2012.11.12

2012/11/12 1:40 に kei terashima が投稿
末吉さん
Saguy, T., Tausch, N., Dovidio, J. F., & Pratto, F. (2009). The Irony of Harmony. Psychological Science, 20(1), 114-121.
ヘッドライン:討論を通して相手集団との共通性を認知すると、相手集団に非現実的な分配量を期待したり、自集団の社会的サポートに対する支持が低下する。

寺島
Trinkner, R., Cohn, E. S., Rebellon, C. J., & Van Gundy, K. (2012). Don't trust anyone over 30: Parental legitimacy as a mediator between parenting style and changes in delinquent behavior over time. Journal of Adolescence, 35, 119-132.
ヘッドライン:両親の養育スタイルの違いは子供の非行行動に異なる影響を与えるが、そこに青年の両親への正統性の認知が媒介していた。

田渕さん
ヘッドライン:自己・他者の気持ちにどのぐらい注目するか、はっきり分かっているかということは、おおむね主観的幸福感に関係しているが、多少文化差はある。

村山さん
Lun, J., Oishi, S., & Tenney, E. R. (2012). Residential mobility moderates preferences for egalitarian versus loyal helpers. Journal of Experimental Social Psychology, 48, 291-297.
ヘッドライン:居住流動性が高い人はそうでない人よりも、部外者に手を差し伸べてくれるような人と友達になりたいと思う。

三浦先生
Sugawara, S. K., Tanaka, S., Okazaki, S., Watanabe, K., & Sadato, N. (2012). Social Rewards Enhance Offline Improvements in Motor Skill. PLoS ONE, 7(11): e48174.
ヘッドライン:人は褒められると伸びる。(2012.11.8報道ステーションなどで紹介)

担当者コメント

末吉さん論文は、劣位集団が優位集団との共通点を意識したり、優位集団の成員と多く交流しているほど、相手からの非現実的な分配を期待したり自集団援助への意図が低下する、というもの。外集団への公平性認知が高まることでかえって内集団にとってはネガティブな影響が出る、というまさにIronyな研究。正義、公正、公平という概念は、日常に深く浸透しているだけに色々な側面があるようだ。

寺島論文は、親の養育のスタイルは子供の非行行動を減らしたり増やしたりするけれども、親の権威を正統であると認知することは非行を減らすよ、というもの。正統性概念の応用例として読んでて面白かった。親自身の養育スタイルの認知と子供の認知との相違が検討できたらより面白そう。親が子供へ課す規則の「なぜ」を説明するか否か、というのは、正統性に影響するという手続き的公正の話と同じことか、と一人納得。

田渕さん論文は、自分や他者の気持ちへの注目の程度、明確に分かっている程度が主観的幸福感に与える影響とその文化差を、42か国の調査データから検討したもの。自他のメタ気分認知が高いとおおむね主観的幸福感は高かったが、顕著な文化差は見られなかった。それにしても、HLMの表は複雑でなかなか理解が追い付かない…。要勉強。

村山さん論文は、居住流動性の高い人は平等にみんなを助けてくれるような援助者を選好する、というもの。この居住流動性という概念、調査OK、実験OK、プライミングで操作できるうえに定義も明確で理解しやすい、と全然スキがない。恐ろしい…。ちなみに、僕の学部時代のゼミの先生や石黒格先生たちが『「東京」に出る若者たち』という本を出しています。少しは関係する…かも。

三浦先生論文は、巷で話題の褒めると伸びる論文。褒められて生じる「やったね!」という気持ちがパフォーマンスに影響するというよりは、褒められることがスキルの固定を促す、という結果。スキルの固定には睡眠が重要らしく、またこの研究はキーボードでポチポチ指を動かすmotor skillのみに関するもので、今後どう展開していくかが楽しみ。他人が褒められる条件に割り振られた被験者の気持ちはいかようにか。
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