2012/9/24

2012/09/26 17:27 に 末吉南美 が投稿   [ 2012/09/26 17:37 に更新しました ]
末吉
Bal, M. & Bos, K. (2012). Blaming for a better future: future orientation and associated intolerance of personal uncertainty lead to harsher reactions toward innocent victims. Personality & social psychology bulletin, 38(7), 835-44.
未来志向性(future orientation)が高いほど公正世界信念が強くなり、またこの関係には、不確実なことに対しての耐性のなさが介在していた(実験1:未来志向性→BJW、実験2:未来志向性→不確実への耐性のなさ、実験3:不確実への耐性のなさ→BJW
 
寺島

Van der Toorn, J., Tyler, T. R., & Jost, J. T. (2011). More than fair: Outcome dependence, system justification, and the perceived legitimacy of authority figures. Journal of Experimental Social Psychology, 47(1), 127-138.

得られた結果の好ましさは、結果の如何が相手に依存しているとき、またその結果を得る過程(手続き)が公平なときに高まったが、この効果は結果を左右する相手を正統とみなすかどうかによって媒介されていた。

 

田淵

Stephan, Y., Chalabaev, A., Kotter-Grühn, D., & Jaconelli, A. (2012). “Feeling younger, being stronger”: an experimental study of subjective age and physical functioning among older adults. The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, inPress, 10.1093/geronb/gbs037

『同年齢の人と比べて若い!』と思わせるフィードバックは精神的にも身体的にも効果がある

 

三浦

Baird, B. Smallwood, J., Mrazek, M.D., Kam, J., Franklin, M.S.& Schooler, J.W. (2012). Inspired by distraction: Mind-wandering facilitates creative incubation. Psychological Science. [Epub ahead of print]

上の空タイムがあると,より創造的な思考ができる

担当者のコメント

 

末吉論文

未来志向性→BJW(被害者非難)、未来志向性→不確実への耐性、不確実への耐性→BJWというように、順序よく説明されてはいたが、不確実への耐性を含めた媒介分析をしたわけではなくそれぞれ個別の実験だったため、「媒介していた!」と声高々にいうのはどうなのか。不確実性の操作は、不確実(or確実)な出来事を想起させているだけ、いつも通りプライミング効きすぎ。不確実なことを想起させているが、それがポジネガ情動を喚起して罪なき被害者非難につながるのではなく、表面的な情動を統制したわけなので、不確実なことにたいする根本的な耐えられなさを問うていることにはなる。自分のことにあてはめてみると面白いかもしれない、というご指摘……。

 

寺島くん論文

5つも実験・調査を行っており、流れとしては、最初は条件分けてみて次に操作してみて最後に大きな枠組みで~、というよくある感じのもの。システム正当化理論と公正世界信念が似ているという話であったが、システム正当化理論の方は「社会システムを維持して守ろう」とするものであるが、公正世界信念は「公正な世界を信じることで自分を脅威から守る」というものであって文字通り「世界観」。公正世界信念の方が視点が上。どちらも脅威となるものが提示されたときにどういう行動が起こるか、という点では同じ。確かに、脅威にさらされたり管理しようとするときは、何かを正当だと信じないとやってられない気もする。システム正当化理論からの、権力が正当性の源であるという考えは、成績発表への反応にも通じるかもしれない。先生がつけた点数なんだから間違いなんかない!成績のクレームを言いに来る学生はごく稀というお話。

 

田淵さん論文

ポジティブなフィードバックとして、握力数値を測定して「同年齢の人たちの中で上位2割に入りますよ!」と言っているわけだけど、統制群では何も返さないのはどうなんでしょうか。「平均でしたよ」とかフィードバックすればよかったのでは(平均以上効果でがっかりさせてしまう恐れはあるけれど)。議論にも上がったけれど、このような実験でいつも思うのは「実験後も操作がどれほど持続するのか」ということ。実際に、高齢者の握力等を測定して結果を聞かれたときにどのように返せばいいのか、その返し方一つで寿命なりなんなりが影響されてしまうのか……。でも実験中のポジティブなフィードバック1回ですごく健康的になれるのなら、皆さん実験参加していただけたらいいんじゃないでしょうか。

 

三浦先生論文

流暢性と創造性は交絡していないという点に納得。つまり上の空状態では、取り留めもなく考えがたくさん浮かぶ(アイディアのカテゴリ数の多さで得点化)ということではなく、創造性(ユニークネス)が高まっているということ。困難ではない課題をしている時に、ふっといい考えが浮かぶというのは実感としてよくある話で、例えば車を運転している時とか髪を洗っている時とか、それ自体は何の考えもなしにできてしまうことだけど、何もしていないわけではない状態がそれにあたる。ただの休憩時間を作るよりも、上の空状態を作った方が創造性が上がるということなので、勉強に疲れたときは休憩と称してだらーっ何もしないよりも、緑が森の中でを四角く歩きながら無心でテトリスをすれば、すごく良いアイディアが浮かぶ、はず。創造性を高める実験は結構あるけれど、それを組み合わせて、もしくはいっぺんにやらせるような実験はないのだろうかという議論をした。

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