2012.10.22

2012/10/23 16:38 に Asako Miura が投稿
また私か!という状況なので11月以降微妙に担当がばらけるよう調整していますのでカレンダーをよく確認してください.

末吉
McGraw, A. P., Larsen, J. T., Kahneman, D., Schkade, D. (2010). Comparing gains and losses.  Psychological science, 21(10), 1438-1445.
ゲインとロスのインパクトの違いについて検討。ロスへの嫌悪は、この2つが同じ尺度上で同時に提示されたときに生じる。

寺島
Hamamura, T. (2012). Social Class Predicts Generalized Trust But Only in Wealthy Societies. Journal of Cross-Cultural Psychology, 43(3), 498-509. doi: 10.1177/00220022111399649
社会階層は一般的信頼感を予測するが、このことは裕福な国(あるいは文化)でのみ観察される。

田渕
Kogut, T. (2011). Someone to blame: When identifying a victim decreases helping. Journal of Experimental Social Psychology, 47 (4) 748-755.doi:10.1016/j.jesp.2011.02.011
被害者が特定できる状況で,被害者自身に責任があると感じる場合は,助けたいという意欲が低下する.公正世界信念が強い人はその傾向が強い

村山
Dijkstra, K. a., van der Pligt, J., van Kleef, G. a., & Kerstholt, J. H. (2012). Deliberation versus intuition: Global versus local processing in judgment and choice. Journal of Experimental Social Psychology, 48(5), 1156-1161. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2012.05.001
直感的な判断の方が熟考するより優れているという関係を、処理スタイル(グローバルv.s.ローカル)が調整する。

三浦
McCabe, D. P., & Castel, A. D. (2008). Seeing is believing: The effect of brain images on judgments of scientific reasoning. Cognition, 107, 343–352. doi:10.1016/j.cognition.2007.07.017
一般大衆は脳画像を見せられると研究結果を信用しやすい.

担当者(三浦)のコメント:
末吉さん論文は,Kahnemanが3rdに入っていて,いかにも意思決定におけるプロスペクト理論と関連しそうな内容.ゲインとロスの相対的な影響力の違いについてこれまでの実験的証拠はmixedだが,それは「ゲインはゲイン,ロスはロス」で評価させているからで,ゲインとロスを直接的に比較させるとロスのインパクトが大きくなるんだよ,ということを示したもの.負の分配の大きさの心理的影響を(正の分配と比較して)検討したいような場合に,こうした知見はちゃんとふまえた方がよさそう.

寺島君論文は,WVSを使って一般的信頼感と社会階層の関連を検討したもの.媒介変数としてジニ係数(収入の平等性),一人当たりのGDP(国家の富裕さ),個人/手段主義の程度を想定している.結論はともかく(笑),WVSデータセットを使った研究がけっこうたくさんある+データセットをダウンロードできることを思いだした.昨夜自宅からやってみたら第5波までフルで入ったSPSSデータセットは50MB近くしました.でも便利に使えそうかもしれない.なお,ここで使われていた一般的信頼の2項目について日本版をiPadアプリで確認したのですが,そもそも項目そのものが見当たらなかった…

田渕さん論文は,公正世界信念が強いと(あるいは強い公正世界信念をプライミングされると),特定可能な被害者の「本人に責任がある」苦境に対しては援助の手をさしのべにくくなるということを実験的に示したもの.公正世界信念は今ゼミでアツいので,みんな興味を持って読んだ.しかしこの概念,妙に得心がいく内容で便利なだけに取り扱いが難しそうだ.

村山さん論文は,物の良し悪しなどを判断する際は熟考するよりも直感に頼った方が正確になるという知見があるが,こうした差異が生じるメカニズムをグローバル/ローカル処理スタイルにもとづいて説明しようとした研究.対象をどう評価するのが「正しい」のかということについてフレームがない(あるいは,評価者がそれをもたない)場合にはこんな結果になるかもなあ,という感想.

三浦論文は,cognition研究を一般大衆に分かりやすく伝える際,棒グラフは光トポ画像よりも脳画像を示した方がより信頼性が高まるということを実験的に示したもの.人間は還元主義的な解釈に親近感を持ちやすいので,「人間がこんな振る舞いをするとき,脳のどこがどうなっているのか」を見せてくれている(ような気がする)ところがポイントだというのは,なるほどと思った.
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