2013.01.07

2013/01/10 21:03 に kei terashima が投稿
寺島
Savani, K., Morris, M. W., & Naidu, N. V. R. (2012). Deference in Indians’ Decision Making: Introjected Goals or Injunctive Norms? Journal of Personality and Social Psychology, 102(4), 685-699.
インド人はアメリカ人よりも権威に対して服従的な傾向を示すが、このことは権威者の目標を自分の目標にしているのではなく、権威者には従うべきという規範が存在するために生じている。

田渕さん
Wade-Benzoni, K. A., Tost, L. P., Hernandez, M., & Larrick, R. P. (2012). It’s Only a Matter of Time: Death, Legacies, andIntergenerational Decisions. Psychological Science, 23(7), 704–709. 
死を考えることで、将来の他者への遺産配分が増える。

村山さん
Hinzman, L., & Kelly, S. D. (2013). Effects of emotional body language on rapid out-group judgments. Journal of Experimental Social Psychology, 49(1), 152-155.
外集団の顔は、怒りのボディランゲージと組み合わされた方が喜びと組み合わされた時よりも処理速度が速くなる。

三浦先生
Hart, W. (in press). Unlocking past emotion: Verb useaffects mood and happiness. Psychological Science.
うれしい思い出は未完了形で,悲しい思い出は完了形で記述すると,楽しい気分になれるよ。


【担当者コメント】
寺島論文:インド人には権威に対して服従的にふるまう傾向があり、それは彼らが「権威者に従うべき」という規範を内面化しているからだ、ということを示した論文。アメリカ人を比較の対象に置きつつも考察では言及していない、そもそも「選択」することと「選好」することをそんなにうまく分けて考えられるだろうか、などの点を議論。また、実験参加者が中流階級に限定されていたこともあり、インドのカースト制を鑑みるなら、より高いカースト、もしくはより低いカーストの人も参加者に含め、そのカーストを条件に組み込んでみた方がいいのではなかろうか。ちなみにプライミング(権威条件:私は上司が好きだ、統制条件:私は飼い犬が好きだ)は例のごとくよく効いていた。

田渕さん論文:死をプライミングされると将来の他者への遺産分配量が多くなるということを、募金とエネルギーの配分によって検討。後者の実験では、他者への親密感が媒介していた。論文中では他者にとって利益を生じるような資源であったが、他者にとってのリスクを抱える負の資源を分配するという状況では結果がどうなるだろうか、やはり分配量は抑えられるのだろうか、という点を議論。実験2は自分が社長で子会社に対して資源をどう分配するのか、という状況を想定したものだったので、社長としての利害関心が交絡してしまっていそう。それにしても、この系統の研究で出てくる「死後も自分の存在を残して安心感をえる」という発想がピンと来ないのは、自分がまだまだ若いからだろうか。

村山さん論文:顔による人種判断の速さが、感情的なボディランゲージ(EBL)との組み合わせによって異なることを示した論文。外集団の顔は怒りのEBLと組み合わせられた場合に判断速度が速くなっており、この違いはステレオタイプ的な関連付けではなく外集団効果によるものだ、ということが示された。…が、怒りのEBLがどう見ても怒りを表明していると判断しにくい、喜びのEBLは顔のあたりに体が存在していて顔の判断に影響してしまうのでは、そもそも顔の画像処理が雑すぎるのではないか、と色々と問題点があった。しかし、顔をボディランゲージと組み合わせたときの判断がどうなるか、という発想自体はユニーク。

三浦先生論文:出来事を完了相(たとえばI cried.)ではなく未完了相(たとえばI was crying.)で書いた人の方が、ポジティブ経験の記述では事後によりポジティブなムードかつ高い幸福感を、ネガティブ経験の記述では事後によりネガティブなムードかつ低い幸福感を報告していた、という論文。未完了相の方が記憶が強化される、という知見を再現したもの。ただ、実際の記述内容が「どの程度」ポジティブorネガティブだったのか、による影響が気になるところ。ともかく、日本語では完了相と未完了相を明確に分けることは難しく、かつ分けても効果は出るか?(「私は泣いた」と「私は泣いていた」がどの程度意識されて使い分けられるだろうか?)ということで、やはり英語は便利だなあと思った。
Comments