2012.10.1

2012/10/03 16:36 に Asako Miura が投稿   [ 2012/10/11 17:04 に更新しました ]
末吉
Banerjee, P., Chatterjee, P., Sinha, J. (2012). Is it light or dark? Recalling moral behavior changes perception of brightness. Psychological Science, 23(4), 407-409.
「正しさ」と「光」メタファーとの関連を検討。道徳的に悪い事をした時を思い出すよりも、良いことをした時を思い出すと、その場の身の回りが明るく認知された

寺島
Gheorghiu, M. A., Vignoles, V. L., & Smith, P. B. (2009). Beyond the United States and Japan: Testing Yamagishi's Emancipation Theory of Trust across 31 Nations. Social Psychology Quarterly, 72(4), 365-383. doi: 10.1177/019027250907200408
これまで日米比較のみで検討されてきた「信頼の解き放ち理論」が、ヨーロッパを中心とした31カ国の国際比較においても支持された。

田渕
Hepach, R., Vaish, A., & Tomasello, M. (2012). Young Children Are Intrinsically Motivated to See Others Helped. Psychological Science, 23(9) 967–972. DOI: 10.1177/0956797612440571
困っている人を見たら助ける,という行為への動機はもともと備わっているものだ

村山
Badea, C., Brauer, M., & Rubin, M. (2012). The effects of winning and losing on perceived group variability. Journal of Experimental Social Psychology, 48(5), 1094-1099. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2012.03.006
集団パフォーマンスに注目した場合、勝負に勝った集団は、負けた集団よりもメンバーが同質であると判断される。

三浦
Eysenbach, G. (2011). Can Tweets Predict Citations? Metrics of Social Impact Based on Twitter and Correlation with Traditional Metrics of Scientific Impact. Journal of Medical Internet Research, 13(4), e123.よくつぶやかれる論文は,よく引用される.論文刊行直後数日のツイート数は,論文のインパクトを測定する「ソーシャル」な指標として使える.

担当者(三浦)のコメント:
申し訳ありません.更新が大変遅くなったため,アホの子みたいな感想しか思い出せないことをお許しください.

末吉さん論文はいわゆるsocial primingを使っている.不道徳なエピソードを想起させると周りが暗く感じられる(その逆もまたしかり)とのことであったが,感じ方を7件法で取っててそんなんで差が出るとかどうよ,と率直に思った.気持ち的には「わかる」けど,せめてもう少し実際に明るさの認知を客観に近い指標で測定するべきではなかったろうか.こんなことやってっからKahnemanに怒られるんじゃね?

寺島君論文はみんな知ってる山岸理論が欧州諸国にも適用可能かどうかを社会調査データを使って検討した研究.結論としては日米比較における米の傾向と欧は似ていたと言いたいようだったが,HLMのやり方が「これでいいのか?」という感じだったことと,示されている結果と考察の整合性もイマイチ疑問であった.

田渕さん論文は幼児(2歳児)を使った利他的行動に関する研究.「援助したいぞ」の指標は「援助すべきか?」という場面を見た直後の眼球運動(瞳孔変化)だった.「困っている人がいるのに助けない」という状況を見たときの動向変化が大きく,情動が喚起されていたから,利他的な動機は生まれつき備わっているのだろう,という結論だった.ほんまかいな,とは思うが,最近乳幼児を相手にした研究を時折に読むようになり,実験パラダイムがいろいろ工夫されていることを知ることは面白い.

村山さん論文は…ごめん良く覚えてないけど,確か「同質であること」の操作としておそろいの色のTシャツを使っていたけど,色の効果がありそうだよね,って話をしていましたね.もう一つ,勝負に勝った集団のことを「同質だ」というのは何をもって同質と判断されていたのか若干疑問に思った.使われていた課題がデザインや建築のコンペだったので,それに優勝したチームが「同質だ」と見なされるというのがイマイチ結びつかない(いろんな人がいたから面白いアイディアが出た,と見なされないか?)から.

三浦論文は,論文公刊直後によくツイートされる論文は将来的な引用数も割と多くて,つまり読者たちの初期の反応がよい論文はインパクトがあると考えていいよ,という研究.まあ,おおむねそうだろうね.
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