2012.7.9

2012/07/15 16:09 に Asako Miura が投稿   [ 2012/07/16 0:28 に更新しました ]
末吉 
Shariff, A. F., Rhemtulla, M. (2012). Divergent Effects of Beliefs in Heaven and Hell on National Crime Rates. PLoS ONE, 7(6).
天国を信じている人が多い国では犯罪率が高い、ということを大規模国際比較データから主張。GDPといった経済的指標よりも犯罪率を高く予測していた。

寺島
Cozzolino, P. J. (2011). Trust, cooperation, and equality: A psychological analysis of the formation of social capital. British Journal of Social Psychology, 50, 302-330. doi: 10.1348/014466610X519610
資源の分配は、その分配の平等/不平等によって生じる感情や分配的公正性への認知によって媒介され、社会関係資本に対して影響していた。

田渕
Kellough, J. L., &  Knight, B. G. (2012). Positivity Effects in Older Adults’ Perception of Facial Emotion: The Role of Future Time Perspective. The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, 67(2), 150–158, doi:10.1093/geronb/gbr079.
高齢者における顔の表情認知のポジティビティ・エフェクトには,年齢と将来展望が影響していた

村山
Huang, S.-L., Chang, Y.-C., & Chen, Y.-J. (2011). Task-irrelevant angry faces capture attention in visual search while modulated by resources.  Emotion, 11(3), 544-52. doi:10.1037/a0022763
怒り顔は注意が向けられやすいが、それは注意資源が十分にある時に特に顕著なようだ。

三浦
Stefanone, M. a., Kwon, K. H., & Lackaff, D.  (2012). Exploring the relationship between perceptions of social capital and enacted support online.
Journal of Computer-Mediated Communication, 17(4), 451-466. doi:10.1111/j.1083-6101.2012.01585.x
SNSのフレンドは,いてくれるとうれしいけど,肝心な時に大して役に立たないかもしれない.

担当者のコメント
末吉さん論文は,World Values Survey(世界価値観調査;日本はずっと東大が関与していて,現在の代表はIKKN先生)のデータに依拠して「天国/地獄を信じる」ことと犯罪率の高さとの関連を見た研究.天国を信じている国(天国を信じる人の割合-地獄を信じる人の割合)の方が犯罪率が高いらしい.地獄を信じることは犯罪を減らすが,天国を信じることは犯罪を増やし,それは社会経済指標その他を統制してもほぼ同様(強盗だの何だのお金絡みのものは別として)そうだ.しかし散布図を見ると,犯罪率がとても高い南米諸国が結果を引っ張っているような気がしないでもない… ちなみに世界価値観調査2010日本データはiPad分析アプリでただで見られるよ☆

寺島君論文は,実験+GSS調査データの分析で資源分配→社会関係資本の因果関係をPN感情や公正性認知が仲介することを示した研究.実験はちまちましていて(ただし,従属変数の取り方は大変巧妙で参考になった),GSS調査は思いっきり社会調査で,両極端であった.実験条件をダミー変数化した分析をしているのだが,どうもその方法が今ひとつぴんとこなかった.ちなみにGSSの日本版JGSSはこちら.これまたIKKNだ!

田渕さん論文は,高齢者はなんでもポジティブに受け取りやすい(この研究では「ネガティブ顔でもポジティブ/あいまいな形容をする」)というポジティビティ効果が存在するものの,「あなたはあと20年元気に生きられるよ☆」と教示されるとその効果が減衰し,また若者に「もう君は明日から大学生ではなくなりLAにはいられなくなるよ」と教示するとポジティビティ効果がやや現れる,ということを実験的に示した研究.ほんまか.LA効果ちゃうんか.

村山さん論文は,怒り顔が画面に呈示されていると,それがターゲットだと反応時間が速くなり(促進効果),非ターゲットだと反応時間が遅くなる(妨害効果)ことを3つの実験で示した研究.幸せ顔だとこうした効果は得られなかった.促進効果の方がこれまで検討されていなかったらしい.幸せ顔が若干困った顔に見えた(眉が下がっているため)のが若干気になった.ニュートラル+怒り+幸せ顔を全部合成した線画が単なる面白顔になっていて笑えた.

三浦論文は,コバテツ君が先だってツイートしていたもの.FBフレンド(親しい/単なる知り合い)6名ずつに授業課題への協力依頼をメッセージで投げて,どのくらいの人が応諾するか/どの程度協力してくれるかを測定したもの.そもそも協力率が2割くらいだったので,イマイチ役に立たないよねという結論になっているわけだが,若干依頼メイルの定型文がSPAMくさく,もう少し工夫の余地があるのではないかと思われた.が,SNSを使った実験的アプローチとしては面白く,今後の参考になった.
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