2013/9/2

2013/09/02 1:10 に kei terashima が投稿
【末吉さん】
Kille, D. R., Forest, A. L., and Wood, J. V. (2013). Tall, Dark, and Stable: Embodiment Motivates Mate Selection Preferences. Psychological Science, 24(1), 112-114.
ヘッドライン:身体的情報メタファーと印象評価・選好との関連について検討。身体の不安定性が、対人関係の不安定性評価につながり安定性欲求を動機づける。

【寺島】
Wilkinson, D., Guinote, A., Weick, M., Molinari, R., & Graham, K. (2010). Feeling socially powerless makes you more prone to bumping into things on the right and induces leftward line bisection error. Psychonomic Bulletin & Review, 17(6), 910-914.
ヘッドライン:権力がないとプライミングされると、線分を左寄りに分割し、狭い通路で右側により接触した。

【田渕さん】
ヘッドライン:(信仰心により)他者を許せば社会的つながりが回復して受刑者の人生評価が下がる。

【村山さん】
Skarlicki, D. P., Hoegg, J., Aquino, K., & Nadisic, T. (2013). Does injustice affect your sense of taste and smell? The mediating role of moral disgust. Journal of Experimental Social Psychology, 49(5), 852–859.
ヘッドライン:対人的不公平は味覚・嗅覚を敏感にさせるが、その効果は怒り感情と道徳的嫌悪感情によって調整される。

【三浦先生】
Vohs, K. D., Redden, J. P., & Rahinel, R. (2013). Generosity, and conventionality, whereas disorder produces creativity. Psychological Science, published online before print August 1, 2013.
ヘッドライン:乱雑な研究室からは創造的な研究が生まれる。アインシュタインもそう言ってる。


担当者コメント

【末吉さん論文】
グラグラした不安定な椅子や机を使うと、カップルの関係を不安定だと評価し、自分のパートナーに対して安定的な性格を求める、という論文。しかしこの結果が正しいとなると、質問紙調査は椅子や机も統制してやる必要があるんじゃないか、という話に(オンライン調査はもってのほか)。神経症傾向が統制されてなさそう、というのは気になる。ぜひ卒論や実習で追試を。

【寺島論文】
権力がないとプライミングされると、脳の右半球が活性化し左側への注意が活性化することで、線分を左寄りに分割し狭い通路の右側への衝突が多かった。権力の感覚が低次の行動レベルにおいても影響する、というのは興味深い。以前の輪読ゼミと同様、権力のエピソードプライミング(Galinsky et al., 2003, JPSP)はよく使われるが、日本人でも同様に効くのだろうかという疑問が。日本人でやってみたい。

【田渕さん論文】
実際の囚人を対象にして、宗教的な信仰心が自分・他者・状況への許容(Forgiveness)と社会的供給を媒介して人生評価を高める、ということを示した論文。囚人が何かを許す(許容する)、ということをどう考えたらいいかが難しい。高齢受刑者の精神的健康に関心が寄せられているという話があったが、そもそも犯罪者の健康などどうでもいいと考える人が一定数いそうで、そうなるとこの手の調査はなかなか難しそうだなあ、と思う。

【村山さん論文】
不公平な扱いや状況に対する不公平感は、怒りと嫌悪感を媒介して味覚・嗅覚の鋭敏さを高める、という論文。論文の考察部分で不公平感を喚起する職場の状況の整理という話になり「え?」となりかけたが、応用的な話(労働現場での不公平)と進化的な話(嫌悪→味覚)を接続したところに論文の新しさがあるということのようだ。それにしても、臭い条件で使われたBuckley's Cough Syrupの、動画のインパクトたるや。一度飲んでみたい。

【三浦先生論文】
作業するのが乱雑な部屋の場合、整頓された部屋の場合よりも多く寄付をして健康を志向し、創造性が高くなった。これは、乱雑な部屋が奇抜さへの志向をもたらすから、という結論だった(整頓された部屋は伝統への志向をもたらす)。「割れ窓理論」のように無秩序さは否定的にとらえられてきたが、そこに肯定的な意味を見出した所が斬新な点。ただ、実験状況の画像は作業と関係するものが乱雑に置かれており、ゴミなどの無関係なもので部屋が乱雑な場合には結果がどうなるのか、気になるところ。
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