2012.5.14

2012/05/14 22:24 に kei terashima が投稿
報告論文
三浦先生:Christofides, E., Muise, A., & Desmarais, S. (2012). Hey Mom, What's on Your Facebook? Comparing Facebook Disclosure and Privacy in Adolescents and Adults. Social Psychology and Personality Science, 3(1), 45-54. doi: 10.1177/1948550611408619
 
青年と成人のFacebook利用に焦点を当て、両者のプライバシー意識に違いがあるかを比較検討した研究。未成年者の方が自己開示をあまり気にせず行っているが、それはプライバシー意識の差ではなく利用時間の違いによって生じていた。
 
村山さん:Neel, R., Becker, D. V., Neuberg, S. L., & Kenrick, D. T. (2012). Who Expressed What Emotion? Men Grab Anger, Women Grab Happiness. Journal of experimental social psychology, 48(2), 583-686. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2011.11.009.
 
男性の顔が周囲から「怒り」の表情に、女性の顔が周囲から「幸せ」の表情に誤認知されやすいということを実験的に示した研究。
 
田渕さん:Weiss, D., & Lang, F. R. (2012). The two face of age identity. The Journal of Gerontopsychology and Geriatric Psychiatry, 25(1), 5-14. doi: 10.1024/1662-9647/a000050.
 
質問紙調査によって、高齢者は自分たちと同じ年齢群に対しては喪失や減退と結びつけたネガティブな表現をする一方、自分たちと同じ世代に対しては「同時代を生きた仲間」といったポジティブな表現をすることが明らかになった。
 
末吉さん:Matthews, G., Panganiban, A, R., Hudlicka, E. (2011). Anxiety and selective attention to threat in tactical decision-making. Personality and Individual Differences, 50, 949-954. Doi: 10.1016/j.paid.2010.09.005.
 
雪山の遭難者のもとにたどり着くための最短ルートを検討する実験的な課題によって、不安が意思決定においてパフォーマンスと情報獲得にどのような影響を与えるかを検討。
 
寺島:Chan, M. (2011). Shyness, sociability, and the role of media synchronicity in the use of computer-mediated communication for interpersonal communication. Asian Journal of Social Psychology, 14, 84-90. doi: 10.1111/j.1467-839X.2010.01335.x.
 
シャイネスのネガティブな側面を社交性が抑制するということを、CMCメディアの利用状況を調査することで検討。シャイネスは社交性によって緩和されるが、その効果はチャットなどの同期的なメディアの利用にまでは及ばないということが明らかになった。
 
 
担当者コメント
 
 末吉さんの報告論文では、意思決定時のパフォーマンスと情報獲得行動に不安感情がどのような影響を及ぼすかが議論されていた。雪山での遭難者をレスキューする最短ルートを考えてもらうという実験的な操作は、実験協力者の行動を容易に記録できそう。実験系の論文を読んだり報告を聞いたりするたびに、そのアイデアの豊かさに驚かされる。
 
寺島の報告論文では、CMCメディアの同期/非同期性に着目しながら、シャイネスと社交性との関係が論じられていた。が、単なる階層的重回帰分析だけから議論をかなり広げていて、これで良いのかという印象はぬぐえなかった。色々な意味で勉強になる論文ではあった。
 
田渕さんの報告論文は、高齢者において自分の属する年齢群に対してはネガティブな表現が、世代に対してはポジティブな表現がなされるという研究であった。たとえば今の若者が高齢になったとき、「ゆとり世代」というネガティブな世代観はどう語られるようになるのか、気になった。それはやはりネガティブな印象のまま語られるのか、それとも「周囲からのプレッシャーをくぐりぬけた同じ世代の仲間」というポジティブな印象で語られるのか。同世代の人たちにはなんとなく親近感がわく(内集団バイアス?)ということも、同世代へのポジティブな見方にかかわっているように思う。
 
村山さんの報告論文では、男性の表情は「怒り」の表情に、女性の表情は「幸せ」の表情に誤認知されやすいということが実験的に示され、適応的な観点から考察されていた。潜在的な脅威を回避するため、あるいは社会的なつながりの獲得を逃すことを回避するために表情の誤認知が行われるという説明であったが、この効果は経験によって変わりうるだろうか。たとえば、実験の前に男性同士のけんかを目撃するという操作を加えるとか。
 
三浦先生の報告論文では、Facebook利用における青年と成人のプライバシー意識の違いが検討された。そこには大きな差がなかったが、青年の方が全体的に情報開示しやすく、それは青年がそういう環境に慣れているからという考察だった。実名を用いないmixiやtwitterなどでは、この研究結果がどう変化するか、もしくは変化しないのか気になる。多少はプライバシー意識は上がるのだろうか。
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