組織構造が少数派集団への態度を決める -「ピラミッド型」の組織は有力に見えるか-

2017/12/27 2:20 に Sayo Kaneuchi が投稿

Fath, S., Proudfoot, D., & Kay, A. C. (2017). Effective to a fault: Organizational structure predicts attitudes toward minority organizations. Journal of Experimental Social Psychology, 73, 290-297.



Social Dominance Orientation: SDOとは


集団支配志向(集団の階級制度選好の尺度)。SDO-Dominance(SDO-D)SDO-Egalitarianism(SDO-E)の、2つの次元に分かれるとされる。

 SDO-D(集団支配志向性因子は、支配的な階層構造に対する支持の程度を表し、顕在的で伝統的に強者であり続けている集団を支持する。

 SDO-E(平等主義志向性因子)は、どちらかというと明白でない不平等選好で、社会的階層構造を維持することを支持する。


今回の研究では、少数派集団の職業組織に対する支持を検討し、そうした組織の構造が人々の彼らに対する反応をどう規定するのかを考察する。


 


【予備実験】


 メインの実験で使う刺激(組織図)が狙い通りに「階層的」に見えることを確認する。参加者を2つの条件に分け、それぞれにFigure 1、2を見せた。


  ・階層的組織構造条件…Figure 1を見せた。

  ・非階層的組織構造条件…Figure 2を見せた。


 そのうえで、図がどの程度階層的かを7段階で評価させた。また、その組織がどのくらい目標を達成できそうだと思うかを判定させた。


Figure 1. 階層的組織図



 

Figure 2. 非階層的組織図




  結果、Figure 1の方がより階層的で、有力だと判断された。


【実験①】

 様々な人種の参加者を、2×2の4つの条件に分けた。

・ベースライン組織条件…参加者は「全国内科医協会」に関する情報を読んだ。

・少数派組織条件…参加者は「全国アフリカ系アメリカ人内科医協会」に関する情報を読んだ。

→協会の名前以外の情報は、両方の条件で一緒。どちらもUS国内の情報。

・階層的組織構造条件…階層的な構造の組織図を見せた。

・非階層的組織構造条件…非階層的な構造の組織図を見せた。


参加者はその組織が権力を持つことにどの程度賛成かを評価した。続いて、SDO-6スケールによってグループ間の不平等性選好を測定した


【結果】

 SDO-Dが高かった参加者は少数派組織かつ階層的構造の組織について少数派かつ非階層的構造の組織を見た参加者よりも、権力を手にするべきでないと判断した。SDO-Eでは、この傾向は見られなかった。

 SDO-Dが、少数派組織に対する態度を予測する場合に、階層的組織構造と相互作用している。

 一方、SDO-Eは階層的少数派組織条件と非階層的少数派組織条件の両方で、組織の支持に有意な負の相関を持っていた。



 つまり、SDO-Eは構造の効果を調整していないが、構造の形態に関わらず、黒人で構成された少数派組織への支持に関連していた。この発見はSDO-Dが少数派への態度をSDO-Eよりも強固に予測することを示している。


【実験②】

 基本的な方法は実験①と一緒。ただし、参加者が読む文章のタイトルを「全国ユダヤ系内科医協会」に変えたことと、SDOの尺度をSDO-7に変えた点が異なっていた。

少数派組織条件のタイトルを「全国ユダヤ系内科医協会」に変えた理由は、ユダヤ系アメリカ人がアフリカ系アメリカ人とは異なり、多数派との関係性が葛藤や敵意を含んだものではないためであった。


【結果】

SDO-Eによって測定された不平等選好は階層構造を持つ少数派集団への不支持に結びついていた。

SDO-DよりもSDO-Eが少数派集団への態度を予測する。


【総合考察】

2つの実験から、少数派組織の構造が集団間不平等性の支持と組織そのものへの支持の関係を決定するうえで重要な役割をはたしていることが分かった。

 不平等性維持の選好が高まることは少数派組織が権力を持つことを制限したいという欲求に繋がる。この傾向は、組織の構造が階層的なものだと強くなる。今後は、知覚された組織の効力が人のSDOを高め、階層的少数派集団の不支持を促進することを確認する研究が求められる。

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