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輪読ゼミ2015まとめサイト

2015.4~2016.3に大学院輪読ゼミ(月曜午後)で報告した論文について,Abstract日本語訳を付したものです.主に自分の情報整理作業のためのものであり,公開するのはその作業をなるべくいい加減にやらないようにする自分のための足かせです.内容に誤りはないと思いますが, 正確な情報は原文をご確認下さい. 書誌情報のうち特にdoiあたりはあったりなかったりです.

質問項目に目を通したかどうかに大学生とMTurkerの違いはないが,教示をちゃんと読んでそれに従うかどうかは随分違う

2016/04/02 22:12 に Asako Miura が投稿

Ramsey, S. R., Thompson, K. L., McKenzie, M., & Rosenbaum, A. (2016). Psychological research in the internet age: The quality of web-based data. Computers in Human Behavior, 58, 354-360.

インターネットは参加者を募りデータを収集するために心理学研究で数多く用いられている.本論文では2つの研究を通じて,ラボ内外においてWebベースで収集されるデータの質について検証した.いずれの研究でも項目認識の正確さを質問への注意の程度を示す指標として用いた.研究1では学部生(N=504)を対象として,彼らがラボ内外で質問を読み参加する程度を検証し,研究2では追試をおこなうとともに,MTurkサンプル(N=744)を加えて,直感的でない調査の教示に対する注意の程度を検証した.参加者は場所やサンプルの種類を問わず項目をよく認識していたが,両研究において正確さに小さな性差が認められた.「前に見た質問」を特定する正確さは男性より女性の方が優れていた.研究2において,MTurkの参加者はラボ内外いずれの場合の学部生参加者よりも教示をよく読む傾向があった.こうした知見は調査の管理はもちろんサンプリング目的にもインターネットは有用であり,直感的でない教示を用いる研究の際はよく注意すべきだということを示唆している.

☆とても有能な仲間がいると心が折れるのは仕方のないことなんだ

2016/04/02 22:11 に Asako Miura が投稿   [ 2016/04/06 21:54 に更新しました ]

Rogers, T., & Feller, A. (in press). Discouraged by peer excellence: Exposure to exemplary peer performance causes quitting. Psychological Science. DOI: 10.1177/0956797615623770

人はしばしば(そして時に介入のデザインによって)「模範となる仲間の成績」を目にさせられる.われわれは,2つの研究によって,「模範となる仲間の成績」に晒されることが,「ああ,とてもじゃないがこいつみたいにすごいことはできねぇ」と自覚する原因となることで動機づけや成功を減じうることを示した.さらにそのことは関連領域への帰属意識を削ぐことにもつながる.我々は,仲間の優秀さによってもたらされるこうした落胆―学生たちが相互評価を求められる際に(求めてそうしたわけでもないのに)仲間の能力を見せつけられてしまうというのはいかにもありがちだ―を検証した.研究1は自然実験で,巨大なオンライン公開講座の相互評価場面を用いた(N=5740).模範となる仲間の成績に晒されるとコース離脱率が高かった.研究2ではオンラインで追試実験(N=361)を実施してその心理的メカニズムを探求した.仲間の優秀者で「心が折れる」ことがもつ理論的含意は,社会的判断,社会的比較,参照バイアスといった研究に適用でき,また社会的比較を導入するような介入には実践的な意味で有用だろう.

オンライン研究でIMCを使うと思考課題のパフォーマンスを向上させることができる.ただし,本課題の前に実施するべき

2016/04/02 22:09 に Asako Miura が投稿


IMCはオンライン研究で不注意な参加者を特定するためのポピュラーなツールになった.IMCの機能は不注意な参加者を誤答に導くことをたくらむことにある.しかし,より対話的観点から見れば,この質問は研究者が参加者との会話に加わるようなもので,IMCは参加者に「言外の意味があるんですよ」と伝えて,後続のトリッキーに見える質問群に騙されないような系統だった思考を促すことができる可能性がある.2つのオンライン研究で,参加者はIMC実施前後いずれかに単純な課題に回答した.予測通り,課題の前にIMCに回答すると,系統だった思考をした方がよい課題(「認知的熟慮性テストCRT(研究1)」と「確率的推論課題(研究2)」のパフォーマンスを向上させた.IMCは単に注意を計測するだけではなく注意を変えることができる課題であり,オンライン研究で利用する価値がある.

オンライン調査における不注意チェックの効果を検証.IMC違反者を馴致してもあまり意味がない?

2016/04/02 22:08 に Asako Miura が投稿

Berinsky, A. J., Margolis, M. F., & Sances, M. W. (in press). Can we turn shirkers into workers? Journal of Experimental Social Psychology.

調査研究者が,不注意な回答者を特定し,データのノイズを減らすために「注意チェック」を用いることが増えている.しかし,いったん不注意回答者を特定したら,研究者は「落とす」(つまり外的妥当性を脅かす行為をする)か,「キープする」(つまり内的妥当性を脅かす行為をする)か,決めなければならない.本研究では,第3の方法―不注意回答者を,注意を払う気にさせることができるか?―があるかどうかを探る.3つの研究で3つの方略を用いて,こうした「誘い」が注意チェック通過に際する注意力を増すことはできるが,記述/実験的調査項目におけるノイズは減らさないことを示す.そして,こうした誘いは回答者の調査からのドロップアウトの原因にもなる.これらの結果は応用研究にとって重要な含意を持っている.研究者は注意チェックによって不注意を測定し続けるべきだが,「shirker(怠け者)」回答者の注意を増すのは事前予想ほど簡単ではなかった.

調査しながら別のことをやる人は少なからずいて,やってる回数が多いとsatisfice傾向(無回答数)は高まる

2016/04/02 22:07 に Asako Miura が投稿

Sendelbah, A., Vehovar, V., Slavec, A., & Petrovcic, A. (2016). Investigating respondent multitasking in web surveys using paradata. Computers in Human Behavior, 55, 777-787.

コンピュータは日常のマルチタスクに重要な役割を果たしている.この観点から,われわれはWeb調査回答に際するマルチタスク回答(RM)に注目した.RMとは,Web調査の質問紙に回答している際に回答者が別の活動に従事することによって生じる.RMが調査結果に及ぼす影響に関する概念的フレームワークは認知心理学と調査法に関する知見を統合して形成した.われわれは,Web調査に際するRM測定に際して,新しいアプローチを提案した.それは,いくつかの「パラデータ」(回答者の質問紙回答プロセスにおいて「反応性ではない」行動を電子的にトラッキングするもの)を利用したことである.RMについて回答時間のみで測定するのではなく,回答者が,質問紙が表示されているウィンドウから目をそらし(そしてチャットしたりメールしたりWebブラウズしたり),その後また質問紙に戻ってくるという行動=「フォーカスアウト」を導入したのである.大学生サンプル(n=267)によりこのアプローチの有効性を検証した.回答者の60%が少なくとも1度はRMをしており,回答の質の指標のうち無回答と関連していた.(non-differentiation:同じ回答を続けるsatisficing については関連がなかった).RMに関するパラデータに基づくアプローチの実用性が示されたので,今後どんどん使って下さい.

ネットワークの中心でも周辺でも、外向性の効果は似たようになる

2016/04/02 22:06 に Asako Miura が投稿


先行研究は,様々なネットワークサイズの予測因を探索する際,「平均」への効果を検証することに注目してきた.しかし,こうした予測因はネットワークサイズの分布全体に均質に影響しない可能性がある.そこで本研究では,外向性と神経症傾向は,ネットワークサイズの分布のうち右側(大きい方)で左側(小さい方)よりも影響力が大きいという理論的予測を立て,これを分位点回帰によって検証した.分析の結果,外向性が個人のネットワークの内層/外層サイズに及ぼす影響は,第1分位点(25パーセンタイル点)よりも第3分位点(75パーセンタイル点)において有意に大きかった.同様の傾向は神経症傾向と内層サイズの関係においても示されたが,外層サイズについては得られなかった.内層サイズと神経症傾向の関わりは,第1分位点(25パーセンタイル点)よりも第3分位点(75パーセンタイル点)において強かった.

日本の親は「ありふれた漢字だけどユニークな読み方」の名前をつけるようになった.そのことは個人主義の程度と正の相関を持っている

2016/04/02 22:04 に Asako Miura が投稿   [ 2016/04/02 22:05 に更新しました ]

Ogihara, Y., Fujita, H., Tominaga, H., Ishigaki, S., Kashimoto, T., Takahashi, A., Toyohara, K., Uchida, Y. (2015). Are common names becoming less common? The rise in uniqueness and individualism in Japan. Frontiers in Psychology.

われわれは,日本文化がより個人主義的になってきたかどうかを,赤ちゃんへの名付け方の時系列変化を調査することによって検討した.文化心理学は,人間心理と行動において本質的な文化差があることを示し,それらは社会文化的環境と心の相互構成物であることを強調してきた.しかし,先行研究のほとんどは文化が変容しているという事実を考慮していない.実際,行動のアーカイバルデータ(例・離婚率)を見ると,アメリカと日本において個人主義傾向が強まっていることが示唆される.アーカイバルデータに加えて,文化的所産(例えば広告など,個人の心や行動が頭の外に出てきたもの)もまた文化的変化を示しうる.しかし,東アジアでこうした文化的所産を用いて個人主義の変化を検証した研究はほとんどない.もし日本文化がより個人的になっているとすれば,親は自らの子どもにユニークな名前をつけたいと考えるだろう.われわれは2つのデータベースを用いて,2004年から2013年までの「赤ちゃんの名前人気ランキング」を計算し,サンプル内でその率を比較した.日本人の名前には一般に漢字が用いられるが,読みと書きは種々異なるので,両者は別々に分析した.その結果,人気のある「書き」漢字の率は上昇する一方で,人気のある「読み」の率は減少していた.先行研究以来妥当だとされてきた集団主義指標と関連があったのは人気のある「読み」の率のみであった.さらに,一般的な「書き」漢字の組み合わせがもつ「読み」のバリエーションと,一般的な「読み」がもつ「書き方」のバリエーションを検証した.その結果,書き方のバリエーションが減る一方で,読み方のバリエーションは増えるという時系列変化が示された.つまり,親は自らの子どもに「一般的な漢字(書き)による一般的でない発音(読み)」を与えていることが示され,これは日本における個人主義の上昇を示す知見である.

民主党支持者は「俺が俺が」と汚い言葉とポジティブ語をツイートし,共和党支持者は「われわれが~」と呟く

2016/04/02 22:04 に Asako Miura が投稿

Sylwester, K., & Purver, M. (2015). Twitter language use reflects psychological differences between Democrats and Republicans. PloS one, 10(9), e0137422.

政治的に右左にどちらに偏っているかは様々な心理的要因と相関していることが先行研究で示されてきた.調査や実験は政治心理学にとって豊かな情報源であるが,ソーシャルネットワークデータはより自然で頑健な分析材料を提供してくれる.本研究は異なる政治的傾向の個人における心理的な差をソーシャルネットワーキングプラットフォーム上で調査するものである.これまでの知見に基づいて,リベラルな個人は保守的な個人よりもユニークネスの知覚を強調し,より罵倒語(swear words; 下品な言葉)を用い,より不安関連語や感情関連語を用いるという仮説を立てた.逆に,保守的な人の言語使用においては,リベラルな人よりも集団成員性が強調され,達成や宗教に関連する語が用いられやすいと予測した.アメリカの民主党と共和党の議会組織関連の3つのアカウントをフォローしている5373名,5386名のTwitterタイムラインを分析した.ほとんどの予測とこれまでの知見は支持され,Twitterでの行動はオフライン行動を洞察するために「使える」ことが確認された.

心理学の研究結果、6割以上が再現不可能

2016/04/02 22:02 に Asako Miura が投稿   [ 2016/04/02 22:03 に更新しました ]

Open Science Collaboration (2015). Estimating the reproducibility of psychological science. Science, 349(6251).

再現性は科学の定義的特徴である.しかしそれが現在の研究をどの程度特徴付けているかは定かではない.われわれは(利用可能な場合は)ハイパワーな計画とオリジナルの材料を用いて,3つの心理学ジャーナルに掲載された100本の実験/相関研究の追試を実施した.追試で得られた効果は原著のそれの半分程度で,大幅に低下した.原著の97%が統計的に有意な結果だったが,追試では37%にとどまり,追試で得られた効果の95%信頼区間に効果量が入っていたのは原著の47%だった.原著の結果が「再現された」と言えるのは39%で,原著の結果にバイアスがないと仮定して,追試の結果と合わせると,68%で統計的に有意な効果が得られた.相関検定の結果,追試の成功の鍵は,原著と追試のチームの特徴よりも,原著のエビデンスの強さであることが示された.

☆「孤独な人ほど入浴したがる」研究にダウト

2016/04/02 22:01 に Asako Miura が投稿   [ 2016/04/06 21:53 に更新しました ]

Donnellan, M. B., Lucas, R. E., & Cesario, J. (2015). On the association between loneliness and bathing habits: Nine replications of Bargh and Shalev (2012) Study 1. Emotion, 15(1), 109.

Bargh and Sahlev(2012)は,社会的温かさの代償として温かいシャワーや風呂を使うという仮説を立てた.このアイディアを支持する結果として,彼らは孤独さ特性と入浴習慣の関連を見いだした2つの研究の結果を報告している.この関連の潜在的な実践性と理論的な重要性を確認するため,われわれは9つの追加実験を行った.われわれが開発した「入浴習慣」測定尺度と最新のUCLA孤独感尺度(オリジナル研究では初版が一部改変された10項目が用いられている)を用いた4つの研究の1153名のサンプルのデータをまとめて検討したところ,孤独さ特性と入浴習慣指標の間に関連を見いだすことはできなかった.同様に,オリジナルの研究と同じ測定尺度を用いた5つの研究の1920名のサンプルをアグリゲートした推定効果量の値は統計的に有意ではなかった.オリジナルの研究を含めたローカルなメタ分析の結果,推定効果サイズは信頼区間に0を含んでいた.したがって温かさに関して孤独さ特性と個人的な入浴習慣の強い結びつきがあるとするアイディアには「ダウト」である.

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