ユーモア必ずしも功を奏さず

2017/04/20 1:03 に Asako Miura が投稿   [ 2017/04/20 1:03 に更新しました ]
Bitterly, Brooks, & Schweitzer (2017). Risky Business: When Humor Increases and Decreases Status. Journal of Personality and Social Psychology, 112(3), 431-455. doi: 10.1037/pspi0000079
8つの実験によって,ユーモアは地位向上に資するけれどもリスキーでもある,ということを示した研究.仮説モデルはFigure 1のごとし.

うまくユーモアを使えれば,既存の関係でも新しい関係でも地位向上が見込めるが,うまくいかない(ふさわしくないジョークを言ってしまう)とたちまち地位は脅かされる.両者の関係を仲介するのは信頼性と有能性の評価である.つまり,うまくユーモアが使えることは「信頼できる」「有能だ」というシグナルとなり,その人の地位を向上させる.また,興味深いことに,ジョークを言うことは,その内容のふさわしさによらず,また,その結果(地位向上)によらず,信頼性のシグナルとなっていた.しかしふわさわしくないジョークは「有能ではない」というシグナルにもなってしまうので,結果的に地位を脅かすことになるのである.

Study 1 対面場面でジョークを使うと使わない場合よりも地位評価が向上することを尺度評定(a)と行動指標(b)により確認
Study 2 妥当で面白いジョークは受け手のポジティブ感情(a)/信頼性と有能性評価(b)を引き出し,それを通じて送り手の好感度を上げるかどうかを検証.ただし有能性の評価に寄与するのは「成功」ジョークのみという仮説
Study 3 失敗ジョークは信頼にはつながるがこいつはバカだというシグナルになるため結果的に地位評価は下がる可能性をMTurkサンプル(a)と一般成人対象の実験室実験(b)で検証
Study 4 信頼性と有能性の評価がどのようにユーモア使用と地位評価の間をリンクさせるのか,そのメカニズムの検証.bではジョークにより喚起されたポジネガ感情の影響による説明可能性を排除

こうした知見から考えれば,ユーモアは,対人評価や集団内の階層構造の形成において,決して「添え物」的に軽んじられるものではなく,実は基盤的な役割を果たしているのではないだろうか.


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