2013.01.21

2013/01/22 7:33 に Aya Murayama が投稿
【末吉さん】
DeVoe, S. E., and Iyengar, S. S. (2010). Medium of Exchange Matters: What’s Fair for Goods Is Unfair for Money. Psychological Science, 21(2), 159-162.
ヘッドライン:公正性評価について資源が持つ特性の違いについて検討。分配された資源が実用的なものである時よりも、交換媒体(お金みたいなもの)であるときに、公正さに欠けると評価されていた。
【寺島君】
Skitka, L. J., Bauman, C. W., & Lytle, B. L. (2009). Limits on Legitimacy: Moral and Religious Convictions as Constraints on Deference to Authority. Journal of Personality and Social Psychology, 97(4), 567-578.
ヘッドライン:ある事柄に関して権威者が何らかの判断を下した時、その事柄に対する倫理的な確信を人々が強く持っている場合にのみ、権威者への正統性の認知はその判断への支持・不支持に沿って変化する。
【田渕さん】
Salthouse, T. A. 2013 Within-Cohort Age-Related Differences in Cognitive Functioning Psychological Science, in press. DOI: 10.1177/0956797612450893
ヘッドライン「認知機能にはコホートの影響だけじゃなく,加齢の影響も同じぐらいある」
【村山】
Alquist, J. L., Ainsworth, S. E., & Baumeister, R. F. (2013).  Determined to conform: Disbelief in free will increases conformity.   Journal of Experimental Social Psychology, 49, 80-86. doi:10.1016/j.jesp.2012.08.015"
ヘッドライン: 自由意思に対する信念は、同調の圧力への抵抗につながる。
【三浦先生】
Shapiro, R. B. and Ossorio, P. N. (2013). Regulation of online social network studies: How should research adolescent players of online educational games be conducted responsibly? Science, 339, 144-145.
ヘッドライン:SNS研究は増えつつあるがガイドラインがまだ明確ではない.特に青少年を対象としたデータ収集に際する留意点を解説.全体的には「ユーやっちゃいなよ」的な論調のように思える.

【発表者のコメント】
末吉さんの論文は、交換可能性の高いもの(お金やクレカポイント)よりも、低いものの方が平等に分配する場合に公平性が高いと判断されるということを2つの実験から示した研究であった。第2著者はアイエンガーだったので、「選択」と関連するのではということだった。生活保護費を現金支給ではなく現物支給する方が公平と判断されるのだろうか、というような議論を行った。着眼点は面白いと思った。

寺島君の論文は、権威が倫理的、宗教的に間違っていると思われるような決定をした場合においても、正統性が民衆の反発を抑制するかどうか、という問題を検討したものであった。権威独立仮説とリトマス試験仮説が紹介され、調査の結果は人々が自身の倫理的/宗教的信念を、権威の決定を受け入れるor従うかどうかの一つの基準として用いるというものだった。倫理と宗教は切り離された概念であることが示されたということだが、中絶など他のテーマだとしたら両者の区別があいまいになるのではないかという議論になった。また、文化的な違いもあるのではないかという話も出た。2つともの仮説が支持されたというのも少しモヤモヤした。

田渕さんの論文は、過去の大規模データをがさっと使用して、認知機能の低下に対してコホートと加齢がどの程度影響しているのかを検討したものであった。Within-cohort、Between-cohortで比較できるデータをよくぞこれだけ入手できたなというところでまずは感心した。語彙は加齢に伴って(60代位まで)増加するが、その他の認知検査の変数については加齢に伴って(特に7,80代で)ガクッと下がる傾向が示された。そして、加齢に伴うコホート内の変化はコホート間の差異と同程度であることが示された。大規模データでやった、というのが一番の売りで、分析などはわりと大雑把な印象だった。

村山論文は、自由意思を信じているかどうかが、他者への同調の程度を低減させるかどうかを3つの研究から明らかにしたものだった。実験の手続きや操作が面白く、同調するかどうかの測り方もなるほどと思った。抽象画に対する選好の程度を聞くというのは以前読んだ論文でも同調の程度を測定する際に用いられており、便利そうだ。確かに抽象画は評価の基準が素人にはわかりにくく、このような実験に使うのに適しているかもしれない。自由意思に関する尺度は自分の研究でも少し使えるかもしれない。

三浦先生の論文は、特に未成年の子どもを参加者とした場合のSNS研究において、どれだけデータをとることが「適切」かという点について議論を促すペーパーの紹介であった。アメリカでは13歳以上でSNSの登録が可能であるため、それ以上の子どもたちのデータは基本的に取集してもよいが、親の権利や、十分なデブリーフィングなど、気を付けなければならない点は多くなるとのことであった。SNSを使用する上での注意点や倫理的な問題などを、ツールへの慣れとどのように組み合わせて親が子どもに教えていくかという点について話題になった。

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