子どもの時点で「自分の仲間じゃない人」の心をあまり考えない。

2017/12/11 2:30 に Megumi Tabuchi が投稿

McLoughlin, N. & Over, H. (2017). Young Children Are More Likely to SpontaneouslyAttribute Mental States to Members of Their Own Group. Psychological Science, 28(10), 1503–1509.


他人の心を理解しようとすることは,人が社会の中で生きるために必須のことである。子どもでも,相手の情動や願望などをある程度推測したり理解したりできる。一方で,大人になっても自分とは異なる集団に属する外集団,いわゆる「仲間じゃない人」たちに対しては非人間化が起こり,相手の感情や心の働きを無視して偏見的な行動をとることがよくある。本研究では,発達心理学の「心の理論」に関する背景と,社会心理学の非人間化のメカニズムをくっつけて,子どもが外集団よりも内集団のメンバーの心の状態を自然とより考慮するものなのかを調べた。

(手続き)

5歳児と6歳児それぞれ64名に,「三角形の2つが互いに相互作用しながら動くビデオ」を見せて,その三角形(対象者には「子ども」と説明)に関して質問(「こっちの子は何をしているところ?」など)をし,答えの発言から「心理的状態」に関する部分を抽出して分析する。その際,三角形を自分と同じ仲間である内集団と思わせるか,外集団と思わせるかを操作する(例:内集団条件の場合,女の子の対象者には,「この2人の女の子は何をしているところ?」と質問)

(実験デザイン)

子どもの年齢(5歳児 or 6歳児)×内・外集団を分けるタイプ(性別・居住地)×図形をどちらのメンバーと思わせるか(内・外集団)。従属変数は,ターゲットに関する「心理的な状態(感情や行動の理由など)」の発言数と種類。

(結果)

3要因混合計画(子どもの年齢(56歳)×内集団条件(性別・居住地)×ターゲットの所属(内集団・外集団))の分散分析の結果,

・発言数は,ターゲットの所属の主効果(内集団に対するほうがより多く発言)および,年齢の主効果(6歳児のほうが5歳児より発言が多い)が有意。交互作用はなし。

・発言の種類は,子どもの年齢×ターゲットの所属の交互作用が有意。6歳児では内集団に対するもののほうが発言の種類が多い。

自分の仲間が単純に「好き」というのに加えて,本研究では内集団の方がより内面(精神状態,心の状態)を推し量るようになり,その傾向は年齢が上がれば上がるほど強くなることが示された。つまり,発達によって外集団のものに対してより「非人間化」が起こって,「心の理論」が働かなくなるのではないか,それが将来的な偏見につながっていく可能性があると言える。

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