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2015/03/30 16:35 に Asako Miura が投稿
今年度報告論文のベスト3を各参加者が選定しました.

中村

Huang, Y., Kendrick, K. M., and Yu, R. (2014). Conformity to the Opinions of Other People Lasts for No More Than 3 Days. Psychological Science, 25,1388–1393.
人は,自分の意見と違う意見に直面した時,他者に合わせて意見を変えることがよくある。これは,社会的同調効果(social-conformity effect)として知られている。人の意思決定における社会的影響の即時の影響は良く知られているけれども,これが,一時的な大衆への迎合と個人的な意見の持続的な変化を反映するかどうかは,まだ明らかでない。顔の魅力度評価を用いた実験では,参加者にそれぞれの顔について魅力度を評価させた。その後,仲間集団の評価を知らされました。それから,参加者は,1日後,3日後,1週間後,3か月後に,同じ顔についての評価を行った。結果は,個人の最初の判断が他者の意見によって変わるのは,ほんの3日間だけであることを示した。この知見は,社会的同調効果は数日間続いたため,それが一時的な大衆への迎合よりも,むしろ個人的な意見の短期的な変化を反映することを示唆する.

Tormala, Z. L., Briñol, P., & Petty, R. E. (2006).
When credibility attacks: The reverse impact of source credibility on persuasion. Journal of Experimental Social Psychology, 42, 684–691.
自己妥当性仮説に基づいた先行研究は,メッセージが提示された後に特定されたソースの信憑性が,説得メッセージによって生じた思考の確信度に影響することを示している (Briñol, Petty, & Tormala, 2004 )。本研究は,信憑性の高いソースが信憑性の低いソースよりも,態度変容の促進もしくは抑制に関連することを検討する。2つの実験で,まず人がメッセージに応じてポジティブな思考が生じ(たとえば,論拠の強いメッセージである場合),それからソースを知る時,信憑性の高いソースは信憑性の低いソースよりも,好ましい態度になる。しかしながら,先にメッセージに対してネガティブな思考を持つとき(たとえば,論拠が弱い場合),この効果が反対になった。すなわち,信憑性の高いソースは,信憑性の低いものよりも,態度が肯定的でなかった。

Andrew K. Przybylski and Netta Weinstein (2013).Can you connect with me now? How thepresence of mobile communication technology influences face-to-faceconversation quality. Journal of Social and Personal Relationships , 30(3), 237-246.
コミュニケーション技術の近年の前進は、何十億人もの人が携帯電話を利用してはるか遠くにいる人とつながることを可能にした。しかし、社会的環境においてこれらの機器の存在が常にあることは、面と面を向かった相互作用にどのように影響しているかはほとんど解明されていない。2つの実験で、われわれは携帯電話の単なる存在が2つの環境において関係の質をかたどる程度を調べた。両方の実験から、相手との近さ、つながり、会話の質に負の効果があることを明らかにした。これらの結果は、携帯電話の存在が人間関係に干渉し、個人的に重要なトピックの時にその効果が明確になることを説明した。

村山

DeWall, C. N., Chester, D. S., & White, D. S. (2015). Can acetaminophen reduce the pain of decision-making? Journal of Experimental Social Psychology, 56, 117-120.
心理学的、行動経済学的な理論では、人がしばしば非合理的で、ベストではない選択をすることを示してきた。ある決定について表現するときに、痛みに関する言葉を用いることがある(hurt, painful)。神経科学的なエビデンスから、身体的な痛みと意思決定に関わるシステム間に共通する部分があると指摘されている。しかしながらこれまで、どの研究でも薬理学的に身体的痛みを減少させることが、意思決定における痛みを減少させうるかということが扱われていない。本研究では、身体的な痛みを緩和するアセトアミノフェン、もしくは偽薬を投与した後に、認知的不協和(実験1)、もしくは喪失嫌悪(実験2)を生じさせる状況に参加者をおく実験を通して、この溝を埋めることを試みた。いずれの実験でも、アセトアミノフェンが意思決定の痛みを緩和させ、認知的不協和の状況では態度変容をあまり生じさせず、個人の所有物を売却する際の値段設定を低くさせる結果が示された。

Kouznetsova, D., Stevenson, R. J., Oaten, M. J., & Case, T. I. (2012). Disease-avoidant behaviour and its consequences. Psychology & Health, 27, 491-506.
感染性ではないのに感染性に見える病状は、その病状を持つ人が避けられることにつながる。エラー管理理論(EMT)に基づくと、このようなフォルスアラームは感染のコストが回避行動よりも個人の適応にとってより大きな脅威につながることから生じる。研究1では病気に関連するフォルスアラーム効果について、感染性の病気、感染性ではないがそのように見える病気、感染性ではないことが分かる病気に関する一連のシナリオの評価を通して検討した。接触レベルが異なる状況下で感染リスクの判断と、回避したい程度を測定した。EMTと一貫して、フォルスアラーム効果が確認された。研究2では、感染可能性の判断に際して顔が重要な指標となる可能性について検討した。予測と一貫して、参加者は顔に症状がみられる人物をより避けたいと報告した。これらを合わせると、人は病気のサインを示す人物を避けやすく、また特に顔にその症状が出ている場合に顕著になるという一般的な傾向を進化させてきたという考えを支持する結果が得られたといえる。この結果がもたらす可能性の1つとしては、病状が顔に出る状態が続いた場合、それが無害であるとわかっていても、その人物は長期的に他者から避けられる経験をするかもしれない。

Russell, P. S., & Ginger-Sorolla, R. (2011). Moral Anger Is More Flexible Than Moral Disgust. Social Psychological and Personality Science, 2(4), 360-364.
本研究では、個人が潜在的な状況を考慮した後の道徳判断の変化について、嫌悪よりも怒り感情が関連を有するという可能性を検討する。参加者は、まず道徳違反について示したシナリオ(harm or fairness vs. purity)を読み、その行為に対する初期の道徳判断と感情について回答する。その後、自分の意見が変わる場合の事項をリストするよう指示され、それらの事項を考慮した上で再度同様の道徳違反に関する判断をおこなうように言われる。その結果、潜在的な状況を挙げた後も嫌悪感情の得点は変化しない一方、怒り感情は違反の種類により異なる変化の仕方が見られた。また、道徳判断の変化には、嫌悪感情ではなく怒り感情が影響していた。状況の変化に対して怒りが反応を示すことから、道徳的な怒りは道徳的な嫌悪に比べてより柔軟な感情であることを示唆している。

三浦

Maniaci, M. R., & Rogge, R. D. (2014). Caring about carelessness: Participant inattention and its effects on research. Journal of Research in Personality, 48, 61-83.
本研究は,不注意回答が研究課題やデータの質,相関分析,実験操作,そして検定力の維持に及ぼす悪影響を検証した.結果が示唆したのは,3~9%の回答者がとても不注意な回答をしていることで,既存の指標と新しい不注意測定尺度(Attentive Reponding ScaleとDirected Questions Scale)の両方において先行研究と一貫した潜在クラスを構成していた.また,不注意な回答者の自己報告データはきわめて質が悪く,実験操作の効果や重要な回帰分析の結果を曖昧にさせるに十分であった.不注意回答者を除外することによって,検定力は向上し,不注意が原因の効果サイズの落ち込みを緩和することができる.

Oppenheimer, D. M., Meyvis, T., & Davidenko, N. (2009). Instructional manipulation checks: Detecting satisficing to increase statistical power. Journal of Experimental Social Psychology, 45(4), 867-872.
参加者というやつは,常に勤勉というわけではなく,実験者がそうであってほしいと思うように教示を読んだりそれに従ったりしてくれないこともある.参加者が教示に従うことに失敗するとき,データのノイズは増え,妥当性は低下する.本研究は教示に従わない参加者を検出する新しいツールIMCを提案し,その妥当性を検証する.IMCを含めることがいかに検定力とデータセットの信頼性を高めうるかを示す.

Gino, F., & Wiltermuth, S. S. (2014). Evil Genius? How Dishonesty Can Lead to Greater Creativity. Psychological Science, 25(4), 973 –981.
不正直さと創造的行動には共通点がある.それは両者とも「ルールを破る」ものだという点だ.この特徴を共有するゆえに,創造性は不正直さを導き(これは先行研究で検証済),不正直さは創造性を導く(本研究でこの仮説を検証).5つの実験において,参加者は様々な課題についての自らのパフォーマンスについて課題報告するという不正直な振る舞いをする機会を与えられ,その後創造性を測定する1つないし複数の課題を遂行した.チートした参加者は,創造性の個人差を考慮しても後続の課題でより創造的であった(実験1).実験2と3では,ランダム割り付けを用いて,不正直な行為をすることが後続課題でより高い創造性を導くことを明らかにした.不正直さと創造性の結びつきについて,「ルールに縛られない」感覚の高まりによるmediator効果(実験4)とmoderator効果(実験5)が確認された.

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