2012/9/17

2012/09/18 18:53 に Aya Murayama が投稿
末吉
Sutton, R. M., Douglas, K. M.     (2005).    Justice for all, or just for me? More evidence of the importance of the self-other distinction in just-world beliefs.     Personality and Individual Differences, 39(3), 637-645.
公正世界信念尺度の妥当性を第三変数を考慮したうえで検討した。先行研究通り、自己公正感は生活満足度を、他者公正感は社会的厳しさを説明していた。

寺島
Reicher, S. D., Haslam, S. A., & Smith, J. R.    (2012)    Working Toward the Experimenter: Reconceptualizing Obedience Within the Milgram Paradigm as Identification-Based Followership.    Perspectives on Psychological Science, 7(4), 315-324. doi: 10.1177/1745691612448482.
Milgram実験における服従行動は、単純に実験者の権威に服従した結果ではなく、実験者に代表される「科学コミュニティ」に対して被験者が自分自身を同一視した結果の行動である。

田渕
Pavlova, M.K., & Silbereisen, R.K.    (2012).    Participation in voluntary organizations and volunteer work as a compensation for the absence of work or partnership? evidence from two German samples of younger and older adults.     The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social 67(4), 514–524, doi:10.1093/geronb/gbs051
ボランティア活動の組織に属すること,というより,無償で誰かのために何かをすること自体が,高齢者にとってはよいことである

村山
Ronay, R., Greenaway, K., Anicich, E. M., & Galinsky, A. D.    (2012).    The Path to Glory Is Paved With Hierarchy:When Hierarchical Differentiation Increases Group Effectiveness.     Psychological Science. doi: 10.1177/0956797611433876.
平等な立場で構成された集団よりも、階層的な集団の方が生産性が高まることもある。

三浦
Sayette, M. a, Creswell, K. G., Dimoff, J. D., Fairbairn, C. E., Cohn, J. F., Heckman, B. W., Kirchner, T. R., et al.     (2012)    Alcohol and Group Formation: A Multimodal Investigation of the Effects of Alcohol on Emotion and Social Bonding.     Psychological science. doi:10.1177/0956797611435134
飲酒しつつしゃべるとみんなで笑ってみんなでしゃべって仲良くなれちゃうよ~


担当者のコメント

末吉さんの論文は、測定したい概念やそれと近い概念との関係性などの議論が不十分だった。また分析についてもかなり大雑把な階層的重回帰分析を行っているだけで、卒論レベルという印象を受けた。途中の議論で出てきたように、自己公正感と他者公正感の関連について説明する第3の変数があれば面白かったのではないかと思った。定義上両者に相関はないとのことだが、正の相関をしないとそれはそれで個人としては不安定な状態になっているのではないかと感じた。

寺島君の論文は、18種類あるミルグラムの服従実験を服従率ごとに並べて、その変化パターンが科学コミュニティに対する参加者の同一視の程度と類似することを示した研究だった。18の実験は権威者の属性や服従者との物理的距離、実験室の状況など、たくさんの要因を変えて「試してみた」という感じなのだけどそれらを服従率ごとに並べて、他の変数との関連を見るというやり方はとても面白いと思った。ミルグラムの研究は今なおちょこちょこできる範囲で追試されたり再考されたりするので、この研究結果も講義など担当することがあれば紹介したい。

田渕さんの論文では、ドイツにおけるボランティア活動への積極性に驚いた。一方で、高齢者研究でイニシアティブをとるには、どれだけビッグデータを扱える立場にいるかということが重要になっているという近年の傾向を聞いて、「それじゃ若手の立ち入る隙がないね(´・ω・`)」となった。そうじゃない方々もいるようなので、そちらでどういう研究が展開されているか気になる。

三浦先生の論文では、飲酒しながら3名の異性混合集団でコミュニケーションする条件と、飲酒しない条件で非言語行動などを比較していた。340万コマ超の映像データについて、AUがコーディングされていて驚愕した。このコーディングをした人のことを思うと涙が出そうになった。結果としては、三浦先生もおっしゃっていた通り、ごくごく当たり前のことすぎて、その点とコーディングした人のことを合わせて考えるとますます涙が出そうになった。倫理上実施は困難だと思うのだけど、たとえば外集団成員も交えて飲酒コミュニケーションをした場合、それは激しい口論やとっくみあいにつながるのだろうかと考えた。もしそれでも「みんなで笑ってみんなでしゃべって仲良くなれちゃうよ~」だったら面白いが。

村山論文は、集団内の勢力を操作して集団課題をした場合に、メンバー相互でやり取りをする必要がある課題では勢力にバリエーションのある集団の方がパフォーマンスが高くなるという結果だった。また、胎内におけるテストステロンの暴露量が多い個人は、集団内葛藤をより強く感じることが示された。勢力の操作がプライミングなのと、その操作が効いてるらしいという点がいかにもアメリカ的な研究であると思った。もうすこし、集団メンバーに対して明示的に勢力の差を認識させた場合にどうなるかが気になる。
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