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輪読ゼミ2011まとめサイト

2011.4~2012.3に大学院輪読ゼミ(月曜午後)で報告した論文の書誌情報をカテゴリ別にざっくり整理し,Abstract日本語訳を付しました.主に自分の情報整理作業のためのものであり,公開するのはその作業をなるべくいい加減にやらないようにする自分のための足かせです.内容に誤りはないと思いますが, 正確な情報は原文をご確認下さい. 書誌情報のうち特にdoiあたりはあったりなかったりです.参加者のうち,村山綾さん(博士研究員),末吉南美さん(2011年度B4,2012年度大学院進学)による同様のまとめはこちら(by 村山)とこちら(by 末吉).
2013まとめ 2012まとめ

★オンラインコミュニケーション関連

Back, M. D., Küfner, A. C. P., & Egloff, B. (2010). 
The emotional timeline of September 11, 2001. 
Psychological Science, 21(10), 1417-9. doi: 10.1177/0956797610382124.

(Short Reportのためアブストなし) 9.11テロ事件当日の情動反応がどのようなものだったかについて,特に否定的情動反応(「悲しみ」「不安」「怒り」)に焦点を当てて検討した.ウィキリークスからアメリカ国内でテキストページャに送信されたメッセージ(匿名)をフリーでダウンロードし,その中に含まれる情動語を分析した.分析対象としたメッセージは,テロ発生2時間前(午前6時45分)から18時間後(午前0時44分)までに,85,000以上のページャ(≒ユーザ数)から発信された573,000行(6,400,000語).LIWC(Linguistic Inquiry and Word Count)を利用して「悲しみ」「不安」「怒り」語の出現比率を計算した.否定的情動反応により変化の様相に違いがあり,「悲しみ」は急増せず時間とは弱い正の相関.おそらく犠牲者数に関する情報がどんどん入ったためか. 「不安」は事件に関わる出来事に敏感に反応して上下し,そのため時間とは無相関. 「怒り」は事件が「テロだ」と分かるのにつれてどんどん上昇.不安とは異なり,ベースラインに戻らなかった.

Back, M. D., Küfner, A. C. P., & Egloff, B. (2011).
Automatic or the People? Anger on September 11, 2001, and Lessons Learned for the Analysis of Large Digital Data Sets.
Psychological Science, 22(6), 837-838. doi:10.1177/0956797611409592

Back et al.(2010)に対するPury(2011)のコメントに対するリプライのためアブストなし.すいません.このデータの分析には(a)自動生成メッセージを除去して「意味のある」社会的メッセージのみを対象とする,(b)なおかつ社会的メッセージの情動レベルを正確に測定する,ことが必要ですね.というわけで,やってみました.自動的にやるのは難しいので,著者3名と学生2名とで201,347件のログをvisual inspectionして,37,606件の「anger」語が含まれた社会的メッセージの「怒り」レベルを「no anger: 0」~「strong anger: 2」の3段階で評定しました(Fig. 1;下右).図の上下を比較してわかるとおり,anger語の出現比率は事件直後に極端に上昇した後は徐々に全体的に減少傾向にある一方で,angerレベルについては「テロである」ということがはっきり分かった後に高まっていることが分かった.

Back, M.D., Stopfer, J. M., Vazire, S., Gaddis, S., Schmukle, S. C., Egloff, B., and Gosling, S. D. (2010).
Facebook Profiles Reflect Actual Personality, Not Self-Idealization.
Psychological Science, 21(3), 372-374. doi:10.1177/0956797609360756

(Short Reportのためアブストなし) オンラインソーシャルネットワーキングサイト(OSN)のプロフィールに関する2つの対立する仮説―①idealized virtual-identity hypothesisとextended real-life hypothesisを検証.FBユーザの現実/理想自己評定とプロフィールを閲覧した観察者による他者評定を比較して分析.拡張現実生活仮説win!! 観察者の評定は正確である(特に外向性.これはたいていの研究でそう)一方で,自己理想化がおこなわれているという根拠は得られなかった.人々はOSNのプロフィールを理想化された仮想アイデンティティを促進するために利用しているのではなく,現実のパーソナリティを表現し,伝達するための効果的なメディアとして利用していることが示された.

Berger, J. & Milkman, K. (2011). 
What Makes Online Content Viral?
Journal of Marketing Research. doi: 10.1509/jmr.10.0353. (Ahead of print)

ある種のオンラインコンテンツはなぜ他よりも「伝染力が強い」のだろうか?本論文は「拡散」を理解するために心理学的アプローチを採る.ニューヨークタイムズの3ヶ月間の全記事データセットを用いて,情動がどのように「ネット口コミの拡散virality」を形成するかを検証する.分析の結果,ポジティブなコンテンツがネガティブなコンテンツよりも伝染力が強いが,情動と社会的伝達の関係はより複雑だった.伝染性は,部分的には,生理的覚醒によってもたらされる.覚醒度の高いポジティブ/ネガティブ情動(畏怖/怒りや不安)を喚起するようなコンテンツはより伝染力が強い.覚醒度の低い不活性な情動(悲しみ)を生じさせるコンテンツの伝染力は弱かった.これらの結果はコンテンツの意外さや興味深さや実用性の高さ(いずれも伝染力と正の関連あり),外的な注意喚起要因(コンテンツの見た目の特徴など)を統制しても維持された.実験的な結果は,伝達における特定の情動の因果的インパクトと,それが活性化レベル(の高さ)によって引き出されることを示した.まとめると,本研究で得られた知見は,なぜ人々がコンテンツを共有するのかに焦点を当て,効果的な伝染力の強いマーケティングキャンペーンの設計に洞察を与えたといえる.

Burke, M., Kraut, R., & Marlow, C. (2011).
Social capital on Facebook: Differentiating uses and users.
Proceedings of the 2011 annual conference on Human factors in computing systems (CHI2011), pp. 571-580. doi:10.1145/1978942.1979023 

SNSは「一枚岩(monolithic)」の活動―すなわち常に等しく社会的でありそのことがすべてのユーザに同等に影響している―として取り扱われることが多い.我々は,Facebookが社会関係資本(social capital)に与える影響を(1)サイト上での活動のタイプ(1対1コミュニケーション/多くの聴衆への「放送」/社会的ニュースの受動的消費),(2)ユーザの個人差(社会的コミュニケーションスキル/セルフエスティーム)にもとづいて検証した.415名のFacebookユーザを対象とした縦断的調査データとサーバログを照合したところ,フレンドからのメッセージ受信がブリッジ型社会関係資本の増加と関連があったが,その他の利用は無関連だった.しかし,社会的流動性が相対的に低いユーザによる受動的なニュース消費のための利用は,彼らの「つながり」から価値を引き出していた.この結果は社会的接続性の増大とその付加価値を高める方途を探しているサイトデザイナーたちにとって有用だろう.

Chen, G. M. (2010).
Tweet this: A uses and gratifications perspective on how active Twitter use gratifies a need to connect with others. 
Computers in Human Behavior, 27(2), 755-762. Elsevier Ltd. doi: 10.1016/j.chb.2010.10.023.

Twitterは,140文字のメッセージ(ツイート)を他者(フォロワー)と共有するインターネット上のソーシャルネットワーク・マイクロブログプラットフォームで,マスコミ的な特徴と対人コミュニケーション的な特徴の両方を兼ね備えている.317名のツイッター利用者を対象とした調査データの階層的重回帰分析から,ツイッターでアクティブに活動している月数が長ければ長いほど,あるいは,ツイッターに費やす1週間あたりの時間が多いほど,他者との”camaraderie”(いわゆる「コネクション」;同じ職場・共同生活から生まれた友情,友愛)のインフォーマルな感覚に対するニーズが満たされていることが明らかになった.また,アクティブなツイッター利用と他者とのつながりに対する欲求の満足の関係を仲介していたのは,ツイートの頻度と@をつけた(つまり相手を特定した)リプライ数,利用者間のパブリックメッセージであった.結果は「利用と満足」理論にもとづいて議論された.

DeAndrea, D. C., Shaw, A. S., & Levine, T. R. (2010).
Online language: The role of culture in self-expression and self-construal on Facebook.
Journal of Language and Social Psychology, 29(4), 425-442. doi:10.1177/0261927X10377989

本研究は,文化が,多くの利用者のいるソーシャルネットワーキングサイトFacebookにおける文化的自己観(self-construal)と自己表現に及ぼす影響について検討した.文化的自己観に関する実際の自己記述表象を検討するために,不変に(unaltered)独立して(independently)存在する情報(具体的には「私は…」的な自己表現と第一人称代名詞,家族・友人,宗教関連語)が中西部の大学に属する白人・アフリカ系アメリカ人とアジア人のFacebookのページから収集された.研究の結果,文化は心理的属性や個別化情報に関するコミュニケーションや自己記述表現の量に大きな影響を与えていることが示された.文化的自己観研究にアフリカ系アメリカ人を含めたことも意義深かった.

Golder, S. A. & Macy, M. W. (2011).
Diurnal and Seasonal Mood Vary with Work, Sleep, and Daylength Across Diverse Cultures. 
Science, 333(6051), 1878-1881.

本研究では,個人レベルの1日のうちに変化する/季節的なムードのリズムを地球規模で―数百万のツイッターのメッセージデータを用いて―検討した.分析の結果,人はよいムードで目覚めるが,時が経過するにつれて悪化すること(そしてそれは睡眠とサーカディアンリズム(日周期)の効果と一致していること),ポジティブ感情の季節変化(ベースライン比較)は日照時間の長さの変化に応じていることが明らかになった.人は週末にはより幸福だが,ポジティブ感情の朝のピークは(平日と比べると)2時間遅れになる.これは休日には朝寝坊するからだろう.

Gosling, S. D., Augustine, A. A., Vazire, A., Holtzman, N., & Gaddis, S. (2011).
Manifestations of Personality in Online Social Networks: Self-Reported Facebook-Related Behaviors and Observable Profile Information.
Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 14(9): 483-488.

オンラインソーシャルネットワーキングサイト(OSNs;FBやMyspace)の利用者が急増しているにもかかわらず,心理学的研究はほとんどない.OSNsにパーソナリティがどのように反映されるかを検証した2つの研究は,パーソナリティ特性の5因子,FB関連行動の自己報告,観察可能なプロフィール情報の間にいくつかの関連を見いだした.例えば,外向性はFB利用頻度だけでなく(研究1),サイトへの関与も高く(研究2),また研究2では外向的な人は内向的な人と比べてFBでの活動性が高いことも再現された.オフライン場面と同様,外向的な人はバーチャルな社会関与も活発で,フレンドリストや写真投稿の形態といったFBでの行動との相関にそれがあらわれていた.こうした結果から,OSN利用者は,オフラインパーソナリティの逃避や補償のためにOSNを利用しているというよりも,OSN領域内に自己のオフラインでのパーソナリティを拡張しようとしていることが示唆される.

Holtgraves, T. (2011).
Text messaging , personality , and the social context.
Journal of Research in Personality, 45(1), 92-99.  doi:10.1016/j.jrp.2010.11.015

本研究の目的は,テキストメッセージで使用される言語がパーソナリティ特性や対人関係文脈によってどのように異なるかを分析することである.パーソナリティに関する質問紙調査実施後に,最近送信したテキストメッセージを提出し,送信者との関係について回答した.LIWCのカテゴリとパーソナリティ特性,関係の状態の相関を検討したところ,LIWCのいくつかのカテゴリと外向性(人称代名詞),神経症傾向(ネガティブ情動語),調和性(ポジティブ情動語)との有意な相関がみられ,パーソナリティ特性はテキストメッセージの書き方に影響していることが示唆された.テキストメッセージにおける決定的な特徴の一つである言語的変更(例えば略語)は個人特性と関係の状態の両方の影響を受けていた.テキストメッセージとは何か,そして送信者のパーソナリティと対人関係文脈をどう反映しているかが示される結果であった.

Johnson, K. (2011).
The effect of Twitter posts on students' perceptions of instructor credibility.
Learning, Media and Technology, 36(1), 21-38. doi: 10.1080/17439884.2010.534798.

多くの教員がSNSで学生とコミュニケーションするようになっている.本研究ではTwitterへの社会的/学問的/両者の混合情報の投稿が,当該教員に対する信頼性評定(perceived credibility)に与える影響を検証した.参加者は①社会的ツイート②学問的ツイート③両者の混合ツイートを閲覧する条件のいずれかに割り当てられ,教員への信頼性に関する質問紙に回答した.社会的なツイートのみを閲覧した参加者は,学問的なツイートのみを閲覧した参加者よりも,教員に対する信頼性の評定が有意に高かった.他は条件間の有意差はなかった.教える/学ぶことの両方にとって,教員への信頼性評定とポジティブな学習成果には確かな結びつきが存在することが示された(ほんまか?).

Lim, S. and Simon, C. (2011).
Credibility judgment and verification behavior of college students concerning Wikipedia.
First Monday, 16(4). (only e-published)

本研究は,ウィキペディアの記事の信頼性判断について,周辺手がかり,ジャンルとの関連を検証し,「限定合理性(bounded rationality)」理論にもとづいてユーザの情報検証行動の理解を試みるものである.データは,2010年春に,アメリカ中西部にある大きな公立大学で,実験と調査の両方で収集された.その結果,いくつかの興味深いパターンが見いだされた.信頼性判断に対する周辺手がかりの効果は,ジャンルによって異なっている.情報を検証しなかった学生たちは,検証した学生たちよりも高い満足を示した.学生はウィキペディアに関するさまざまな周辺手がかりを用いていた.探索的データにより,ウィキペディアのようなユーザ作成の情報ソースにとっては,公的にオーサライズされることよりよりも仲間による支持の報が重要なのかもしれないということが示された.今後の研究が待たれる.

Min, J. & Lee, H. (2011).
The change in user and IT dyamics: Blogs as IT-enabled virtual self-presentation.
Computers in Human Behavior, 27(6), 2339-2351.

本研究では,ブロゴスフィア(ブログ圏)を実用的IT環境として用いて,自己概念がバーチャルな自己呈示行動とIT人工物の利用に及ぼす影響を検討した.社会心理学における自己呈示理論にもとづいてバーチャルな自己呈示に関する理論モデルを構築した.312名のブロガーから収集したデータに基づいてモデルと仮説を検証した.SEMの結果,自己概念の法則的ネットがITで実現可能なバーチャルな自己呈示とIT人工物の利用につながっていることが示された.こうした知見は,多様な自己概念を有する異質な個人が,そのIT上で自己概念をダイナミックに変化させていくという新しいユーザ像を提供している.伝統的なシステムとは対照的に,バーチャルな自己呈示という社会的文脈において,ユーザは曖昧に定義された課題やシステムを決定する主要かつ不可欠な推進力なのである.

Pury, C. L. S. (2011).
Automation can lead to confounds in text analysis: Back, Küfner, and Egloff (2010) and the not-so-angry Americans. 
Psychological Science, 22(6), 835-836.

Back et al.(2010)へのコメントのためアブストなし.原データには自動生成メッセージが多数含まれていたはずで,論文ではそれらを除去する手続きが行われていない.PCが送信するメッセージはsuperhuman freqである.実際にBackらが分析対象としたログを眺めてみると,280,074件のメッセージから「anger」語を検索すると16,624件に含まれていたが,うち5,974件は同じユーザによって発信されたもので,それは「“Reboot NT machine [name] in cabinet [name] at [location]:CRITICAL:[date and time].”というメッセージであった.このうち”critical”が「anger」語として引っかかっていた.これは明らかに誤認(この場合のcriticalは怒りを示す単語ではない)である.こうした誤認がangerの上昇を支えている可能性があるので(Fig.1ab;bは下左),ちょっともったいないって気がするよね.

Sparrow, B., Liu, J., & Wegner, D. M. (2011).
Google Effects on Memory: Cognitive Consequences of Having Information at Our Fingertips.
Science, 332(6043). Science DOI: 10.1126/Science.1207745

インターネットの出現は,洗練されたアルゴリズムをもつサーチエンジンの登場を伴って,情報へのアクセスを「ちょちょいのちょい」というくらい簡単にさせた.何か欲しいものを見つけるために多大な努力を払う必要はもはやなくなった.私たちは旧友を「ググれば」かれの書いた文章をオンラインで見つけることができたり,「えーと,あれって誰だっけ?」な俳優を見つけることもできる.4つの研究の結果,人々は難しい疑問に直面したときにはコンピュータのことを考えるようプライムされること,そして,将来的に情報にアクセスできるだろうと予測するとその情報自身の想起率は低くなり,代わりにそれにアクセスできるのはどこかを想起しやすいことが分かった.インターネットは外在的/交換的(transactive)記憶(これは誰某が知っている,という記憶,ref: http://www.wjh.harvard.edu/~wegner/tm.htm)の主要な形式となった.そこでは情報が集合的に「われわれ自身の外で」貯蔵されているのである.

Westerman, D., Spence, P. R., & Van Der Heide, B. (2011).
A social network as information: The effect of system generated reports of connectedness on credibility on Twitter. 
Computers in Human Behavior, 27(1), 1-8. doi:10.1016/j.chb.2011.09.001

さまざまな理由でソーシャルメディアの利用は急速に増加している.ニュースと情報(が得られるというの)がその理由の1つである.本研究はソーシャルメディアで利用可能なシステム生成手がかりが情報源の信頼性の知覚におよぼす影響について検討している.参加者は6つのうち1つのツイッターページのモック(フォロワー数とフォロワー/フォロー数の比率がそれぞれ異なる)を見て,情報源の信頼性を評定するよう求められる.分析の結果,フォロワー数の曲線効果が認められ,フォロワー数は多すぎても低すぎても専門性や信用性の判断が低かった.フォロワー数とフォロー数の差が小さいと,有能性判断が高かった.これらの知見と,本研究の限界をふまえた今後の研究に関する方向性が議論された.

Whitchurch, E. R., Wilson, T. D., & Gilbert, D. T.  (2011). 
He Loves Me, He Loves Me Not . . . : Uncertainty Can Increase Romantic Attraction. 
Psychological Science, 22(2), 172-175. doi: 10.1177/0956797610393745.

本研究は,社会心理学的な自明の理「人は自分を好きな誰かのことを好き(互恵性の原理)」に制約を付けるものである.女子大学生は4名の男子学生の(いずれも以前見たことがある)フェイスブックのプロフィールを見た.彼女らは,その男性は(a)「彼女らのことが大好き」,(b)「彼女らのことが人並みに好き」,(c)「彼女らのことが大好きか人並みに好きかのどちらか」(不確実条件)だと教示された.参加者は自分を「人並みに好いている」男性よりも「大好き」な男性に魅力を感じた.不確実条件の参加者がもっとも当該男性に-「大好き」だという男性よりも-魅力を感じていた.不確実条件の参加者は当該男性についてあれこれとよく考えたので,そのことが魅力を増すことにつながった.

★創造性関連

Mueller, J. S., Melwani, S., & Goncalo, J. A. (2011).
The Bias Against Creativity: Why People Desire but Reject Creative Ideas.
Psychological Science, 23(1), 13-17. doi:10.1177/0956797611421018

人はしばしば創造的なアイディアを拒否する.創造性を発揮することが望まれる目標である時ですら.このパラドックスを説明するために,われわれは人が創造性に対して持っているバイアス―必ずしも顕在化せず,不確実性を減らしたいという動機づけを経験した時に活性化する―の存在を提案する.異なる方法(不確実性低減プライムを含む)を用いて不確実性を操作した2つの実験を行った.両実験の結果,不確実性を経験した場合に創造性に対する(実用性と比較して)ネガティブなバイアスが存在することが示された.その上,この創造性に対するバイアスは,創造的なアイディアを認識する能力を妨害していた.これらの結果から,創造的な行為者が自身の斬新なアイディアを受容してもらおうと試みる際に直面するかもしれない「隠れたバリア」があることがわかった.

Woolley, et al. (2010).
Evidence for a Collective Intelligence Factor in the Performance of Human Groups.
Science, 330(6004), 686-688.

心理学者たちは,さまざまな認知的課題に関する人間のパフォーマンス間の相関から,しばしば「一般的知能」(g)と称される単一の統計的因子が析出されることを繰り返し示してきた.しかし,誰一人としてこれまでこれと同種の「集合知」が人間の集団において存在するかどうかをシステマティックに検証してこなかった.699名(2~5名の集団)を対象とする2つの研究において,「一般的集合知能」因子(c)がさまざまな課題の集団パフォーマンスを説明するという収束的な証拠を発見した.この「c因子」は,集団成員の個人知能の平均値ないしや最大値との相関はそれほど強くない一方で,集団成員の社会的感受性の平均値や会話のターンテイキングの配分の平等性,集団内の女性比率とは相関していた.(私の理解では,心理学者は必ずしも個人の知能の単一構造説に与していないと思うが…)

★その他,雑多な関心のままに…

Anderson, E., Siegel, E. H., Bliss-Moreau, E., & Barrett, L. F. (2011).
The Visual Impact of Gossip.
Science, 332(6036), 1446-1448.doi: 10.1126/Science.1201574

ゴシップは,「誰が友達で誰が敵か」に関する感情的情報の一形式である.本研究では,ゴシップはある顔が「どのように評価されるか」に影響するだけではなく,「一番よく(in the first place)見えるかどうか」に作用することを示す.2つの実験で,ニュートラル表情の顔がネガティブ,ポジティブ,あるいはニュートラルなゴシップと組み合わされ,視野闘争(binocular rivalry)パラダイム(片目に顔,もう片方の目に家)に基づいて1つずつ呈示された.両研究で,ネガティブなゴシップと組み合わされた顔がポジティブ,ニュートラルゴシップと組み合わされた顔よりも長時間視認された.これらの知見により,ゴシップは潜在的な社会的感情学習の一形式として,顔の基本的な構造特徴とは独立に,完全にトップダウン方式で視覚に影響しうることが示された.

Berger, J. (2011).
Arousal Increases Social Transmission of Information.
Psychological Science, 22(7), 891-893. doi:10.1177/0956797611413294

(Short Reportのためアブストなし)社会的コミュニケーション(social transmission)はありとあらゆる場所で行われている.こうした対人コミュニケーションは意思決定からウェルビーイングまであらゆることに影響している.しかし,社会的コミュニケーションが重要かつ頻繁に行われていることは明らかだが,人はどんな情報を共有しようとするのか,つまり「共有されやすい話や情報」とそうでない情報の違いはよく分かっていない.本研究は,人が情報を共有しようとすることと(生理的な)覚醒arousalの関係に注目する.2つの実験を行い,実験1では情緒的なビデオ視聴,実験2ではジョギングをすることによる一般的な覚醒の増加が,それらとは無関係な内容の情報(ニュートラルなニュース記事)に関する社会的コミュニケーションにもたらす影響について検討した.もし偶然の覚醒がコミュニケーションを増加させるなら,情報はどんどん拡がっていくに違いない.2つの実験の結果,喚起された感情がポジティブだろうがネガティブだろうが,とにかく覚醒水準が高まると社会的コミュニケーションがよりよく生じていた.これまでの研究では不安(ネガティブ)vsニュートラルの比較しかなかったので,より一般的な知見を得た.

Boer, D., Fischer, R., Strack, M., Bond, M. H., Lo, E., & Lam, J. (2011).
How shared preferences in music create bonds between people: values as the missing link.
Personality & Social Psychology Bulletin, 37(9), 1159-1171. doi:10.1177/0146167211407521

音楽の好みの共有はどのように人々の間の社会的ボンドを創り出すのだろうか? 価値表現態度としての音楽の好みが類似性価値をもたらすことで社会的ボンドを創出するというプロセスモデル(Figure 1)が構築された.音楽ボンディングモデルは(a)価値志向性の類似性指標としての音楽の好み,(b)社会的魅力につながる価値志向性の類似性,という2つの研究の流れを結びつける.2つの実験室実験と2名集団による1つのフィールド研究の結果,音楽の好みや価値志向性の類似/非類似の手がかりとなり得ることで音楽は若者たちの間の対人的なボンドを創り出すことができることが示された.別の解釈(パーソナリティの類似性)を検証,排除する研究も行い,社会的魅力に与えるインパクトは,価値類似性とパーソナリティ類似性で異なることが示された.価値類似性は音楽的ボンディング現象を説明する際のミッシングリンク(つながりが分断されていた部分)であり,洋の東西や実験/自然環境を問わずに維持されるように思われる.

Brysbaert, M. & Smyth, S. (2011).
Self-enhancement in scientific research: The self-citation bias. 
Psychologica Belgica, 51(2), 129-137.

典型的な心理学の論文は自己参照を3~9本含んでおり,それは引用文献リストの長さに依存して全体の10%程度である.対照的に,研究仲間のそれが3本以上引用される(クロスリファレンスされる)ことは滅多にない.これを称して「自己引用バイアス」(もちろんself-serving biasに引っかけている)という.つまり,研究者たちは読者を関連研究にいざなう際に自分たちの仕事を参照したがる,という選好性がある.この知見は,引用文献は読者の助けとなるべきものである,という伝統的な科学に立脚した観点からは理解しがたいものである.しかし,科学者たちが「集団」を形成することを考えれば,引用文献がこうした体裁を取るのは社会心理学や集団力学的に「よくある」現象を反映しているといってよく,つまり,引用文献の社会的な意味を考えれば容易に理解できるものである.この観点からすれば,自己引用バイアスは自己効用と自己宣伝によって動機づけられたself-serving biasである.

Diemand-Yauman, C., et al (2011).
Fortune favors the Bold (and the Italicized): Effects of disfluency on educational outcomes.
Cognition, 118(1), 111-115. doi:10.1016/j.cognition.2010.09.012

これまでの研究は,非流暢性―認知的操作に関連した困難さについての主観的経験(例えば,文章を読んでいて「ん,なんて書いてあるんだ?」と思うこと?)―はより深い処理を導くことを示してきた.2つの研究によって,非流暢性の介入によって生み出される「より深い処理」が記憶パフォーマンス向上にどの程度寄与するのかを探求した.研究1では,読みにくいフォントで書かれた情報は読みやすい情報よりも想起されやすいことが実験室実験によって示された.研究2では高校の教室での実験で同様にその傾向が示された.これらの知見から言えることは,学習素材についてごく表面的な変更を加えれば,教育成果がぐんとアップする可能性がある,ということである.

Gelfand, M. J., Raver, J. L., Nishii, L., Leslie, L. M., Lun, J., Lim, B. C., et al. (2011).
Differences Between Tight and Loose Cultures: A 33-Nation Study.
Science, 332(6033), 1100-1104. doi: 10.1126/Science.1197754.

33カ国で収集したデータにもとづき,「キツい」(多くの強力な規範があり,逸脱行動への耐性が低い)対「ユルい」(社会的規範が弱く,逸脱行動に寛容)の文化差を描き出す.「キツさ-ユルさ」は複雑かつゆるやかに統制されたマルチレベルシステム(①distalな(ここでの意味は,時/空両方の意味でnot proximalであるということ)生態学的・歴史的脅威(例;高い人口密度,資源枯渇,領土紛争の歴史,伝染病や環境の脅威など),②社会制度の社会化の広さvs狭さ(専制政治,メディア規制など),③日常的に繰り返される状況の強さやミクロレベルの心理的アフォーダンス(prevention self-guide(注1)や高い調整力,構造化欲求など)などを含むもの)の一部をなしている.本研究は,地球規模での相互依存性が増加している世界における異文化理解を促進しうる知識を提示し,文化の変化に関するモデリングに一定の知見を提供するものである.

Haslam, N., & Laham, S. M. (2010).
Fast track report Quality, quantity, and impact in academic publication.
European Journal of Social Psychology, 220(June 2009), 216-220. doi: 10.1002/ejsp.

85名の社会/パーソナリティ心理学者の論文公刊記録を,博士論文研究から学位取得10年後までにわたって追跡調査し,公刊論文の量(論文数)と質(掲載誌の平均IFと論文自体のIS),そしてインパクト(被引用,h指数,g指数,ウェブページのアクセス数)の関連を検討した.公刊論文の量と質には中程度の関連しかなく,量と質はトレードオフの関係にあることが示された.インパクトは,質よりも量と強い関連をもっていた.量より質にウェイトを置いている研究者は,(質より量の研究者)よりレベルの高い研究機関に在籍しているが,インパクトはより低かった.論文の公刊に際して,量を重視するか質を重視するかという方略は,科学者キャリアを形成し,また成功することに重要な含意をもつだろう.

Henderson, M. D., & Wakslak, C. J. (2010).
Over the Hills and Far Away: The Link Between Physical Distance and Abstraction.
Current Directions in Psychological Science, 19(6), 390-394. doi: 10.1177/0963721410390802.

解釈レベル理論は,物理的(地理的)距離と心的表象レベルの間に両方向的な関係を仮定するものであり,距離が離れれば離れるほど心的表象は高次になり,そうした高次の心的表象が距離の知覚を増加させるという.本論文では,物理的距離に対する解釈レベル理論からのアプローチを支持する研究をレビューする.ごく簡単に解釈レベル理論の基本原則を記述した後に,心的表象に対する物理的距離の効果と物理空間内の距離の知覚に影響する諸要因,さらにこのフレームワークに該当する諸行動についてレビューする.最後に,今後探求すべき方向性について議論する.

Ikeda, K. & Boase, J. (2011).
Multiple Discussion Networks and Their Consequence for Political Participation.
Communication Research, 38(5), 660-683.

社会関係資本研究は,議論ネットワークは政治参加を促すことを示してきた.しかし,異質なネットワークとの議論は政治参加を阻害するという反対の議論もある.我々はJGSS2003の多重議論ネットワークデータを使ってこの主張の実証的妥当性を検証する.政治について話すことは,政治が会話のメインテーマであるか単に他の話題に付随してたまたま出てきたものであるかに関係なく,政治参加にポジティブな影響を与えていた.さらに,政治的意見が対立する他者との相互作用が政治参加を減らすという反対意見は支持されなかった.逆に,多様な議論ネットワークの中で政治的異質性と政治参加はポジティブなつながりをもつことが示された.(注:JGSS2003は「第4回生活と意識についての国際比較調査」のこと.http://jgss.daishodai.ac.jp/surveys/sur_jgss2003.html)

Jack, R. E., Caldara, R., & Schyns, P. G. (2011).
Internal representations reveal cultural diversity in expectations of facial expressions of emotion.
Journal of Experimental Psychology: General, 141(1), 19-25. doi:10.1037/a0023463

長年にわたり,顔面表情は「情動の世界共通語」とみなされてきた.けれども顔面表情の認識において一貫して現れる文化差(彼らの研究(2009)など)はこうした考えと矛盾している.それどころか,社会的概念と信念の入り組んだシステムとしての文化は,顔面表情シグナルに対する異なる期待(内的表象)を生成している可能性がある.これを検証するために,パワフルな精神物理的技法(逆相関法)を用いて,2つの文化的に異なる集団(西洋白人WCと東アジア人EA)で,6つの基本的情動に関する顔面表情(幸福,驚き,恐れ,嫌悪,怒り,悲しみ)の観察者特有の内的表象を評価した.相補的統計イメージ分析(complementary statistical image analyses)により,文化特異性は直接これらの表象に現れていた.特に,WCの内的表象は大部分が眉毛と口に特徴がある一方で,EAの内的表象は目のあたりの表情情報の選好性が高かった.EA観察者の選好をつぶさに観察したところ,驚くべき特徴があった.EA集団では注視方向の変化が顕著に示されたのである.本研究は,「情動の世界共通語」という生物的な固定観念をぶち壊し,文化が日常的な情動の顔面表情の内的表象を精密に形作りうるということを初めて直接的に示した.

Larrick, R. P., Timmerman, T. a, Carton, A. M., & Abrevaya, J. (2011).
Temper, Temperature, and Temptation: Heat-Related Retaliation in Baseball.
Psychological Science, 22(4), 1-6. doi: 10.1177/0956797611399292.

本研究では,メジャーリーグ57293試合のデータを分析して,高気温が挑発(provocation)と交互作用して打者の被死球可能性を増加させるかどうかを検討した.他の幾多の変数を統制した分析の結果,投手が,自分のチームメイトが相手の投手に「ぶつけられた」試合で,事後に打者に「ぶつける」確率は気温が高いときにぐっと上昇していた.高気温は,チームメイトが「ぶつけられた」ことの敵意帰属を増加させ,また報復に対する抑制を低下させることによって,報復(retaliation)を増加させるらしい.

Lee, S. W. S., & Schwarz, N. (2010).
Dirty Hands and Dirty Mouths: Embodiment of the Moral-Purity Metaphor Is Specific to the Motor Modality Involved in Moral Transgression.
Psychological Science, 21(10), 1423-1425. doi: 10.1177/0956797610382788.

(Short Reportなのでアブストなし)水と石けんは物理的汚れ以上のものを除去する―道徳的罪を犯したことによる罪悪感を希薄にしたり,他者の悪行に対する判断を軟化させたり―するという.また逆に,非道徳的な行為は物理的清浄への注意喚起を増すとも言う.こうした知見は,倫理観に関する抽象的思考は物理的な清潔さにまつわる具体的経験に根ざしていることを示している.われわれが日常用いる自然言語においても,「purity(清浄)morality(倫理観)」のメタファーは特定の身体部位と関連づけられていて,例えば「汚い手(dirty hands)」「口汚い(dirty mouth)」といった表現がある.こうしたことは,罪にまつわる運動モダリティは,倫理観の清浄を実体化させるかたちではっきりとあらわれることを示唆している.もしそうなら,人は「汚れた」身体部位の清浄を,そうでない部位のそれよりも好むはずである.実験の結果,マウスウォッシュを好意的に評価したのは留守番電話で嘘をついた後の参加者,手の除菌ジェルを好意的に評価したのは電子メールで嘘をついた後の参加者だった.電子メールで真実を言った参加者は手の除菌ジェルを好意的に評価せず,マウスウォッシュは両群に有意差なし.おおむね,倫理観の清浄の実体化は「汚れた」身体部位に特異的に生じているといえる.

Lee, S. W. S., & Schwarz, N. (2010).
Washing away postdecisional dissonance.
Science, 328(5979), 709. doi: 10.1126/Science.1186799.

(アブストなし)手を洗うことは「汚れ」以上のもの―過去のあやまちへの罪悪感をも除去したり,「つぐない」をしなければという気持ちを弱めたり,道徳的判断における嫌悪のインパクトを希薄にするという知見がある.こうした知見はたいてい物理的清潔と道徳的清潔を結びつける「purity(清浄)morality(倫理観)」のメタファーの見地から概念化されている.しかし「洗浄」はより一般的な意味でも過去の痕跡を「白紙に戻す(clean slate)」のではないだろうか.もしそうなら,手を洗うことは,そこにまったく道徳的な含意がなくとも過去の行動の影響を減少させる可能性がある.われわれは選択状況でこの可能性を検証する.2つの類似した魅力のあるオプション(例えば,休暇を過ごすのをパリにするかローマにするか)からの自由選択は認知的不協和を喚起し,認知の葛藤が嫌悪的心理状態をひきおこす.こうした際,選択後のわれわれは選んだ選択肢をより魅力的で,選ばなかった選択肢をより魅力がないものとみなすことによって自身の決定を正当化し,こうした不協和を低減する.われわれは手を洗うことがこの古典的な「決定後の不協和効果」を低減するかどうかを検証した.統制条件では,事後順位において「謝礼として選択肢がCD」の順位が上がっている」,つまり決定の正当化による認知的不協和の解消を行っているが,手洗い条件では事前順位と事後順位の差が有意ではなく,そうした解消策が講じられていない.すなわち,手を洗うことがそれを代用していたと思われる.素材を変えた第2実験でも同様の傾向が認められた.

Lee, S. W. S., & Schwarz, N. (2011).
Wiping the Slate Clean: Psychological Consequences of Physical Cleansing.
Current Directions in Psychological Science, 20(5), 307-311. doi:10.1177/0963721411422694

手を洗うことは物理的な汚れを除去するだけではなく,過去の残りかす-過去に犯した道徳的罪から過去の決定に対する疑いまで-も除去する.本論文では,これらの,またそれ以外の「白紙の状態clean slate」効果について,neural reuse, grounded cognition, 概念的メタファーといった観点からレビューし,研究知見のもつ意味について議論する.また,今後の方向性も示唆する.

Miyamoto, Y., & Ji, L-J. (2011).
Power fosters context-independent, analytic cognition.
Personality and Social Psychology Bulletin, 37(11), 1449-1458.

本研究では,言語カテゴリ利用と対象のカテゴリ化を調査することによって,勢力(他者に影響を与える程度)が分析的認知処理を促進するという仮説を検証した.仮説を支持して,他者に影響を与えた事例の再生は,他者の描写における形容詞の利用を促進し,動詞の利用を減らしていた(研究1).他者に影響を与えた事例の再生は,意味ではなく分類的なカテゴリ化を促進した(研究2).さらに,現実生活の文脈での勢力の効果も検証した.認知的処理において,社会経済地位SESの違いが勢力の前提要因となるsense of agency(ある運動の主体が自分であるという感じ)によって説明されうるかどうかを検証した(研究3).高SES者は低SES者よりも分類的なカテゴリ化をすること,sense of agencyが部分的にカテゴリ化におけるSESの違い(の影響)を仲介することが示された.これらの知見により,認知過程における勢力の役割を確認した.

Morrison, M., Tay, L., & Diener, E. (2011).
Subjective Well-Being and National Satisfaction: Findings From a Worldwide Survey.
Psychological Science, 22(2), 166-171. doi: 10.1177/0956797610396224.

国家満足度と主観的幸福感の関連を代表的な世界的世論調査データにもとづいて検証した研究.国家満足度は個人レベルの生活満足度の正の強力な予測変数である.仲介変数としては家計年収,家庭利便性,住居移動性,一人当たりのGDP,地域(西洋(米加豪NZ西欧)vs非西洋(その他))がある.個人が困窮しているか,自国の文化や環境とより強く結びついている場合に,国家満足度が生活満足度をより強く予測していた.対照的に,生活諸領域(健康,生活水準,仕事)に関する満足度から生活満足度を予測する分析においては逆の傾向が見いだされた.こうしたパタン(の違い)は,人は,生活満足度を判断する際に,状態が良かったり個人主義が顕著な場合にはより近接した要素を用いやすいが,生活状況が厳しかったり集団主義が優勢な場合は社会的成功を手がかりにしやすいことを示唆している.こうした知見は新しい研究の方向性を示しており,QOLセラピーに役立ちそうだ.

North, A. (2011).
The effect of background music on the taste of wine.
British Journal of Psychology DOI: 10.1111/j.2044-8295.2011.02072.x (Article first published online: 7 SEP 2011)

知覚に対するクロスモーダルな影響に関する研究は,音ではない物質に対する知覚への音の影響を無視してきたが,ごく数件の研究は音刺激が食料品のフレッシュさの知覚に影響することを示している.これと一致して,ここで報告する結果はワインの味わいに関する独立したグループの評価は飲んでいる最中のBGMが醸し出す情動を反映していた.これらの結果は,音刺激(今回は音楽)の象徴的な機能が他のモダリティ(今回は味覚)における知覚に影響する可能性を示しており,音楽はどのようなプロセスでこうした効果を持つのか,参加者の対象物に関する既有知識や経験がそこにどう影響するかを今後は検討すべきである.

Przybylski, A. K., Weinstein, N., Murayama, K., Lynch, M. F., & Ryan, R. M. (2011).
The Ideal Self at Play: The Appeal of Video Games That Let You Be All You Can Be.
Psychological Science, (December), 23(1), 69-76. doi:10.1177/0956797611418676

ビデオゲームは人気のある娯楽であり,たくさんの人々が仮想的アイデンティティでプレイしている.本研究では,こうしたゲームの魅力の一部は日常生活では発揮されないような理想自己を「試着してみる」目新しい機会を与えてくれることにあるのではないかというアイディアを検証した.ビデオゲームへの内発的動機づけがもっとも高まり,情動への影響がもっとも大きかったのは,プレイ中にプレイヤーが自分の理想自己概念と一致した経験をしたときだった.さらに,プレイ中の内発的動機づけと理想自己的特徴の経験との関連は,理想自己と現実自己の格差が大きいプレイヤーが高度にゲーム環境に没頭している場合に強化された

Roberts, S. G. B., & Dunbar, R. I. M. (2010).
The costs of family and friends: an 18-month longitudinal study of relationship maintenance and decay.
Evolution and Human Behavior, 32(3), 186-197.  doi: 10.1016/j.evolhumbehav.2010.08.005.

進化論にしたがえば,血縁関係と友情ははっきり区別できるはずだが,近年の研究ではこれら2タイプの関係性はある程度類似しているという.今回の縦断的研究では,社会的関係を維持するコストに対する血縁関係の影響を検証した.高校から大学・社会人へと「移動」した25名の学生を18ヶ月間にわたって追跡調査して,血縁と関係の維持・崩壊の関連を検証した.友情における情動の強度は,血縁関係と比較すると,接触頻度の減少と協働活動の数の減少に対してより敏感であった.これらの結果は,血縁関係と友情の間の重要な違いは,その関係が継続的なものであるとみなされた時に生じ,友情を維持するコストは血縁関係を維持するコストよりかなり大きいことを示唆している.

Schug, J., Yuki, M., & Maddux, W. (2010).
Relational Mobility Explains Between- and Within-Culture Differences in Self-Disclosure to Close Friends.
Psychological Science, 21(10), 1471-1478. doi: 10.1177/0956797610382786.

本研究では,「東アジア人は個人的な情報を西洋人ほど他者に開示しない」という先行研究の知見に対する新しい解釈を検証した.われわれは親友に対する自己開示の自己開示文化間/内差を「関係流動性relational mobility―ある社会の個人が新しい関係を形成して古い関係を終わらせる機会を一般的にどの程度持っているか」という構成概念によって説明できる可能性を提示する.研究1では,親友に対する自己開示の異文化間差(日本vs米国)が関係流動性に関する個人の知覚によって仲介されていることを見いだした.研究2では,関係流動性に関する2つの別個の測度が単一文化(日本)内での自己開示を予測し,この関係は個人的関係を強化することを目的とする自己開示をしようという動機づけによって仲介されていることが示された.こうした結果から導出される結論は,社会と社会的文脈において関係流動性が高いと(つまり関係の形成と解消が相対的に容易な世の中では),社会的コミットメントのデバイスとしての自己開示のインセンティブはより強力なものになる,ということである.

Tracy, J. L., & Beall, A. T. (2011).
Happy guys finish last: The impact of emotion expressions on sexual attraction.
Emotion, 11(6), 1379-1387. doi: 10.1037/a0022902.

本研究では「幸福」「誇り」「羞恥」の情動表出をニュートラルなそれと比較して示した際の個人の性的魅力を比較検討した.幅広い年齢層の異なるイメージとサンプルを用いた2つの研究(total N=1041)の結果,幸福表出の性的魅力に大きな性差が認められた.幸福は女性の情動表出ではもっと魅力的と評価されたが,男性では最低レベルだった.対照的に,誇りはまったく逆パターンを示した.羞恥は両性においてやや魅力的だと評価され,若い成人女性は男性の羞恥表出を幸福よりも魅力的だと評価し,誇りよりはかなり低く評価した.こうした結果は,進化的な立場や社会文化規範からの解釈とほぼ一貫していた.本研究は,はっきりした情動表出が性的魅力に及ぼす効果は性別によって異なり,その相違に年代による違いはあまりないことを初めて実証的に示したといえよう.

Troisi, J. D., & Gabriel, S. (2011).
Chicken Soup Really Is Good for the Soul: "Comfort Food" Fulfills the Need to Belong.
Psychological Science, 22(6), 747-753. doi: 10.1177/0956797611407931.

社会的代理(social surrogacy)と身体化された認知(embodied cognition)の理論は,人間ではない刺激との認知的結びつきは感情的にchargeされうることを仮定する.本研究では,食べるとホッとする料理の「快適さ」は関係との感情的な結びつきに由来するものかどうかを検証した.2つの実験は「食べるとホッとする料理は関係と結びつき,孤独を軽減する」という仮説を支持した.実験1では,食べるとホッとする料理の消費は自動的に関係に関連する概念を活性化させることが示された.実験2では,食べるとホッとする料理は,既にポジティブな関係との結びつきを有している人(例えば,安定型の愛着スタイルの人)の所属への脅威を和らげることが示された.結果は,社会的代理,所属欲求,身体化された認知,摂食行動の観点から議論された.
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