自閉症スペクトラムの人やその傾向のある個人は,決定が文脈に左右されにくい

2017/06/29 16:19 に Asako Miura が投稿
Farmer, G., Baron-Cohen, S., & Skylark, W. (in press). People with autism spectrum conditions make more consistent decisions. Psychological Science.

自閉症スペクトラム(ASC)の人々は,多くの知覚/認知課題において文脈刺激に対する感受性の減少を呈する.本研究では,成人参加者が,より望ましくない第3の選択肢(デコイ=囮)と共に示された2つの選択肢のうちどちらを選択するかを検証することで,こうした知見が意思決定場面にも適用できるかどうかを検討する.参加者の選好傾向はデコイに応じて変わることが多いが,この傾向はASCだと減少する.このことは,彼らの選択は一般の人々よりも一貫的かつ慣習的であることを示している.一般的な母集団から抽出した人々のASC傾向(疾病ではなくそれっぽい,ということ)の違いで比較した結果は,その患者と統制群との比較で見られたものをやや弱化したものとなった.文脈感受性の低下は"noisy responding"(多分,回答に至るまでにあれこれ考えてしまいウルサイ感じになること)のせいではなく,ASC群は意思決定に時間はかかっていたが,そのことが選択の一貫性を強める影響をもつわけではなかった.こうした結果は自閉的な認知の特徴を,新しい領域に対する文脈非感受性として拡張的に理解することにつながるし,そのことは社会経済行動の理解にとって実践的な含意を持つだろう.

意思決定が状況に応じて変わる,というのを検証する典型的な実験パラダイムを利用して「自閉症スペクトラムだとその傾向が弱い」ことを示した研究.実験パラダイムはこんなの.ある商品について2つの属性を示し,選択を求める際に,

状況1
A 容量32GBで寿命20ヶ月のUSBメモリ
容量16GBで寿命36ヶ月のUSBメモリ
C 容量28GBで寿命16ヶ月のUSBメモリ←これがデコイ.Aよりどちらの属性もちょい劣るので,相対的にAの優位性が際立つ

状況2
A 容量32GBで寿命20ヶ月のUSBメモリ
容量16GBで寿命36ヶ月のUSBメモリ
C 容量12GBで寿命32ヶ月のUSBメモリ←これがデコイ.Bよりどちらの属性もちょい劣るので,相対的にBの優位性が際立つ

だと,一般人は状況1だとAを,状況2ではBを選びやすくなる(つまり状況に応じて判断が変わる)傾向が結構あるが,文脈刺激に対する感受性が低い自閉症スペクトラムの人やその傾向の高い人は,どちらでも同じものを選ぶ傾向が強い,ということである.
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