2012.5.21

2012/05/21 0:54 に Aya Murayama が投稿
報告論文
三浦先生:Leung, a. K.-Y., Kim, S., Polman, E., Ong, L. S., Qiu, L., Goncalo, J. a., & Sanchez-Burks, J.    (2012).    Embodied Metaphors and Creative “Acts.”     Psychological Science, (April). doi:10.1177/0956797611429801
 
メタファーの身体化が単に知識を活性化させるだけではなく知識創出の原動力になっており,創造的思考を促進する.身体化がハード(実際に体を動かす)でもソフト(疑似体験する)でも同じ.
 
村山:Koch, A. S., & Forgas, J. P.    (2012).    Feeling good and feeling truth: The interactive effects of mood and processing fluency on truth judgments.     Journal of Experimental Social Psychology, 48(2), 481-485. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2011.10.006
 
気分がいいときは流暢性を真実であることの判断に用いるが、気分がよくない時はそのような傾向はなくなる。
 
田渕さん:Fingerman, K.L., Cheng, Y-P., Birditt, K., & Zarit, S.     (2012).    Only as happy as the least happy child: multiple grown children’s problems and successes and middle-aged parents’ well-being.     The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, 67(2), 184–193, doi:10.1093/geronb/gbr086. 
 
中年期の両親のWell-beingは,成人したわが子の失敗・成功に影響を受けており,成功の場合は,複数人の子どもの成功がWell-beingと関係していたが,失敗の場合は一人でも失敗した子どもがいるとWell-beingが低下していた。
 
末吉さん:Matthews, G., Panganiban, A, R., Hudlicka, E. (2011). Anxiety and selective attention to threat in tactical decision-making. Personality and Individual Differences, 50, 949-954. Doi: 10.1016/j.paid.2010.09.005.
 
不安が意思決定におけるパフォーマンスと情報獲得に与える影響を実験。パフォーマンスにおける差は見られなかったが、不安は起こる可能性が低い大きなリスクを避ける方向へはたらき、また不安特性を持つ人がとくに不安に駆られた場合、リスク情報をより欲するようになった。 →先週と同じ論文を再度読み込み


寺島君:Keysar, B., Converse, B. A., Wang, J., Epley, N. (2008). Reciprocity Is Not Give and Take: Asymmetric Reciprocity to Positive and Negative Acts. Psychological Science, 19(12), 1280-1286. doi: 10.1111/j.1467-9280.2008.02223.x
 
社会的交換において相手に「与える」ことと相手から「奪う」ことの意味合いは異なっている。たとえ同価値のもの(同じ金額)がやり取りされたとしても、「与えられる」より「奪われる」方がネガティブな印象ないしは行為を次に引き起こしやすい。

担当者コメント

末吉さん
先週に引き続き同じ論文について、もうちょっと深く理解した。意思決定時のパフォーマンスと情報獲得行動に不安感情が及ぼす影響について検討した論文である。
使用された意思決定課題そのものは結構使えそうだなぁと感じた。著者はもっと不安を喚起させるような手続きが必要としているが、これ以上強く操作しようとすると倫理基準に引っかかるのでは?という点について議論した。

寺島君
与えることと奪われることの意味の違いについて、5つの実験から検討した論文。与える場合の方が奪われる場合よりも自分自身の出費が増えたとしても寛大な振る舞いをするという点は興味深い。単純なGain/Lossではこのような違いは生じないという実験5は面白いと思った。加えて、本研究で使用されていた独裁者ゲームについてちょっと詳しく知れたのが良かった。自分の実験で、集団内での協力行動を測定したいので、その時に使えるかもしれない課題なので、もう少し勉強せねばならない。

田渕さん
中高年のwell-beingが子供の成功、失敗に関係しているというものであった。一人でも失敗した子がいると、well-beingが低下するというのは衝撃だ。しかしながら、両親側のmarital statusとか収入もwell-beingに有意な効果を及ぼしているし、両親の主観的な成功・失敗の程度についても聞いておいてほしかった(笑

村山
ポジティブ感情が誘発され、かつ情報の処理のしやすさ(流暢性)の程度が高い場合は、その情報を真実であると判断しやすくなるという結果を示した論文。現実場面への適用という議論の部分が興味深く、セールスマン、弁護士などは相手の感情がポジティブになるように操作し、かつ流暢性が高い情報を提示することで真実判断を引き出しやすくなる可能性があると書かれていた。先日死刑判決が出た木嶋佳苗被告も、もし罪を犯していたとしたらという前提だけど、相手の男性の感情状態をポジティブにし、かつ流暢性高く情報を提示することで相手に自分の話を信じさせていたのかもしれない、などという議論をした。

三浦先生
以前に話題になったろくろ論文の紹介であった。実験2の、箱の中に入って課題を遂行するか、箱の外で遂行するかで、パフォーマンスに差があるというのはにわかに信じがたいが、しっかり閉所恐怖症の程度を共変量にしていたり、箱なし条件(統制条件)を設定していたり、その様式美(?)は参考になる。日本語のことわざを身体的メタファーに適用するとどのようなものがあるだろうか?と考えた。三浦先生が言っていた通り、もともとこういうことわざ(think outside the box)自体がそういう経験から生じている可能性があるため、ニワトリタマゴ的なことをわざわざ検討している危険性もある。



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