2012.11.05

2012/11/05 2:06 に Megumi Tabuchi が投稿   [ 2012/11/05 13:44 に Asako Miura さんが更新しました ]
末吉さん
Saguy, T., Tausch, N., Dovidio, J. F., Pratto, F. (2009). The Irony of Harmony. Psychological Science, 20(1), 114-121.

寺島くん
Gervais, W. M., & Norenzayan, A. (2012). Reminders of Secular Authority Reduce Believers’ Distrust of Atheists. Psychological Science, 23(5), 483-491.
ヘッドライン:非宗教的な権威集団の存在をプライミングされると、本来は信頼されない対象である無神論者への不信感が低減した。


田渕
Vouloumanos, A., Onishi, K., & Pogue, A. 2012 Twelve-month-old infants recognize that speech can communicate unobservable intentions. PNAS, 109(32), 12933–12937 doi/10.1073/pnas.1121057109
ヘッドライン:赤ちゃんは『発話』がその人の目に見えない『意図』を表していることを理解している!

村山さん
Rios, K., Wheeler, S. C., & Miller, D. T. (2012).  Compensatorynonconformity: Self-uncertainty and low implicit self-esteem increase adoptionand expression of minority opinions.  Journal of Experimental Social Psychology, 48(6), 1300-1309. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2012.07.005

ヘッドライン: 潜在的自尊心が低く、顕在的自尊心が高い人は、自己不確実性が高い場合に少数派となる意見を表明する

三浦先生
Young, C. B., Wu, S. S., & Menon, V. (2012). The neurodevelopmental basis of math anxiety. Psychological Science, 23(5), 492-501. doi: 10.1177/0956797611429134

ヘッドライン:数学に苦手意識を持っている子どもを早期発見・治療するのに
fMRIは有効だ


担当者コメント

末吉さんの論文は,集団間のポジティブな交流が劣等集団の認知(外集団に対する態度や公平性)に影響を与えるかどうかを調べた論文。公平性の期待は高まるけど実際の配分は期待通りにはいかない,というのがなんとも,残念な結果でした。実験の方法は興味深いところも多々あり,著者の熱い思いも伝わってきましたが,いかんせん抽象的なフレーズが多くてなかなか読みにくい論文だなぁ,と思いました。

寺島くんの論文は,無神論者への不信感が,警察など権威の存在のプライミングで低くなる,という論文。背景にどんな理論が当てはまるのかがよく分からず,ぴんとこないけど,とにかくプライミングはよく効いている様子。権威概念を叩き込んだところで,なぜそれが無神論者への偏見を減らすのだろう・・いろいろ理屈を考えてみたけれど,実際の方法論と照らし合わせてみるとやっぱりよく分かりませんでした。無神論者への強烈な偏見,という文化があるんですね。

田渕の論文は,赤ちゃんが,「発話」が目に見えない「意図」の情報交換をしている,ということを理解しているという論文。赤ちゃん論文はやっぱり,行動指標の妥当性や解釈の部分が気になってしまいます。条件間で明らかに異なる行動を示す,ということが既に発見なのかもしれない,と最近思っています。同じ発達研究でも,高齢者研究とはアプローチから全然違ったりするので面白いけど難しいです。

村山さんの論文は,少数派の意見表明をする行動と顕在・潜在的自尊心,自己不確実性との関連を調べた研究。ひとつの理論を示すために実験を積んでおさえて,といういつもながらの方法に感服しました。潜在・顕在的指標の高低で分けて,行動レベルの違いを検討する研究はいくつか読んだことがありましたが,今回はまた新しい視点だと思いました。方法も面白いです。ある現象の背景に自己脅威の概念をもってくる,というのは高齢者研究でも最近流行ってきているようです。

三浦先生の論文は,fMRIを使って,数学不安に特有の部位を見つけることができたという論文。他の一般的な不安や知能とは独立的に数学不安にだけ,というのが見つかったというのは面白いが,「これが分かったから,次は?」というのは難しいところ。数学不安が独立したものということは,高齢者研究や調査でも日々感じていたところなので,脳部位が特定できたのなら,例えばそこの委縮や病歴と日常生活の数学的情報の扱いの関係とか,他の身体機能への影響とかの方に興味があります。
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