2012.4.9

2012/04/09 1:55 に Aya Murayama が投稿   [ 2012/04/09 1:56 に更新しました ]

報告論文

三浦:Gray, H. M., Ishii, K., & Ambady, N. (2011). Misery Loves Company: When Sadness Increases the Desire for Social Connectedness. Personality & Social Psychology Bulletin, 37(11), 1438-1448. doi:10.1177/0146167211420167
悲しみという情動が注意や動機づけに及ぼす効果を3つの実験に基づいて検証した.社会的喪失による悲しみは,社会的関係への注意を高め,それに関連する行動を喚起させることが示された.失敗による悲しみは,そのような効果をもたなかった.

村山:Peetz, J., & Buehler, R. (2012). When distance pays off : The role of construal level in spending predictions.  Journal of Experimental Social Psychology, 48(1), 395-398. doi: 10.1016/j.jesp.2011.07.016.
解釈レベル理論に関する研究。2つの研究から、解釈レベルが高次(より抽象的な解釈)になると、自己に関する予測の正確性を高められる可能性が示された。

田渕:Gruenewald, T.L., Liao, D.H., &Seeman, T.E. (2012). Contributing to others, contributing to oneself: perceptions of generativity and health in later life. The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, doi: 10.1093/geronb/gbs034
高齢者における世代性の高さが,身体機能の維持と死亡率を予測できるかについて,10年間の追跡調査データから検討.ベースライン時の世代性が高い高齢者は,10年後の身体機能の低下が起こりにくく,死亡率も低いという結果となった.

末吉:Sparks, E, A., Ehrlinger, J., Eibach, R, P. (2012). Failing to commit: Maximizers avoid commitment in a way that contributes to reduced satisfaction. Personality and Individual Difference, 52, 72-77. doi:10.1016/j.paid.2011.09.002.
常に最良の選択をしようとしている人は、とりあえず満足できるような選択をしている人よりも、選択肢を多く保持することを好み、また自身の選択にコミットしたがらないということが示された(実験1)。そして彼らは自身の下した決定を変えようとせず、最終的に自身の決定に対する満足感は低くなっていた(実験2)。

寺島:DeAndre, D. C., Ellison, N. B., LaRose, R., Steinfield, C., Fiore, A. (2011). Serious social media: On the use of social media for improving students' adjustment to college. Internet and Higher Education, 15(1), 15-23.
学生の大学への適応に関して、既存の研究では学生への対面的なサポートが重要であると考えられてきた。しかし本研究からは、ソーシャルサイトを用いることによる、学生自身が抱く社会的サポートに対しての認知が適応に対してポジティブな効果を持つことが示された。

担当者のコメント

 末吉さんの報告論文では、最大・最良を目指そうとする人たち(マキシマイザー)は満足度が低くなるという結果が報告された。あまり高い目標を持ってガンガンやるよりは、なんでも適当に受け流すほうがいいんじゃないのという話が出た。
マキシマイザーの程度を測定する尺度(Schwartz et al., 2002)の内容が興味深かった。確かにマキシマイザー的特徴を持った人とサティスファイサー的特徴を持った人が頭に思い浮かぶ。
  寺島君の報告論文では、ソーシャルサイトを用いることによる、学生自身が抱く社会的サポートに対しての認知が適応に対してポジティブな効果を有するという結果が報告された。入学前にSNSを提供する大学があるということに驚いた。参加者265人と言っておきながら、Table2のNが327人だったりして、少し気持ち悪かった。
  村山は、解釈レベル理論に関する論文を報告した。2つの研究から、解釈レベルが高次(より抽象的な解釈)になると、自己に関する予測の正確性を高められる可能性を示したものである。プライミングがきれいに効いていて、毎度ではあるが不思議に感じた。
  田渕さんの報告論文では、ベースライン時の世代性が高い高齢者が、10年後の身体機能の低下が起こりにくく、死亡率も低いという結果が報告された。世代性が長寿という機能維持にも影響を及ぼすという点が斬新であるという田渕さんの指摘は面白かったし、わかりやすかった。MIDUS(中高年者を対象とした米国の大規模縦断調査)があることを知った。日本版(MIDJA)は今後本格的に稼働させるための準備段階のようだ(サイトは現在死亡中)。また、身体機能・自立の度合いを生活レベルで測定する尺度(ADL)の存在も初めて知った。
 三浦先生の報告論文では、悲しみという情動が注意や動機づけに及ぼす効果を3つの実験に基づいて検証され、社会的喪失による悲しみは、社会的関係への注意を高め、それに関連する行動を喚起させることが報告された。一方失敗による悲しみは、そのような効果が持たないことも報告された。同じネガティブの感情でも、悲しみと怒りによって結果が異なるという点は興味深かった。






Comments