされた。
私たち研究者は、分析であったり、インタビューや内容の一部から規則を見出したりすることなど、断続的に比較方法を用いていたが、その方法では見落としが存在する可能性があり、それにより異なる調査結果につながるかもしれない。
これらの例は、異文化間の調査におけるギャップや誤解の可能性や、現地のチームを研究のいたるところの段階(研究方法の準備、協力者のリクルート、多言語でのインタビューの実施、レポートにまとめる、など)で早期に巻き込むこと重要性についての説明に用いられる。
異文化間の調査は、抽出産業に似ている。学者は調査を行う際、英語のみを用い、基本的に調査が行われた国では理解することが難しい方法を用いて知識を得ている。(一方的に調査者が協力者から知識を搾取するという構図が抽出産業に似ているという意味だと思われます)
今回の現実的で倫理的な方法は、それらの方法、資金、異文化間の調査の再検討によってその調査が抽出産業にならないことを保証している。

この論文から、輪読ゼミでは例え同じ言語を用いるのであっても最初の関係性が調査結果に響いてくるので、異なる言語圏であればその特徴はもっと顕著に現れるのではないか、という意見がありました。また、抽出産業という点においては、研究の学生が対象であれば後学のためになるといえばある程度は搾取的な状況でもごまかしがきくが、一般的な人を対象にしていれば、その(自分たちの)協力が何の役に立つのかがわかっていないとなかなか協力的になれないのではないかという意見がありました。
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