2012.7.2

2012/07/02 2:17 に Megumi Tabuchi が投稿   [ 2012/07/02 2:25 に更新しました ]

報告論文

末吉さん

Campanha, C., Minati, L., Fregni, F., Boggio, P. S. (2011). Responding to Unfair Offers Made by a Friend:  Neuroelectrical  Activity Changesin the Anterior Medial Prefrontal Cortex. Journal of Neuroscience, 31(43), 15569-15574.

最後通牒ゲームにて、不公平オファーの提案者(友人or他人)による受諾/拒否への違いはANOVA上では見られなかったが、脳波(MFN)を測定したところ友人オファーに対しては不公平だと示されず、主観的評価もそれと対応していた

寺島くん

Baldassarri, D., Grossman, G. (2011). Centralizedsanctioning and legitimate authority promote cooperation in humans. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(27), 11023-11027.

制裁を与える個人の存在は人々の協力行動を高めるが、その効果は制裁を与える個人に正統性が付与されたときに、より強いものとなる

田渕

Ruggiano, N. 2012 Intergenerational SharedSites: An Examination of Socio-Physical Environments and Older Adults’Behavior. Research on Aging, 34(1), 34-55. DOI: 0164027511414916

世代間統合施設における環境と高齢者の行動について,観察およびスタッフ面接により調べたところ,特に子どもと高齢者が場所を取り合う場面でネガティブな行動・態度が抽出された

村山さんMilders, M., Hietanen, J. K., Leppänen, J. M., & Braun, M. (2011).  Detection ofemotional faces is modulated by the direction of eye gaze.  Emotion (Washington, D.C.), 11(6), 1456-61. doi:10.1037/a0022901

恐怖顔は目線があっている時よりもはずれている時でより検出されやすく、怒り顔と喜び顔は目線が外れている時よりもあっている時でより検出されやすい

三浦先生

Kohn, N. W., Paulus, P. B., & Choi, Y. (2011). Building on the ideas of others: An examination of the idea combinationprocess. Journal of Experimental Social Psychology, 47(3), 554-561. Elsevier Inc. doi:10.1016/j.jesp.2011.01.004

集団で相互作用がある状況下で創出されるアイディアは名義集団によるそれよりも量的には劣るが質的には勝る.その傾向は集団に持ち込まれるアイディアが自分たち個人によるものであろうと他から与えられたものであろうとおおむね同じ.

担当者のコメント

 末吉さん

 友人が提案者である場合は電位が正になり,見知らぬ他者である場合は負になる,しかしパフォーマンスとしては差がない,  という結果.整理指標とパフォーマンスで異なる結果が出ているところは面白いが,それがなぜなのかという議論が不十分なので腑に落ちない.「不適応行動を無くすという種全体の利益が、見知らぬ他人が提案者となるときは広がり、友人が提案者となるときは抑えられる」というところまで広げるのならば,むしろパフォーマンスで差が出て整理指標で差が出ない,という結果の方が当てはまるのでは…云々考えてしまった.

 寺島くん

 制裁を加える者に正当性を付与することで,こんなに効果が上がるとは!という論文.やはり選挙をする,というのは意味のあることなのだと確認できる内容だった.サンプリングから分析まで,かなり手間をかけて綿密に行われており,このデータで何本も論文を書きたい著者らの気持ちも伝わった.何よりも実験風景のあの写真のインパクト.

 田渕

 久しぶりに読んだ「幼老複合施設」の論文.論文の内容自体は大したことないが,まだこういう施設の研究で頑張っている人がいるんだなぁと思った.でもあんまり流行らなかったということは問題が多いということだ.

 村山さん

 目線が合っているか否かという点に着目した,表情検出の論文.恐怖顔では目線が合っていない方が検出されやすいという,他の表情と異なる結果が出たのは興味深いし,その解釈も日常的に考えてみれば納得.こういう基礎研究の結果が人間の進化や発達の話につながる(例えば,恐怖顔の視線を自分以外に向けている場合,生存のためには恐怖の対象から自分も逃げないといけないので検出が早くなったなど)のは面白いと思う.

 三浦先生

 集団での相互作用がいかにアイデアの質に影響するか,ということが示された.持ち込まれるアイデアが自分たちのものでなくても,相互作用の効果が認められるのは面白い.論文では「前半」と「後半」という時間的な変数も設けていたが,最終的に集団の相互作用により質の高いアイデアが選出されるまでのプロセスをもっとじっくり知りたいと思った.高齢者研究だと「creativity」と聞けば「高齢期の創造性の発達」を思い出してしまうが,そんな高齢者がブレストしたらなんか大変なことになりそう,と思った.

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