正立顔は全体処理、倒立顔は部分処理は本当にそうだろうか?

2017/12/07 1:04 に 西村友佳 が投稿   [ 2017/12/07 1:09 に更新しました ]
Murphy, J., & Cook, R. (2017). Revealing the mechanisms of human face perception using dynamicapertures. Cognition, 169, 25–35.








正立顔に対しては全体処理、倒立顔に対しては部分処理をしていると考えられているが、果たして本当にそうだろうか?この研究では、顔全体を呈示する条件と顔の一部を呈示する条件で顔の判断の精度に違いがあるかどうかを検討した。

実験者の課題は顔を見てA(例:女性)かB(例:男性)かを判断することであった(上図左)。また顔刺激は正立で呈示される場合と倒立で呈示される場合、全体的に呈示される場合と部分的に呈示される場合があった。部分的に呈示される場合は細長い窓が画像の上から下をスキャンしていくような見え方をした(上図中央)。
実験結果の分析には「ノイズ」を指標として使用した。ノイズが小さければ、わずかな差でも区別できることを意味し、ノイズが大きければわずかな差は区別できないことを意味する。

実験の結果(上図右)、正立顔の時と顔が全体的に呈示された時にわずかな差を区別できることが示された。また、部分的に呈示されている時も正立顔の方がわずかな差を区別することができた。倒立顔は部分処理をしているのであれば、一部だけ呈示されている場合に弁別の精度が良くなると予測されていたが、そうはならなかった。この傾向はスキャンの方向が逆であっても同じであった。

以上の結果から、正立顔では部分処理を同時に複数行なっているが、倒立顔ではそれが1つずつしかできないというような質的な変換が正立顔を倒立顔の知覚の難しさの違いを生み出している可能性が示唆される。

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